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「ぼくと仁義なきおじさん」がマンガがすごいというお話

はじめに率直に言おう。


私はアプデしようぜマンが苦手である。


いや、導入になんてこと言うんだって話だけども、要は価値観を押し付けられているような感じがあまり好きではない。
アプデってなんだ、勝手にアプデを求めるんじゃない。 となる。

とどのつまり

他者に強制されるアプデが苦手なのである。
最近再起動するたんびにWindowsの毎回聞いてくるアレみたいなもん。ワイはまだまだ10を使いたいんや。
アプデするタイミングくらい自分で判断するし、なんならアプデしないでその環境を楽しんだっていいというのが本音である。


そんなまぁぶっちゃけ偏屈な人間があるマンガに出会った。

ジャンプ+で連載中の「ぼくと仁義なきおじさん」である。
(https://shonenjumpplus.com/episode/316190247005165417)

あらすじ (公式より抜粋)
アニメ絶賛放送中の『ロマンティック・キラー』百世渡の待望の新作!毎日、独りでお留守番をする小学生の勇飛くん。ある日突然、家の天井に穴が空き、上の階のお兄さん・蒼井さんが降って来た!眼鏡が似合うカッコイイ大人の風貌とは裏腹に…彼には隠したい裏の顔があって!?極道イケオジ×心優しき少年の秘密のお留守番コメディ、始まります。

あらすじだけ見ると、さっきの話 何が関係あるん?という話になるが、中身を見るとなんとなくわかるかもしれない。


以下、人によってはネタバレになるかもしれないので注意。



このマンガには、女装おじさんや 小学生に恋しちゃう中学生の女の子やカワイイものが好きなスジモンが出てくる。


つまるところ、周りから「異端」とされる存在だ。


そうした異端とされる存在がお互いがお互いを認め合う的な内容が本作にはある。
ありのままの姿見せるのよ 的なアレだ。


この作品のすごいなと思ったところは、
「異端である」ということを肯定しつつも、周りへの理解は求めないところにある。
つまり、マイノリティからの脱却をあえて目指さない。
だから私を認めてよ!ママ!!! って感じではないのだ。
あくまでもひっそり、それでいて自分らしく 自分たちのコミュニティの絶対線は引いていく。


アプデしようぜ! な昨今の風潮をあえて逆走している感さえある。

つまり、周りに変化や認めることを強制していないのである。

私を認めない周りがおかしいのよ! 私は私らしく生きる!!のではなく、あくまでも他人を尊重した上での私は私らしくなのだ。。


ある意味めちゃくちゃリアルだと、私は思う。



周りの目は残酷だ。
いつだって異端であることは好奇の目で見られるか、否定の目で見られる。
だからこそそんな存在を否定したくもなるし、むしろわからんあいつらが悪い!に持っていくことの方がぶっちゃけ楽だし、マンガ映えもたぶんするだろう。
明確な対立構造を作った方が、たぶんお話的にはすっごい楽だ。


しかし、このマンガは違った。
あくまでもキャラクターは集団生活の中に生きている。その上でいかに生きるか、いかに自分らしく生きるかを描いている。
他人に決して自己の価値観を押し付けることがないのだ。


印象的だったのは第7話冒頭のやり取り

女装おじさんに対して、女の子がカッコイイと口にする場面がある。
女の子はすかさず
「あっすいません。カッコイイは失礼ですか?」 と聞き返す。
女装おじさんは
「そんなことないわよ カッコイイも褒め言葉 ありがと」と返すのだ。

なんてことない会話だが、ものすごくセンスを感じた。

褒め言葉がその人にとって苦しみになる、という話を何度か耳にする。
でもそんなこと正直気にして生きていると何も言えなくなってしまうのではないか、と私は思う。
だって褒めている、その人のことを評価しているのだから。

褒めている側が気を遣う こと自体が正直異常だとすら思う。
※おっぱいおっきいねみたいなセクハラ的発言は別だが

称賛の言葉は素直に出していい、出すべきだと私は思う。
受け取り手がどう思うかを考えて出す称賛の言葉は、果たして本当に自分が思った言葉なのかどうかとすら思う。

女装おじさんは女の子が出した素直な気持ち「カッコイイ」を正面から受け止めている。
たとえばここで
「そうだね~ まぁカワイイの方が嬉しいかなぁ アハハハ」なんて言われてたらたぶんこれ以降見るのやめてたと思うくらいだ。
あくまでも他人を認めつつ、他人の価値観自体は阻害せず、それでいて自分の場所を作ろうとする。生きようとする。
そんなイキイキとしたキャラが出るのが本作なのだと思う。


リアル、とは言わないが 気持ちがいいのだ。



おそらく実写化もするんじゃないかなと思う。
てかたぶん素材としては実写化向けだ。 (もう決まってるかは知らん)


だからこそ、実写化したときはそんなバランス感覚を大切にしてほしい。
過度なお涙頂戴だったり、過度な私は私!ありのままの姿を見せるのよ!は少し違うように感じる。
お願いだからそんな制作陣には当たらんで欲しいなと切に願う。



なんやかんや小難しいことは言ったけど、シンプルにコメディとしておもろい。
それに尽きる。


ここまで2000字書いたけど、ぶっちゃけ何が1番すごいかって

「シンプルにコメディとしておもろい。」


もうこれでいい気がした。


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