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「大脱出」の正直レビュー

今更ながらDMM TVの「大脱出」を一気見しました。4月の「大脱出2」を前に、良かったところ物足りなかったところをレビューしてみたいと思います。
※ネタバレ有りなので注意です


1)非吉本にこだわったキャスティング

©️DMM TV

まず切り離せないのはキャスティング。
見届け人は、バカリズム(マセキ)バイきんぐ小峠(ソニー)。プレイヤーは安田大サーカスのクロちゃん(松竹)みなみかわ(松竹)きしたかのの高野(マセキ)岡野陽一(人力舎)トムブラウン(ケイダッシュ)お見送り芸人しんいち(ソニー)、そして追加メンバーとしてバイきんぐの西村ウエストランド井口(タイタン)が加わる。

ご覧の通り、圧倒的非吉本を貫いたキャスティングだ。佐久間宣行の「インシデンツ」も同様だが、吉本は配信番組への出演が面倒という噂も聞くのでこのようなキャスティングになったのだと思われる。
この非吉本キャスティングが良くも悪くもあったのかなというのが今回の感想。

2)「名探偵津田」を彷彿とさせる、前半の2人組パートの巧妙さ

埋められたクロちゃん©️DMM TV

この「大脱出」は、クロちゃんのメインビジュアルを見てもらえればわかるが、脱出がテーマとなっている。
前半は、
◎クロちゃん
◎みなみかわ&しんいち
◎高野&岡野陽一
◎トムブラウン
の4組に分かれて脱出を目指す。
この脱出まではとにかくワクワク感と疾走感があって最高だった。確かにテレビでは見られない絵がたくさん見られたし、普段見ない芸人同士の掛け合いも面白かった。

ある場所に閉じ込められ、そこからの脱出を図るという構図は、昨年の水ダウで話題となった「名探偵津田」と重なる。こちらの方が放送が早かったのだから、藤井さんの企画力にら恐れ入る。もちろん名探偵津田の方がテレビナイズされわかりやすくなってはいたが、こちらはこちらでそれに勝る絵力があった。

キャラに合った脱出方法

水ダウ常連組なだけあって、それぞれの脱出方法がキャラに合っていたのも面白かった要因だろう。

©️DMM TV



みなみかわとしんいちは人脈を使ってクイズを解いていく。正直ここが1番余裕があらように感じたが、トークも必要で口がうまく間をつなげる2人にはぴったりだったと思う。2時間ごとにヒントを聞けるテレカが届く、物資も変えることができる、そんな状況下だとゆるく過ごしてしまってもおかしくはないが、2人が作るギスギスした雰囲気と電話の人選とが神がかっていて、見ていて1番ワクワクした組だった。

©️DMM TV

岡野と高野はラジオネームの中に欲しいアイテムを入れ込み、そのハガキがラジオの中で採用されたらアイテムがもらえるというシステムだ。
素晴らしすぎるハガキ職人としての腕前と、
それでいて欲しいもの(と脱出方法)が脳筋すぎるというアンバランスさが最高だった。
お互いを励ましてあったり、美味しそうにタバコを吸う姿も良かった。

©️DMM TV

トムブラウンはお菓子の家を「食べる」ことで脱出した。1番シンプルだが、お菓子を貪る2人の絵力があったからこそ成り立った組だったと思う。ヒントや差し入れなど新たな展開があるわけでもないのに、なぜか引き込まれてしまう。逃げ場がない中で2人がボソボソ言いながらお菓子を食べているのが微笑ましくもあり、良いパートだった。

クロちゃんは画像の通り生き埋めにされている。埋まっていて身動きが取れない中で、「かわいそう!」と思わせないのはクロちゃんだけがなせる技だと思う。近くにあるアレクサに話しかけたり、犬に助けてもらったり、全てのリアクションが正解だった。絵が変わらない中でもインパクトを残すのは、さすが主役だと感じた。

が、正直クロちゃんパートの脱出が作為的で興醒めしてしまったのも事実。時間が経つごとに言うことが変わるアレクサ、犬が掘るだけですぐに脱出できてしまう砂の脆さ、等々ツッコミどころが満載だった。

