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【レポート①】阿部知事オープニングスピーチ

1000人会議から早くも2週間が経とうとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日から、毎週金曜日の夜に当日の様子をレポートしていきます!「だったらいいねじゃ終わらせない」ためにも、ご参加できなかった方や部分参加だった方を含め、より多くの方に2日間全プログラムの熱をお伝えします!

10月8日(土)11:00~11:30 

阿部知事オープニングスピーチ


・プログラムの背景

阿部長野県知事には、今年で4回目になる信州若者1000人会議に毎年ご参加をいただき、今回は開幕を飾るオープニングスピーチをお願い致しました。

お忙しい中、事前インタビューも快く引き受けてくださいました。長野県の顔である知事として意識していることや、目指したい長野県の姿について伺うことができました。

当日は、知事としてというよりも、よりパーソナルなお話をというリクエストをさせていただきました。公の場ではめったに聞くことのできないお話も多く、私たちの意図を忠実に汲んでいただけたからこそ実現したオープニングスピーチとなりました。


・プログラムのレポート 


「みなさん、こんにちは。私は長野県知事の阿部と申します。よろしくお願いします。」
こう、手話で挨拶をされてからスピーチが始まりました。


〇すべての人が社会をつくる

すべての人たちが社会の構成員であり、一緒になって社会をつくっていかなければいけない。そのためにはコミュニケーションが一番大切だけれど、そのことを私たちは忘れがちで、皆さんにも簡単な手話を使って欲しいという思いで言語条例をつくりました。コミュニケーションを大切にして、みんなで長野県を良くしてきたいと思っています。

〇ご縁で長野県に

なぜ知事をやっているのかを一言で言うとご縁ですね。私は東京生まれで東京しか知りませんでした。就職のときに、いろんなところへ行けていいんじゃないかと思って、地方自治に関わる役職につきました。やってみると、地方自治は予想以上におもしろかった。地域の個性をどう伸ばすか、どうやって住民と共につくっていくかを考えるようになりました。

そして21世紀になると同時に長野県民になりました。前年にギランバレー症候群になり、しばらく入院していたんです。でもそのおかげで長野県知事になったといっても過言ではないです。難病ゆえに異動は出来ず、留め置かれていました。それで長野県へ行けと命を受けてやってきました。それから副知事になり、それが知事になる最初のきっかけです。

〇人間万事塞翁が馬 どんな苦労も確実に次へ繋がっている

病気のときは本当に死ぬと思っていました。でもそれがなければ今こうして皆さんの前でお話することもなかったと思うと、どんな苦労があっても前を向いていれば必ず次のステップに繋がっていると思えます。大変な課題を持っているときこそ、前向きに頑張ってください。


〇可能性にあふれた県 信州

副知事をしていた頃、田中知事は混乱の政権でした。ここでは続けられないと居たたまれない気持ちになり、後ろ髪引かれる思いで長野を離れました。

でも長野県は非常に可能性にあふれた県でした。意外な日本一をたくさん持っている県なのにまだまだそれを活かしきれていない。もっといろんなチャレンジを!と思いました。そして、なんといっても私は長野県が好きです。これは理屈じゃなくて居心地がいいんですね。そんな長野県を、県民のみなさんと一緒にもっとよくしていきたい。それで長野県に戻って知事に立候補いたしました。

〇モチベーションは 県民の皆さんの想い

私が県民の皆さんを応援するよりも、みなさんから力や勇気をもらうことのほうが多いと思います。皆さんからの声がモチベーションになっています。

若い皆さんは、選挙にはあまり縁がなかったり興味がない世代ですよね。私も若い頃は正直そうでしたが、選ばれる側になって大事さを知りました。選挙期間中には普段行けない僻地にも行って対話をします。住民の苦労をリアルに感じます。


〇長野から新しい社会をつくる

私は自治の力を確信しています。多様性の価値観を信じて大切にしていますが、社会全体がまだ東京中心主義の発想から抜けきれていないです。みんなそれぞれ違う想いをもって生きているからいい。その想いを実現していくには、画一的な方法では時代遅れだと。私は地方自治をライフワークとして、その実践をしてきたので、長野から新しい社会をつくって提案してきたいと思っています。

〇県民の皆さんと一緒に

あっち側こっち側をやめようと思っているんです。要請だけの一方通行じゃ世の中はよくなっていきません。予算をいくらつけたところで思いがなければ実現できません。知事としてやることをきちんとやり、皆さんにお願いすべきことはお願いします。一緒になっていろんな問題を解決していくことが大切だと常々考えています。

〇逃げない

大切にしているのはどんなことにも正面から向き合うことです。これは知事でなくても言えることですが、逃げれば逃げるほど問題は大きくなり複雑化します。正面から向き合うことが全てに通じて重要だと思っています。

〇多様性・持続可能性

重視している価値観がふたつあります。ひとりひとりの個性や地域の特色が活かされるような、多様性が尊重される社会になっていく必要があります。

もうひとつは持続可能性。モノの豊かさを追求する時代は終わりました。人口減少、温暖化などの問題を受け、次世代を視野に入れた持続可能性を考えていかないといけないですね。

〇キーワードはグローカル

グローバルな視野でローカルに。広い視野をもって軸足は信州におく、地に足のついた活動が求められています。新しい県立大学の設立に向けた準備が行われていますが、寮生活や海外経験を必須として、グローカルな人材を育てていきたいです。経済界、産業界としっかり連携した教育を目指していきます。


続いて質疑応答の時間に入りました。

Q. 選択・決断をするときに大切なことは?

A. 内容によりますが県民の皆さんの声には大小があって大きいものだけ拾えばいいわけではないです。思いに寄り添いながら、未来に向けて、多数決ではなく理解を得ながらよりよい方に。反対されても良いと思えば推し進める判断をするときもあります。

Q. 関東圏に出てしまうと帰る気がなくなるが、数年働いて帰ってみるとものすごい魅力に気づいたという経験があります。20代に向けて長野県の魅力を伝えるとしたら?

A. 自分で気づくしかないですね。私の場合は、山や自然の良さに自分で気づき、長野が好きになりました。一人ひとりがしっかり感じて考えるべきだと思います。

〇若者の力を活かした学習県に

若者一人ひとりの力が大きな力になるようなネットワークづくりをし、教育県から学習県へという力強いメッセージでスピーチが締めくくられました。


個人的なご経験や、信念・価値観、長野県への想いをお聞きし、知事としての一面だけでなく長野県の未来を考える一人の先輩としての一面を知ることができました。阿部知事から受け取ったお話を、各個人が今後の活動につなげていくことで、今ある想いがよりよいカタチになっていくと感じました。

(運営・工藤)




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