「当然、僕に姉が出来ました。」 Part14
〇〇:はぁ…今日はゆっくりしようかな
蓮加:昨日はお腹に頭突きしてごめんね?
〇〇:気にしてないからいいよ?
蓮加:うん…
〇〇:落ち込まなくていいから
蓮加の頭を優しく撫でながら微笑み掛けた
蓮加:っ…!ずるいよ…
頬を赤く染めて少し斜めに俯き聞こえない声で呟いた
〇〇:ん?何か言った?
蓮加:ううん!何も言ってないよ?
〇〇:そっか、それなら良かった
蓮加:あ!〇〇に聞きたい事があるんだけど
〇〇:聞きたい事?どうしたの?
蓮加:どうして、メンタルが弱いのかなって
〇〇:あ〜…やっぱり気になっちゃうよね〜
蓮加:すごく気になる
〇〇:いじめを受けてたからだよ、前に話したよね?
蓮加:そうだけど…
〇〇:なに?
蓮加:引きこもりになった理由も他にあるんじゃないかなって思って…
〇〇:ん〜…そんなに知りたいの?
蓮加:うん、知りたい
〇〇:いいよ、詳しく話してあげる
蓮加:ありがとう、〇〇
〇〇:その代わり、覚悟してね
蓮加:うん…
ーーーーーーーーーーーーーーーー
これは今から数年前、〇〇が中学1年生の頃の話だ
〇〇:あちぃよ〜
莉奈:しょうがないでしよ!夏なんだから!
この子の名前は山下莉奈、僕の幼馴染で学校ではマドンナ的な存在だ
〇〇:はぁ…夏は嫌いだ〜…
莉奈:昔から嫌いだもんね、〇〇
〇〇:そういえば、今日ってプール授業あるよね?
莉奈:うん、あるよ?
〇〇:よかった、日焼け止め塗ってて
莉奈:〇〇って、女子?
〇〇:いや、男だけど?日焼けしたらめちゃくちゃ痛いじゃん!だから塗ってる
莉奈:〇〇はさ、友達作らないの?
〇〇:人間関係とかってめんどくさいじゃん?
莉奈:え?そうかな?
〇〇:めんどくさいよ、僕は学校の生徒に先生とは必要最低限でいいと思ってるから
莉奈:え〜!話すの楽しいよ?
〇〇:僕は人と話すの嫌いなの、おまけに人見知りだし
莉奈:確かに〇〇人見知りだよね〜
〇〇:少し話したりすれば慣れて関わったりする事が増えるかもね
ーーーーーーーー教室ーーーーーーーー
〇〇は窓際の席で外の景色を眺めていた
女1:相変わらずだね、〇〇くん
男1:クールぶってんじゃねぇの?
女2:うわ〜それはちょーダサいわ
男2:独りの俺かっこいいとか思ってんのかな?
〇〇:(はぁ…中学にもなって幼稚な事をするんだよな、これだから人間関係はめんどくさいんだよ)
〇〇:(莉奈が教室に居なくて良かった、もし聞かれてたらやばかったし)
〇〇は少し溜息を零し呆れた表情で外の景色を眺めていた
ーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間が経ち、プールの授業が始まった
男1:あいつ、ひょろがりじゃん!
男2:男の体型じゃねぇよ!
〇〇:チッ…(うるせぇわ!生まれつき体型なんだよ!食べても太らなくて困ってんだよ!!)
先生:はーい、これから皆さんには25m泳いでもらいます
女1:泳ぎ方は自由ですか?
先生:自由でいいぞ、とりあえず皆がどれくらい泳げるかテストをするだけだ、わかったか?
クラス:はーい
クラスメイトが次々と泳いで行った
男1:くっそ!15mしか泳げなかったわ
男2:別にいいんじゃねぇ?15mも泳げればさ
そして、〇〇が泳ぐ順番が来た
男1:あいつが泳ぐとか無理だろ
男2:5mとかで泳ぐの終わるだろ!
〇〇:はぁ…(好き勝手に言ってろ、クソ野郎)
先生の笛が鳴り〇〇は泳ぎ始めた
男1:は?あいつ泳ぐの速くないか?
男2:嗚呼…もう15m行く…
〇〇はあっという間に25m泳ぎ切った
〇〇:ふぅ…楽勝だな…
男1:チッ…面白くねぇわ
男2:あ、俺面白い事思い付いたわ
男1:え?なになに?
男2は男1にしか聞こえないように小声で話した
男1:なるほど、面白そうじゃん!
男2:だろ?やろうぜ
男1:先生…
先生:ん?どうしたんだ?
男1:すみません…少し体調が悪くなってきて…
先生:そうか、じゃあ誰か…
男2:僕が保健室に連れて行きます
先生:わかった、頼むぞ?
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プールの授業が終わり更衣室に入り着替え始めた
女1:泳ぐの疲れた〜
女2:そうだね、この後の授業寝ちゃいそう〜…
莉奈:あれ…?
