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【インタビュー】主体性が地域を変える - 阿部守一長野県知事

信州ゆかりの若者たちが集い、明日へと繋がるアクションを起こすきっかけの場「信州若者1000人会議2016」。開催まで10日を切りました。

テーマは「2030年の信州をつくる」。どんな信州にしていきたいか、これから活躍していく若者たちに聞いてきました。

信州若者1000人会議 Facebookページにて更新中

今回は知事就任から6年、長野県を引っ張ってきた阿部守一知事にお話を伺いました。
阿部知事には過去の1000人会議にもご参加いただいておりますが、知事は若者たちと未来の長野県をどのように考えているのでしょうか。

聞き手:藤原正賢(慶應義塾大学3年)
文:波多腰遥(株式会社CREEKS)


知事の思う長野県の強みとは

― 知事になられて丸6年、どんなことを意識されているのでしょうか。

知事としていつも心がけているのは、長野県の持っている潜在力をどう引き出し伸ばしていけるか、また逆に課題となる長野県の弱みをどう押し上げていけるか。長野県らしさや、長野県がどうありたいかということを、常に考えながら仕事をしています。

私は毎朝、神棚に手を合わせるのですが、知事になってから毎日「県政を進めるにあたっては、県民のみなさまと協力しながら努めていきます」と、そう誓っています。

知事として、安心して暮らせる活力ある県にするために尽力しなくてはなりませんが、私一人ではどう逆立ちしても長野県はよくならないのです。

私がやらなければならないこと。そして、県民一人ひとりにやってもらいたいこと。ふたつの相乗効果で長野県がよくなっていくと考えてます。

私がやりたいことを県民のみなさまにお願いすることもあります。逆にみなさんが県に期待していることは真摯に伺いながら、県政を進めていきたいですね。


― 知事としては、どんな長野県であってほしいとお考えですか。

長野県の最大の強みは「地域力」であります。

最近いろいろなところでお話させていただいているのが、一昨年に白馬で発生した神城断層地震における現地での対応。震度6の地震が発生したにもかかわらず、直接の地震被害による死者は0。メディアの一部では白馬の奇跡などと言われましたが、これは奇跡などではありません。

白馬では「災害時住民支え合いマップ」を整備するなど、地域のなかで日頃から顔の見える関係を築けていました。どこにお年寄りがいるのか。誰が助けるのか。緊急事態においても一人ひとりが協調できていた。これが結果として死者ゼロへつながったのです。


教育県 から 学習県 へ

― 「地域力」という話が出ましたが、その強みを活かして知事がこれからやっていきたいことはなんでしょうか。

長野県はかつて「教育県」と呼ばれていましたが、私は「学習県」にしたいのです。

過去の時代背景のなかでは、画一的な教育方針で一定の教育水準を確保していくことが日本の発展にとって重要でした。

しかし、これからの時代はモノの豊かさの追求から次の目標を探さなければなりません。それはなにか?やはり心の豊かさだと思うのです。

心の豊かさというのは、モノと違って目に見えません。人それぞれ求める質や量や形式が異なり、極めて主観的で多様性があるわけですよね。

自分たちが主体的に問題意識を持って、
自分たちが主体的に学んで、
自分たちが行動して解決していく。

これからの社会は他人事ではよくなっていきません。長野県を元気な県にするにも安心できる県にするにも、やはり一人ひとりの県民の行動、とりわけ若者のアクションはとても重要です。

これまでの日本の、まさに教え育てる一方向的な「教育」の方針より、主体的な姿勢を感じる「学習」という言葉を掲げていく方針です。


長野県の一番の財産は、やはり人です。

その一人ひとりが画一的ではなくて、多様かつ多彩な能力を伸ばしていける環境こそが長野県の目指す姿であり、それが結果として地域力の向上にもつながっていくのではないかと思っています。


― 「学習県」の実現に向けて、今後はどのようなことに取り組まれる予定でしょうか。

長野県はこれまで教育県と謳っておきながら、高等教育機関が極めて少ない。現在は新しい県立大学を平成30年開講を目指して取り組んでおります。

若者たちには生涯を通して学ぶ人間になってほしいので、この学校に通う学生には自ら学習する習慣を養ってもらいたいです。

しかし他人からあれをやれ、これをやれと言われていたのでは、主体的な姿勢は身につきません。私は違う文化や風土に触れることが、若者の学ぶ意欲を刺激すると考えていまして、この学校では入学時は全員寮に入ってもらい、在学中に必ず海外体験をしてもらう予定です。


前進するために、まずは声を挙げる

― 1000人会議に参加するアツい想いを持った若者に対してメッセージをお願いします。

若いみなさんは生まれた頃からインターネット社会ですよね。世界の人たちとグローバルにつながるのが当たり前の時代を生きています。私たちの世代とは異なった社会の見え方をしているはずです。

私はこれまで頑張ってきた世代が思う地域の在り方と、これからの長野県を支える若者が考える地域というのは、必ずしも同じ方向性でなくていいと思っています。もちろん、日本人として世界に対して大切にしなければならないことは守り続けてほしいですが。

社会環境が大きく変わるいま、現状維持は後退だと思います。常に前進しなければならない。

前進する活力はやはり若いみなさんが一番持っているので、自分たちの考えや想いを臆することなく主張して、まずは若者同士が協調して、新しい長野県をつくってもらいたいです。


インタビューはこれにて終了。最後に「2030年に向けどんな信州にしたいか」、スケッチブックに書いていただきました。

『地域力・若者力を活かした「学習県」にしたい』

インタビューのなかにも出てきた「地域力」、そして私たち若者の活力が今後の信州の発展に強く求められると語ってくださりました。

阿部知事には今年の1000人会議にもお越しいただき、オープニングスピーチを務めていただきます。

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信州若者1000人会議2016
長野県知事 阿部守一氏 オープニングスピーチ
10月8日(土)11:00〜11:30

プログラム:
・阿部知事スピーチ(20分)
・質疑応答(10分)

信州若者1000人会議 詳細・申込みはこちら

参加に際しての相談・問い合わせはこちら↓
info[at]shinshu2030.com([at]→@)

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