映画 PERFECT DAYS
ずっと書きたいテーマが溜まっていて
それが図らずも1つのテーマに繋がりました。
今年の学びは間違いなくこのテーマ「これだけで十分なのに」だと思います。
(残り半年で新たな学びがあればそれはそれで◎)
かなり長くなってしまうと思いますが
読んでいただいた方と気持ちが共有できれば嬉しいです。内容としては、映画PERFECT DAYSと最近聴いた曲から得た知見になります。
まずは、映画PERFECT DAYSについて触れたいと思います。この映画は日本アカデミー賞の発表翌日に観にいきました。感動が新鮮なうちに観たいと思い、アカデミー賞をみながらチケットを買ったのを覚えています。
この映画の魅力は、「大切なことを浮かびあがらせるところ」だと感じました。
役所広司演じる平山は、単調な暮らしを繰り返して生活しています。毎朝、部屋の植物に水をやり、髭を剃り、掃除をして、同じ缶コーヒーを買い、仕事に出て、布団で読書をして寝る、その繰り返しです。
私とは正反対の暮らしをしているなあと思いました。私は、変化こそ進化だと思う気持ちが強いため、同じ繰り返しよりも、新しい発見を好み、平山と同じような暮らしには魅力を感じていませんでした。
しかし、物語が進んでいくと平山の暮らしの素敵なところがみえてきます。平山の単調な生活の中につぎつぎと事件が舞い込んできます。同僚が好意を寄せている女性から突然キスをされたり、姪っ子が押しかけてきて一緒に生活したり、、、平山の平穏な生活を崩されていくところがはっきりとわかります。
普段の生活が単調であるからこそ、普段と違ったことが起こるとそれが浮き彫りになるのだなぁと感じました。
映画の中では、平山はほとんど言葉を発しません。
その分発する一言一言に重みがあります。
作中で伝えたいことは、平山に語らせると深い意味を持たせることができます。
それも、普段平山が寡黙であるからこそ、その言葉が浮かび上がるのだと感じました。
この映画を観ていて、小学生の頃にやった理科の実験を思い出しました。理科の実験では、確かめたい事象以外の条件は一定に揃えなければなりません。
それと同様に、平山の生活は一定であるからこそ何か変化が起きた時に浮かび上がってくる、それが魅力なのだと感じました。
ここで、作中で好きだったシーンを3つ紹介します。
(ネタバレ含む)
まずは、細かいシーンですがカセットテープを売りに行くシーンです。同僚がお金がなくなったと言って、平山の大切なカセットテープを売りにいく場面です。(なぜか店員で松井大吾監督が登場して驚く)
同僚はカセットテープをお金に変えたがりますが、普段温厚な平山もそこではカセットテープを絶対に売ろうとしませんでした。平山の魅力は、プライスレスを大切にするところにあります。お金に変えられない自分の好きなものたちを静かに愛する姿勢の象徴ともいえるシーンでした。
二つ目に紹介したいシーンは、姪っ子と2人で自転車で橋を渡るシーンです。
普段言葉を発さない平山が放った「世界は繋がっているようで繋がっていない」というのは、この映画が伝えたかったことの一つだと感じます。
普段仲良い友達と生活していると、まさに世界を共有しているかのような"錯覚"に陥ります。しかし、世界は平山が言うように繋がっているようで繋がっていないのです。例えば、一緒に遊園地に行って「楽しかったね」と共有したとします。しかし、お互いが感じている楽しかったの中身が違います。「あの犬かわいいね!」と共有できたとしても、可愛いの中身が違います。
それと同じように、会社の人と同じ会議に参加したり、家族と同じものを食べたり、同級生と同じ授業を受けたり、共有したと思っていてもそれぞれ感じ取るものが違い、見ている視線の先が違います。
世界は繋がっているようで繋がっていないのです。
三つ目に紹介したいシーンは、三浦友和と一緒に影を踏むシーンです。三浦友和という重要人物の配役と、単調な生活の中に新たな登場人物が現れるという点からも大切なシーンだと言うことがわかります。
ふたりは影を踏んで遊びますが、ここで三浦友和が「影って重ねると濃くなるのかなぁ?」と疑問を投げかけます。役所広司演ずる平山は「濃くなるよ、ほら濃くなってるよ!」と断言します。三浦友和は、そうかなぁと終始疑問を持っていますが、平山は数少ないセリフの中で、影が濃くなっていることを断言しているのにも深い意味があると感じます。
それはまさに平山の生活を表しており、単調な生活を繰り返す中でも深みが増すことを指したいのかなぁと感じました。
長々と書きましたが、映画PERFECT DAYSでは平山は自分が思う幸せを追求しているように感じました。身の回りに自分の幸せを集めて静かに暮らす生き方も素敵だなと思えました。
ここに書いた感想は全て私の主観なので、制作側の意図とは違うかもしれません。ただ、受け取り方は自由であっていいと思うので、私はこのように捉えたと言うことを残しておきます。
次の記事では、最近聴いた曲から感じたことをまとめて
PERFECT DAYSの考察と繋げたいと思います。
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