女1:莉奈、どうしたの?
莉奈:私、ここに下着置いたんだけど…どこにも無くて…
女2:え!それって誰かに盗まれたって事じゃん!
莉奈:わ、わかんないよ!どうしよう…下着がないと困る…
女1:もしかしてさ、男子の誰かが盗んだんじゃないの?
女2:とりあえず、先生に相談しよ?
莉奈:うん、そうだね…
女1:絶対に犯人捕まえてやるんだから!
莉奈達は水着姿のまま先生へ下着が無くなっていた事を相談しに行った
ーーーーーーーー教室ーーーーーーーー
先生:えー…莉奈の下着が無くなる事件が起きた
〇〇:(下着を盗むってめちゃくちゃ変態野郎じゃん)
男2:先生!俺、〇〇が山下さんの下着を盗む所を見ました!
〇〇:…は?
先生:それは本当なのか?
男2:はい、ほんとです!水着を入れる鞄に山下さんの下着を入れる所を見ました!
男1:先生…俺も見ました
先生:〇〇、本当なのか?
〇〇:いや、してないですよ!
〇〇にはクラスメイト達からの疑いの眼差しを向けられていた
先生:じゃあ、鞄を見せてくれないか?
〇〇:はい、わかりました
水着の入った鞄を開けて中身を見せた
〇〇:は…?なんで…
鞄にはさっきまで入っていなかった莉奈の下着が入っていた
先生:お前が盗んでるじゃないか!〇〇!!
〇〇:は!だから僕じゃないって!!
その瞬間〇〇はクラスメイト達を見たが皆の表情は〇〇に対する嫌悪感を露わにしていた
〇〇:(クソ…っ!!)
男1:ほら、皆こいつが犯人なんだよ!
莉奈:〇〇…どうして…っ
男2:お前マジでキモイわ〜
女1:女子の下着を盗むなんて最低!!
先生:〇〇、後で職員室に来い
〇〇:…はい……
ーーーーーーーー職員室ーーーーーーーー
先生:なぁ、〇〇どうしてあんな事をしたんだ?
〇〇:だから、僕はしてませんって
先生:でも証言もあるしな、実際に〇〇の鞄から莉奈の下着も出てきたじゃないか
〇〇:何を言っても無駄って事ですね…もういいですよ…僕が犯人で…
あの日から〇〇は教室で完璧に孤立してしまった
〇〇:(あの日から莉奈も僕と関わるのを辞めたな…所詮その程度の関係だったって事か…)
〇〇:(父さんは僕がそんなことする子じゃないって信じてくれたけど…莉奈の両親からはめちゃくちゃ怒鳴られるし…不愉快だ…何もしてないのに……)
男1:おい、〇〇放課後に体育館裏に来いよ?
男2:来ねぇと、どうなるか分かってるよな?
〇〇:はいはい…分かったよ
男1:あいつ、ボコボコにしてやろうぜ?
男2:だな、いつ学校来なくなるかな?
ーーーーーーーー放課後ーーーーーーーー
〇〇:来たけど…なに?
男1:よく来たな、下着泥棒くん
男2:今から下着泥棒くんには、俺達のサンドバッグになってもらいます!
〇〇:そんな事か…帰るから…
男1:おいおい、なに帰ろうとしてんだよ!
腹に目掛けて思いっきり蹴りを入れられた
〇〇:カハッ…!!
男2:お前はこれからサンドバッグにするって言ったよな!
次は背中に目掛けて思いっきり蹴りを入れた
〇〇:ぐぁ゛っ!!
男1:めっちゃストレス発散になるわ〜
男2:もっとしようぜ
男1:そうだな
男達は次々と〇〇を背中やお腹や脚や腕などを殴ったり蹴ったりした
ーーーーーーーー数十分後ーーーーーーーー
男1:はぁ〜…ストレス発散になったわ
男2:また明日もするから体育館裏に来いよ
男1:んじゃ、帰ろうぜ
男2:そうだな〜
〇〇はボロボロの姿でその場に倒れていた
〇〇:ゴホッ…ヴ…ゲホッ…めっちゃ蹴られたり殴られたりしたな…
〇〇:はぁ…めっちゃ制服汚れたし…
制服の汚れを軽く叩き落とした
〇〇:さて、帰ろうかな…
鞄を持ち学校を出て家へ帰って行った
ーーーーーーーーーーーーーーーー
それから何日も男1と男2から殴る蹴るの暴力を受けながらも学校へ行っていた
女先輩1:あの人でしょ?女子の下着を盗んだ子って…
女先輩2:ほんとキモイよね、学校に来ないで欲しい…
〇〇:(はぁ…もう生きてる意味ないな…)
先輩や違うクラスの生徒から廊下ですれ違う度に小声で悪口を言われていた
〇〇:(あそこに行こうかな…)
階段を上り〇〇は屋上へ向かって行った
〇〇:ドア、開いてるかな…
ドアノブを握りドアを開けようとしたら鍵は掛かっておらず屋上へ入って行った
〇〇:屋上…初めて来たかも…鍵は掛かってなかったし…壊れてたのかな…
〇〇:まぁ、いいや…屋上は結構高いな…
フェンスを乗り越えて高い景色を眺めた
〇〇:いつも眺めてる景色とは違うな…
〇〇:ここから飛び降りて、死んで消えようかな…
ーーーーーーーーーーーーーーーー
女1:ち、ちょっと!あれ見てよ!!
