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五感で楽しむ銚子川

自然環境リテラシー学・第2回 コース:川 参加日:7月2日・3日

こんにちは、のるです。今回は三重県紀北町にある奇跡の川と呼ばれ、NHKスペシャルで特集も組まれたことのある銚子川で2日間実習を行いました。1日目は三重県の「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」の一環として県との連携実施で行われました。今回も前回と同様のノリでゆるく体験やその他もろもろについて書いていきたいと思います。


Day1-1:拠点までの激長道中

今回実習で向かった銚子川は三重県のJR相賀駅が最寄りのため、津駅から3時間以上かけて移動しました。車内はとても空いていていて快適でしたが時々蛾などの虫が入ってきたり、長時間停車している駅で降りてみると店も少なく山などに囲まれていることから同じ三重県でも普段暮らしている北中部地域とは全く違うところに来たような感じがしました。

相賀駅についてから少し歩くと、銚子川下流のまいこみ淵に到着しました。そこでガイダンスを行った後、PFD (Personal Floatation Device)の装着方法の復習、川での救助に関する説明を受けました。その後、実際に川で救助の実習とゆらゆら帯と呼ばれる海水と淡水が混ざりあったときにできる水の濁りの観察を行いました。

まず、救助の実習では、前回とは違い、川の中にいる救助対象を救助側が川に入らない形で救助するという実習を行いました。実際に川で起こる事故では救助のために川に入った人まで溺れて亡くなってしまうというケースが多々あり、救助側が川に入ることはかなりリスクがあるため救助者は川に入らずに、ロープでベルトとペットボトル等の浮袋を繋いだものを救助対象に投げ、救助対象がロープを肩に巻き付けて引っ張ってもらうという形式でした。浮袋を投げるのには結構コツが必要だったので、できるようになってよかったと思います。

レスキューの様子

ゆらゆら帯観察では、はじめはそもそも何のことをゆらゆら帯と言っているのかすらわからず、頑張って水中を目を凝らして見ていました。ゆらゆら帯が見えた人からの、ガムシロップのような見た目で、振動を起こすと見やすいというアドバイスをもとに、そんな見た目のものを探していたら見つかりました。慣れてくると裸眼で水上からでもくっきり見えるようになり、改めてこの川の美しさを実感しました。また、ゆらゆら帯観察の過程でゴーグルをつけて水中に潜ってみましたが、PFDの浮力によってすぐ浮いてしまうためとても観察が難しかったです。この時に改めてPFDの浮力を実感し、いざという時とても頼りになる道具だと思ったいました。それと同時にカヤックで沈してもこれがあれば沈むことはないという安心感から次回カヤックに乗る際の不安が少しだけ軽減されました。あくまで主観ですが川に入って潜ってみたところゆらゆら帯がくっきり見えるあたりは少し暖かかったです。


これらの実習ののちに、銚子川沿いを歩いて中流にあるキャンプinn海山に向かって歩いていきました。道中の道の駅で休憩した際においしそうなドリンクがあったので水分補給を兼ねて買ってみました。フィサリスミルクに黒糖わらび餅をトッピングしたドリンクで、ほんのりはちみつが効いた濃厚なミルクとフィサリスの爽やかな香りがマッチした一品でした。さらにタピオカのような形状で入っていた黒糖わらび餅はわらび餅好きにはたまらないもちもち触感でタピオカ以上の頬が零れ落ちるほどの美味しさでした。はじめはフィサリスという果物自体よくわかっていませんでしたが、後日調べてみたところ、ホオズキの仲間でドライフルーツとしても食べられていることが分かりました。画像を見たら食べたことがあるものでしたが、ドライフルーツとしてのフィサリスは今回のシロップとは違い酸味が強めのアクセントになりうる爽やかさを持ったフルーツだったため全く気づきませんでした。そんな美味しいドリンクを片手にキャンプinn海山に向かいました。後から地図で順路をたどると今までの自分からは考えられない距離を歩いていて驚きました。

フィサリスミルク。道中にもこんなおいしいものがありました。


Day1-2:キャンプinn海山にて、銚子川を知るワークショップ

キャンプinn海山に到着して、支配人の校長先生こと田上さんにあいさつをし、早速エビ取りに向かいました。校長先生曰く、通常の人たちは大きなエビを狙うため夜に取るそうですが、昼間でも植物や岩などの隙間に小さなエビがたくさんいるため、そこを狙って捕まえるそうです。このような川で生き物を捕まえる体験は初めてだったので捕まえられるか不安で緊張しましたが、実際に植物の下の隙間をえぐるように取ってみるとエビが網の中に入っていました。その後もやってみるとたくさんのエビが取れ、純粋に童心に帰ったような楽しさがありました。ほかの人がとても大きなエビなどいろいろ捕まえてその結果このように沢山取れて衝撃的でした。