3)井口と西村は何のために? 足りなかったのはまとまり感

前半はとにかくよかったが、後半からダレてきてしまったのが少し残念だった。みんなで協力して脱出するという脚本は悪くなかったし王道だったが、やらせ感と、誰かがやってくれるだろう感が否めず、失速してしまった印象だ。

まず、パラグライダーで西村がやってくる。その後、ドラム缶に詰められた井口が加わる。この時点でその場にいる芸人は9人とかなり大所帯だ。前半は2人ずつだったためそれぞれの個性も際立ったし、成立させようという緊張感が伝わってきたが、人数が増えた瞬間に「いつものテレビ」に戻ってしまった。

西村と井口は「過酷な脱出を経験していない枠」として場をかき乱すのかと思いきや、普通に7人と混ざって謎解きをしてしまう。追加枠は要らなかったんじゃないかな、というのが個人的な感想。

最終的な脱走も、みなみかわの「パラグライダーのインストラクターがいる」井口の「車で突っ込む」がかなり作為的に感じられて、かなり興醒めしてしまった。

もちろんいいところもたくさんあり、門に突っ込む前のしんいちの覚悟を決めた顔は良かったし、脱出できた後の青春感や見届け人2人にも実はクイズが課されていたという展開も面白かったのでトントンかなとは思うが、次回はどう改善をされるのか楽しみだ。

追加メンバーに求められるものは?

2にはさらば青春の光とザ•マミィの酒井の出演が決まっている。個人的には「大脱出」のメンバーを見た時に、このメンバーの中にさらばがいないのか、と思ったのだが、2には出演をするらしい。「インシデンツ」のメインではあったが、みなみかわも出演してるし。

追加メンバーを見て、今回足りなかったものを補う存在としてさらばを入れたのかなと思う。

非吉本のいいところは叩き上げで実力があったり、普段見られない絡みが見られたりっていうところだと感じているが、絡みがなさすぎてお互いをどう動かせばいいのかわからない、というデメリットもあるのかなと。

大脱出自体、ダウンタウン千鳥爆笑問題おぎやはぎ的な絶対的MCポジがいない(というかMCが介入せず見届け人をやっている)ので、誰がどう動くかはそこにいるほぼ同格のメンバー同士で探り合わなきゃいけない。そんな時に吉本ならある程度絡みもあって掴みやすいのかなと思うが、今回のメンバーに全員と絡んでいるような社交的そうな人も、強引にいじる人もいなかったのが後半ダレた理由の一つな気がする。
極寒の中、川の中の鍵を取りに行く人を決めるのに、トークバトルや押し付け合いもなく、指さしで決めてしまうのはないだろ、と思ってしまった。(つまらなくてカットされただけかもしれないけど)

キャスティング時点ではわからないだろうし、キャスティングされた芸人にも非はないのだけど。劇場で一緒になったり、テレビでちょっと一緒になるぐらい(で、いつもMCにいじってもらってる立場)だと距離感とかゴールの決め方がわからないと思うので、次回は割とみんなと絡んでそうなさらばを投入していじられいじりのテンポを取り戻すのかなと予想。酒井のクズっぷりも楽しみだ。

長くなってしまったし愚痴っぽくなってしまったが、作品自体は面白いし絵力も最高なので是非見てほしい。


【作品紹介】
「水曜日のダウンタウン」の演出・藤井健太郎ワールド全開!
地上波ではおそらく放送できない規模と過酷さ満載のロケバラエティ
見たこともない異常な世界から抜け出す大脱出の全記録がここに!

【あらすじ】
バカリズム、バイきんぐ小峠をはじめとする豪華メンバーが、テレビでも、配信でも…他では見たことのないスタイルのバラエティ企画に挑戦!あのクロちゃんをして「これまでのロケで一番キツかった」と言わしめた過酷企画の全貌とは…?

【配信日時】
DMM TVにて第1話〜第4話配信中
2023年3月8日(水)24:00より第5話配信開始

©DMM TV

【制作スタッフ】(敬称略)
企画・演出・プロデューサー:藤井 健太郎
構成:大井 洋一/矢野 了平/成瀬 正人/田中 淳也

【出演者】(敬称略)
メインキャスト:バカリズム、小峠 英二(バイきんぐ)
出演:クロちゃん(安田大サーカス)
トム・ブラウン/みなみかわ/お見送り芸人しんいち/岡野 陽一/高野正成(きしたかの)

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