女1が指さした方を見ると屋上でフェンスを越えた先に〇〇が居た
莉奈:え!〇〇がどうして!?
女2:さすがにあれはやばいよ!私先生に言ってくる!
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屋上で〇〇が立っている事が騒ぎになり生徒達が次々と集まってくる
〇〇:お〜、めっちゃ集まってきたな
〇〇:どっちにしろ、心配よりも面白がって集まってんだろうな〜醜い生き物だな…人間って…
すると屋上へ先生が入って来た
先生:〇〇!!
〇〇:あ〜先生どうしました?
先生:早まるな!〇〇お前はまだ若いから何度でもやり直せる!!
〇〇:なぁ、やり直せるってどういう意味だ?
先生:その場の状況を〇〇次第で変えられるって事だ!
〇〇:そっか、なら僕は今状況を変えようとしているんだ、邪魔してくんじゃねえよ
先生:いいから!早くこっちに来い!
〇〇:先生、僕は何度も犯人じゃないって言いましたよね?信じてくれなかったのは誰ですかね?
先生:それは…っ
〇〇:男1と男2の見たって話と僕の下番に莉奈の下着が入ってたからそれだけで犯人って決めつけましたよね?
〇〇:僕が莉奈の下着を盗んだ瞬間を写真か映像として証拠があるなら、犯人って決めても良いと思いますよ?
〇〇:まぁ、こんなの今言っても意味ないか…
〇〇:お前らは生徒と教師は僕を殺すんだよ、これから人殺しとして生きていくんだな
先生:っ…
〇〇:さようなら、僕の短い人生…
何の躊躇いもなく〇〇は屋上から飛び降りた
莉奈:いやーー!!!
学校からは鈍い音と悲鳴が響き渡った
先生:早く救急車を呼ばないと!!
その後〇〇は救急車で病院へ運ばれ手術を受けて奇跡的に助かった
〇父:あの!〇〇は大丈夫なんですか!!
医者:〇〇くんは奇跡的に一命を取り留めました
〇父:ほんとですか!よかった…
看護師:〇〇くんの病室に案内しますね
〇父:お願いします
それから数日経ち、〇〇が飛び降り自殺をした事が広まり学校に警察が来て調査された
警察が調査した結果、やっぱり犯人は男1と男2だった
男1と男2が取り調べで全て自白したらしい
ーーーーーーーーーーーーーーーー
〇〇:とまぁ、これが僕の過去だよ
蓮加:〇〇…何も悪くないじゃん…っ
大量の涙を溢れさせながら蓮加は呟いた
〇〇:泣くなって、よしよし
蓮加を優しく抱き締めて頭を撫でた
蓮加:〇〇が…可哀想だよ…
〇〇:退院した日から…精神科に行って今でも薬飲んでるんだよね
蓮加:…っ!
〇〇の言葉を聞いて蓮加は服をぎゅっと強く握り締めた
〇〇:それでさ…人を信用出来なくなって…人に会うのも怖くなって…引きこもりになっちゃったんだよね…
〇〇:今でも昔の事を思い出して…苦しくなるんだよ…
〇〇:思い出す度に…何度も叫んで…何度も何度も…壁とか床を殴ったり蹴ったりして…血まみれになるし…
蓮加:ねぇ、〇〇…
〇〇:あ、ごめんね?重い話だっ…
〇〇は蓮加に顔を向けた瞬間に蓮加の唇と重なった
〇〇:んっ…、れ、蓮加…?
蓮加:私は〇〇の事好きだよ、どんな〇〇でも受け入れるよ?
〇〇:え?蓮加どうしたの?
蓮加:私は…出会った頃からずっと〇〇の事が好きなの!!
〇〇:え…!?嘘…
蓮加:苦しくなって辛くなった時は、私が傍で支えるから!
〇〇:蓮加ありがとう…
蓮加:だから、私と付き合って
〇〇:ごめん、付き合う事は出来ないよ
蓮加:え…?どうして…
〇〇:蓮加が乃木坂の活動に満足して卒業する時まで待つから
蓮加:〇〇…ありがとう…
〇〇:だから、その時は…僕から言わせて欲しいかな…
少し恥ずかしそうにしながら呟いた
蓮加:ふふっ、ありがと!
蓮加:(恥ずかしがってる〇〇、可愛い〜!)
蓮加:今日は〇〇にもっとくっついて寝るね?
〇〇:えー、いつもくっついて寝てるじゃん!
蓮加:いつもよりくっついて寝るの〜!!
to be continued……
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