取れた大量のエビは校長先生がみんなが食べる分だけ調理し、残りは自然に返しました。エビを調理する際、水槽にざるを入れ、そこにエビを入れていき、そのざるにフライパンを乗せてひっくり返して焼いていました。そうすることでエビが飛ばずに焼けるという技術を教えてもらいました。その時に聞いた「道具が足りなくなってからが本当のアウトドアである」という言葉は私の中にかなり響きました。はじめは黒っぽい透明な色をしたエビが加熱すると一瞬で普段エビ料理で見るような鮮やかな朱色に変化していく様子は一瞬ながら衝撃的なものでした。さっきまでそのあたりを泳いでいたエビが食料としてのエビの色になっている様子から、命をいただいているという実感がありました。そこに塩を軽くまぶしてみんなで食べました。エビを口に入れた瞬間、普段食べるエビからは香ってこない香ばしく、それでいてさっきまでいた川のような自然を感じられる香りが口から鼻いっぱいに広がりました。そこに小さいエビだからこその殻のパリパリとした食感とほんのりとした塩味が相まって小さいにもかかわらず自然を体感できる味がしました。これは正直調味料が塩だけだからこそ味わえる味だと思いました。

調理されたエビ

エビを食べた後はテント設営をし、校長先生から銚子川の成り立ちや奇跡の清流と呼ばれる所以、火おこしの方法などを教わりました。この時に銚子川は通常の川では見ることができないゆらゆら帯が見えるほどの透明度を持っているからこそNHKで取り上げられたこと、その透明度は銚子川上流の滝の滝壺で、大きな花崗岩が釜を作り、そこで石同士がぶつかることで石の角が取れて丸くなってゆき、そのような丸い石が重なることでできた隙間から水が流れ、ろ過作用が働くことによって保たれていることなどを知ることができました。実際に川にあったまんまるの石を見せていただいたところ、大きいうえにきれいな球状で、このようにきれいな球状の石が取れるのかと衝撃でした。今まで石というと色やさわり心地の良さや柄などに注目しており、実際今回も面白い柄の石の写真を撮ったりしましたが、その背景や形状に注目したら石についてさらに興味を持つことができて、貴重な経験ができたと思いました。

見せて頂いた石。とても丸い


火おこしの方法についても、斧やナイフに種類があって、用途によって種類や使い方を分ける必要があると知りました。また、うまく使えばナイフでも木を割ることができるということや、火をつける方法はマッチだけでなくマグネシウムの棒を使った方法もあるということが個人的には衝撃でした。マッチを使うのは苦手ですが、マグネシウム棒を使うほうなら自分でも簡単にできるように思えました。

その後蛍を観察に行きました。蛍を見るのは幼少期以来だったので、不思議な気持ちになりました。写真を撮影しようとしたところ、全くきれいに取れなかったので自分の記憶の中に収めておこうと思いました。


Day1-3:アウトドア限界飯inキャンプinn海山その①

1日の活動が終了し、最後にテントサイトが一緒の人たちと食事をしました。この日は先ほど教わった火おこしの方法を実践して火を起こして、玉ねぎやピーマン、とうもろこしといった野菜やハムやウインナーを焼きました。それと同時並行でガスをつかってご飯を炊きました。正直鍋で代用できると思ってメスティンを置いてきてしまっていたので、はじめは鍋でも炊けるのか不安でした。しかしいざ蓋代わりにアルミホイルを使ってお米を鍋で炊いてみると、比較的いい感じのものが出来上がりました。焦げ付くのが怖くて少し早めに加熱をやめ、長めに蒸らしてみたところ、このようなご飯が炊きあがりました。

上のほうはどろどろのおかゆのようで、水が多すぎたか加熱が短すぎたのではないかとも思いました。ところが下部分と混ぜ合わせると、ちょうどいい感じに混ざり合い、まるで炊飯器で炊いたかのようなつやつやもちもちのお米になりました。一口、まずは何ともあわせずにお米だけで食べてみると、まさに柔らかめのもちもちごはんといった感じのちょうどいいいつものご飯の味でした。初めて鍋で炊いたお米は大成功だったので、正直これからもお米を炊くときは鍋でもいいかもしれないと思いました。

大成功でした!!

