#アドベントリレー小説 16日目

「アドベントリレー小説」とは、25人の筆者がリレー形式で1つの小説を紡いでいく企画です。
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『緋色のヒーロー』 #16

エンディングはどうする?

視線を感じて上を見る。
見慣れた研究所の天井があるだけで、他には何も無かった。

恐怖の大王<テリブル- ロック クロック>を完璧に燃やし尽くすための計算は順調だった。
今までは俺一人の力でギリギリ阻止できるレベルだったが、今回は心強い仲間、カナコちゃんがいる。
彼女の力があれば、燃やし尽くせなかった欠片を体内に取り込む必要もなさそうだ。

青い粉、蒼時硝<ブルー サンド グラス>で出来た巨大隕石。それを燃やし尽くすことが出来れば全てが上手くいく。ちひろの死が無かったことになる。 

青い雪も消えるとしたら
緋色のヒーローの存在理由も。

タイムパラドックスとか?

ふと、歴史の修正力という言葉を思い出した。
過去改変のために様々な行動をしても
それがことごとく失敗するか、あるいは成功したとしてもその後に成功を打ち消す出来事が起こってしまう。
SF小説とかでよくある話だ。
だが現実では絶対に起こさせない。どんな手を使ってでも成功させてみせる。

全部が無事に終わったら、今回の経験を生かしてループものでも書いてみようか。
主人公はニートで大切な人を救うためにタイムリープする。過去で色々な人と出会い仲間を増やす……警察官とか心強いが、裏をかいてヤンキー集団を味方にするなんて手も

けたたましいブザー音で一気に現実に引き戻される。
どうやら計算が終わったようだ。下準備に掛ける時間を考えると、ゆっくりもしていられない。
早いとこカナコちゃんと合流して作戦の擦り合わせをした方が良さそうだ。
今頃、ちひろの姿を見て号泣しているかもしれない。俺も最初の頃は号泣していたが、いつからかもう泣かなくなっていた。

伸びをしながら上を見る。
19931回目の隕石が天井の向こう側から
ゆっくりと、しかし確実に近付いて来ている。

誰も居ない部屋で自然とつぶやきが漏れた。

1回くらい見逃してくれたっていいだろ?
神様。

そうすんなり仲間と合流しても面白くないよね。

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