甲子園のスターよ、再び

ヤングフレッシュU-30ベストナイン受賞作品です!

甲子園のスターがジャイアンツへ

2022年シーズンも終わり、世間がワールドカップで盛り上がる12月、我々プロ野球ファンは1つのイベントに心躍らせていた。

そう、"現役ドラフト"である。

出場機会に恵まれない選手の移籍活性化を狙いとし、昨シーズンより始まった制度である。
通常のドラフト会議とは異なり、テレビ中継はない。そのため、全プロ野球ファンがそわそわとしながら、スマホを握りしめていたことだろう。
そこに一通の速報が入ってきた。

"巨人 オコエ瑠偉 獲得"

甲子園のスターよ、ようこそ読売巨人軍へ
いや、ジャイアンツジュニアだったオコエには、おかえりが正しい表現だろうか。
それはともかく、その時、私の頭には甲子園を駆け巡る彼の姿が思い起こされた。

2015年 夏の甲子園
高岡商業戦で躊躇なく一塁ベースを蹴る姿、中京大中京戦で帽子を飛ばしながら打球を追う姿、そして興南線でのバット投げ
間違いなく彼は、あの年の甲子園を沸かせていた。
当時、東東京で野球をやっていた私は、同じ東東京の選手が全国を相手に戦っている姿に感銘を受けたものだ。
さらに、甲子園後には、高校日本代表に選出され、世界をも相手に戦った。
そしてその年の秋、ドラフト1位で東北楽天ゴールデンイーグルスへ入団

惜しくも、オコエについての記憶はここで止まっている。
それから7年後、現役ドラフトにかかっているとは誰も想像しなかったことだろう。


膨れ上がる期待

そして、話は昨年の12月に戻る
原監督が、丸のライトへのコンバートを宣言し、私達は様々な妄想を膨らませた。
来季のセンターは新外国人ブリンソンか? ルーキー萩尾か? 松原に期待する声も少なくない、いやいや増田陸も黙っちゃいないだろう。
様々なyoutubeチャンネルで情報を仕入れながら、開幕オーダーを考える。気付けば、これが毎晩の日課になっていた。ワールドカップの時より、深刻な寝不足である。

そんなこんなで迎えたキャンプ初日
私の目を1番に引いたのは、助っ人外国人さながらのオーラを放つオコエの姿であった。
楽天時代、素行不良が問題とされていたが、キャンプイン当日、引き締まった体でグラウンドに立っていたのだ。さらに、ずば抜けた身体能力は健在であり、キャンプ中、何度もマスコミを騒がせた。良くも悪くも注目を浴びやすい巨人という環境は、彼に合っているのかもしれない。
そして、キャンプ終了まで、オコエへの評価は上がる一方であり、外野のスタメン争いはオコエが一歩リードか、そんな状況であった。


オコエの現在地

オープン戦でも首脳陣の目に留まる活躍を見せたオコエは、3/31開幕戦、見事にスタメンとして東京ドームのスコアボードに名を連ねた。
1番 オコエ、その響きに懐かしさを感じたのは、私だけではなかっただろう。

その後は、5月中旬に1度二軍へと降格はしたものの、現在はまた一軍の場で奮闘している。時には代打として、時には代走としてグラウンドに現れる。そこで見せるスイングスピード、ベースランニングには、やはり目を見張るものがあり、ロマンを感じずにはいられない。

そして、現在、チームはと言うと、交流戦を良い形で終えはしたが、まだ首位阪神を追う状況である。
阪神では、悔しくも同じく現役ドラフトで移籍した大竹が勝ち頭としてチームを引っ張っている。オコエにとっては燃える想いもあるだろう。
この夏、その想いをプレーにぶつけてくれ、得意とする夏の甲子園で
私達はやはり、あの甲子園で、1つのプレーで観客を魅了するオコエの姿を見たいのだ。


理想像

もちろん、期待するのは、甲子園での活躍だけではない。シーズン終盤にはスタメンに定着し、チームを優勝へと導いて欲しい。初回からダイヤモンドを駆け巡り、ジャイアンツ打線を引っ張る姿を私は夢見ている。

しかし、毎日が勝負のこの世界、3年間結果を残してからが一人前だろう
3年後、東京ドームで見せてくれ
レフト 秋広  センター オコエ  ライト 浅野 の布陣を


いやいや
レフト 吉田  センター オコエ  ライト ヌートバー の布陣を

2015 WBSC U-18 アメリカに負けたあの悔しさを胸に、今度は世界を沸かせてくれ

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