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ウパニシャッドの哲人ヤージュニャヴァルキヤ

ヤージュニャヴァルキヤ(Yajnavalkya)は、古代インドの哲学者・法学者であり、ウパニシャッド時代(紀元前800年頃から紀元前200年頃)に活躍しました。彼は主に「シュヴェターシュヴァタラ・ウパニシャッド」と「ブリハド・アラニヤカ・ウパニシャッド」に登場し、重要な思想や教えを提唱しました。

ヤージュニャヴァルキヤは、ヴェーダ(古代インドの宗教的なテキスト)の伝統における最も重要な人物の一人です。彼はヴェーダの研究や解釈に深く関わり、ウパニシャッド哲学の発展に貢献しました。

彼の主要な教えの一つは「アートマン」(自己)の概念です。ヤージュニャヴァルキヤは、アートマンが宇宙全体と結びついており、すべての存在の根源であると考えました。彼の哲学では、アートマンは不滅であり、肉体や物質の束縛から解放されることができるとされています。

また、ヤージュニャヴァルキヤは「ネートィ・ネートィ」(「それではない、それではない」という意味)という有名な教えを提唱しました。これは、言葉や概念によっては表現できない究極の実在を指しており、人間の理解を超えるものであるとされています。彼はこの教えを通じて、絶対的な真理や宇宙の本質を探求しようとしました。

ヤージュニャヴァルキヤはまた、法学(ダルマ)の分野でも重要な貢献をしました。彼の著書「ヤージュニャヴァルキヤ・スムリティ」は、法律と倫理に関する原則や規範を詳述しています。この著書は、古代インドの法体系や社会の運営に大きな影響を与えました。

ヤージュニャヴァルキヤは、古代インドの思想史において重要な存在であり、ウパニシャッド哲学やヴェーダ学の発展に寄与したことで広く称賛されています。彼の教えや著作は、インド哲学や宗教の研究者にとって重要な参考文献となっています。


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