その後、おかずを食べようと思ったところ、アクシデントは起こりました。火が弱い。だんだん火が弱まって、息を吹きかけたり木を入れたりしてもずっとものを焼けるほどまで火が強くなりませんでした。そこで、鍋に残ったお米をアルミホイルに全部出しておにぎりにして、肉や野菜を鍋とガスコンロで焼きました。鍋は焦げ付きましたが、なんとかおかずにありつくことができました。正直ご飯はおにぎりにするには柔らかすぎたようにも感じましたがハムなどと食べたらご飯に程よい塩味が効いてまたおいしかったです。最後のほうにずっと起こした火のほうでアルミホイルに包んで焼いていた玉ねぎを食べました。滅茶苦茶辛かったです。生玉ねぎが苦手な人間にはかなり耐え難い辛味でした。そこで鍋の焦げ付きを取るついでに鍋に水を注いで玉ねぎを茹でました。かなり茹でると辛味がかなり軽減され、少し甘みを感じられるようになりました。この時に鍋が焦げ付いていなかったらコンソメを入れてスープにしてもおいしかったのではないかと思いました。次回はコンソメや調味料も持っていこうと思いました。


Day2-1:湿気でバテつつの魚飛渓

2日目は大音量の蝉の声と雨音で目を覚ましました。正直湿度が高すぎて汗が蒸発せず寝苦しい夜を過ごしたためあまり体力は回復しませんでした。気温はそこまで高くなかったため大丈夫だと思っていたら思いのほか暑かったです。持ってきた冷却グッズもあまり歯が立たなかったので次回は冷却材なども活用して安眠したいです。そんなへろへろの状態で雨が降る中、魚飛渓に向かいました。道中も疲れているというよりもただただ汗が乾かず気持ち悪いという感覚にさいなまれていました。魚飛渓に到着してしばらくは疲れていて川に入るかどうかも迷うほどだったので一度休んで、しばらくしてから川に入ってみました。いざ入ってみるととてもすっきりしました。なんだか川から元気がもらえたような気がしました。元気になったので他の人がやっていた水切りに挑戦したところ、大体1回か2回飛んでポシャンと落ちて玉砕しました。悔しかったので次回はリベンジしたいです。


Day2-2:アウトドア限界飯inキャンプinn海山その②

昼食として配布されたのは素麵とツナ缶でした。そこに私たちのグループは前日に食べきれなかったトウモロコシが追加されました。前回のnoteで書いた通り川で優雅に紅茶を飲みたかったので、今回はお茶菓子とともに紅茶を持参しました。素麺を茹でる前に湯を沸かしてちょうどいい温度にしてからコップに注ぎ、ティーバッグを使い紅茶を淹れました。持ってきた紅茶はストロベリーティーだったため、お茶菓子のカステラやクリームの甘い香りとストロベリーのフルーティーな香りがマッチしてとてもおいしかったです。

小規模ティーパーティーでした
美味しかったです


素麺は全く茹で方が分からなかったので友人に教えてもらいつつ何とか茹でるところまで行きましたが、火力が足りず芯が残ったまま若干ドロドロになってしまいました。さすがにやばいと思いきやツナ缶とトウモロコシとめんつゆをかけてみたら普通にツナ缶やめんつゆのうま味とトウモロコシの甘さ、素麺の味が絡み合っておいしい素麺が出来上がりました。

見た目も結構美味しそうに…

今回のリテラシーは、食に関してはこれ以上ないくらい大成功でした。次回はコンソメあるいは出汁といった調味料を持って行ってさらに質を向上させたいです。


Day2-3:カナディアンカヌー&川の自由散策

2日目最後は3人で1つのカヌーに乗って移動し、移動した先で川遊びをしました。私は行きに前、帰りは真ん中に乗っていましたが、ポジションによってやることがまったく違いました。後ろの人が舵を切ってくれるため前は基本的に前方にある障害物を確認したり、岩をついて座礁を防ぐといったことをしていました。真ん中はあまりすることがないので私は写真を撮影していました。やはり銚子川はとても透き通った青緑色で、どこを見てもフォトスポットでした。

個人的にお気に入りの写真。めちゃくちゃ綺麗です。

自由散策では伏流水が湧き出る場所に行ってみました。伏流水が出てすぐの場所は透明で透き通っており、とても綺麗でした。その時についでに周辺の石をいろいろとみてみると、やはりどれも角が取れていました。しかし、見せてもらったようなまんまるな石は全くなかったので、見せてもらったあの石たちは本当に珍しいものだと感じました。次回行った時も探してみたいです。


総括

今回は文章が長めになったので端的にいきます。銚子川は、目で見ると透き通ったきれいな川が見え、そこで取れた食べ物を食べると川のにおいや味が感じられる。耳を澄ましてみると都会では聞こえてこない虫や川の流れの音が聞こえてきて、泳いでみれば川の温度や感触が分かる。そんな五感で楽しむことができる川でした。今の状態の銚子川のことがとても好きになれたので、フィールドミュージアム構想としては、この静かな現状を生かして川遊びだけでなく絵を描いたり写真を撮ったりといった環境を破壊しない形での楽しみ方ができるところがあってもいいのではないか、と思いました。


今回お世話になった施設

キャンプinn海山さん(https://camp-inn-miyama.com/)

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