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好きなことで、生きていくために、必要な力とは?

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論Ⅰ 第2回(2020年5月25日開催)一般社団法人i.club代表理事である小川悠さんの講演を聴講した記録を残します。

i.club(イノベーション・クラブ)は東日本大震災をきっかけに2012年に設立され、小川さん自身の東京大学でのイノベーション教育をもとに、中学生・高校生が地域を舞台に、イノベーションに挑む教育プログラムを開発・提供しているそうです。教育は、これからの時代に必要な力を身に着けるために存在していて、今の中高生はどういう力をもってもらいたいのか?について考え続けているとのことでした。

講演の最初の問いは、
Q1:イノベーションとは?中学生・高校生にどのように説明しますか?
これは本当によくある問いだと思うのですが、中学生・高校生に説明しようと思うと、かみ砕いて説明しないといけないから意外と難しいですね。

日本ではイノベーションとは、狭義の意味で「技術革新」と説明されていることが多い(広辞苑にもそう書いてあるらしい)ですが、小川さんの定義は「未来をつくるアイデア」。そして、その「未来をつくるアイデア」とは、新しい価値観・行動・習慣に変化するためのアイデアだということでした。

その具体例として挙げていたのが、「ジョセササイズ」。雪国の人にとって除雪作業はとても苦痛で辛いものだというイメージを覆し、体を動かす最高の機会とするという発想で、除雪とエクササイズを組み合わせたジョセササイズというイノベーションを生み出し、観光資源までにしてしまっているそうです。

そして、いよいよ今日の講演のメイントピック。次の問いは、これからの時代に必要な力とは?

「好きなことで、生きていく」

さすがに、YouTube世代の中高生にとって一番刺さるのが、この「好きなことで、生きていく」力だそうです。

Q2:好きなことで、生きていくために、必要な力とは?
という問いに対して、小川さんは「自分の旗をたてられること!」だといいます。そしてそれを因数分解すると以下の2つ。
  ①自分の旗をもつ力
    →自分の「好き」から生まれる問いをたてられること
  ②誰も立てていない場所に旗を立てる力
    →自分がイノベーションを創造できること

Q3:どうしたら、自分の「好き」から生まれる問いを立てられるのか?
自分の「好き」を探すためには、すぐに自己分析をしなきゃってことになりがちですが、自己のの内面をいきなり理解しようとしても難しいですよね。いきなり自己分析してもよくわからない、うまくいかないというのが皆さんの共通理解ではないでしょうか。

そんな中で、自分の好きをどう見つけるのか?という問いに対して、小川さんは「誰かのための価値創造を通じて、他者を理解し、自己理解につながり、自己変容を目指していくアプローチ」だと言います。

それが、小川さんが主宰する「i.club」の活動そのものにつながっています。

誰かのための価値創造(つまり、未来をつくるアイデアを出すこと)が、他社の理解につながり、それを通じて自己理解、自己変容を目指していくというアプローチです。i.clubでは、その未来をつくるアイデアをだす機会を多くの中高生たちに提供しています。

今日の講演を聞いて印象的だったのは、すべてが「問い」からスタートしていること。そして地方創生、子供たちへのこれからの教育、自分で設定した課題を同時に解決する最良な方法を実験しながら探求するサービスデザインのアプローチからは、多くの学びがありました。

問いを設定して、それを解決する最良のアプローチを考えデザインする。創造性には年齢は関係ないと断言していた小川さんは、まさに自らが好きなことで生きていて、その姿、情熱にとても心打たれました。



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