中村靖日さん

 中村靖日さんが先日、逝去されました。
 信じられない思いでいっぱいで、しばらく言葉もありませんでした。なぜこんなに突然に。こんなに若くして。

 大学の後輩だった中村君とは、学生時代、共に映画について語り、共に自主映画を作り、そして、出演もしてもらいました。たくさんの思い出があります。

 中村君は、後輩でありながら、映画や創作について、深く話のできる良き友達でした。初めて映画作りで頼んだのは、撮影でした。でもその透明な、独特の雰囲気に惹かれて、予定にないカットで、階段に落ちる綺麗な光の元に座ってもらい、本を読む青年を急に演じてもらった。それをきっかけに、次の自主映画には、重要な弟役を演じてもらった。さらにその次の自主映画でも、飄々とした学生を演じてもらった。常に中村君とは、役者と監督ではなく、友達同士だった。それは、それからも同じ。
 突然の訃報を聞いて、何も考えられなかった。受け入れられなかった。しばらくして、なぜか、深夜の小金井公園の満開の桜の下で、枝を揺らして桜吹雪を作り、万歳三唱をしながら大笑いした時のことを思い出し、涙が止まらなくなった。

 会えば必ず映画作りや創作について話をしていた中村君。いつまでも学生時代、自主映画について話し合っていた時と、同じ気持ちで将来について話していました。
 きっといい雰囲気のおじいさんの役者になるんだとばかり思ってた。
 悔しさや悲しさや、なんで中村君が今、と言葉が行き来戻りつして気持ちの整理がつきません。
 こんな日が来るなんて、今も信じられません。

 謹んで、中村靖日さんのご冥福を、お祈りいたします。



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