土地の歴史を重んじ未来へつなぐ

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論Ⅰ 第10回(2020年7月20日開催)「うなぎの寝床」白水高広さんの講演を聴講した記録を残します。

白水さんは福岡で、「うなぎの寝床」を含めて地域文化商社を3つ立ち上げています。うなぎの寝床は「モノ」を流通させ、UNA Labは「体験」、そしてサイセーズは「循環」を生み出す会社だそう。

理念とミッションとして、「もの」と「ひと」を介した本質的な地域文化の継承と収束、その在り方を思考し、行動し続ける生態系を作る。そして、地域文化とは、ある一定地域における(地域)土地と人、人と人が関わり合い生まれる現象の総体(文化)と定義し、「地域文化商社」という業態は、その地域文化を解釈し、その現代活用の方法を探る。そこから経済的な価値を持続的に生み出し、連続的な経済循環を生み出すということだそうです。

とにかく行動的で、PDCAではなくDDDDだとのこと(笑)。

元々学生のころから規則正しい生活ができるタイプではなかったので就職をやめたとのことでしたが、2012年7月にうなぎの寝床をオープン。地域で作ったものを地域で買える場所をつくる。最初にオープンするときも、大きな初期資金をかけず、店づくりも手作りにこだわっています。とても素敵。

ローカルではなくて、その土地らしさの「ネイティブ」が大事。土地の歴史を重んじ未来につなげていく、意識を持った人々の営む景色「ネイティブスケープ」という概念を大事にしているとのこと。歴史とか技術とか思想をうまく伝えて、経済をまわせるのかが課題で、いわゆる大量生産などの大企業がやっているような価格や機能で勝負するわけでもなく、文化→経済の順でやっていくということ。

地域の作り手がたくさんいる地域で出展して、流通コストも抑えて、ものと大事に長く付き合ってもらうことを目指しています。

そして、うなぎの寝床に加えて、体験を通じて意識も行動も変わる、ツーリズムをはじめています(UNA Labs)。

お話を聞いていて、とにかく「経済」をまわすことにこだわりというか執着を持っているところが印象的でした。単に地元の良いものを伝えたいというよりも、それを未来にわたって存続させていく、そしてそれが価値を持ち続けるように変化させていく。その仕組み作りを様々な実験をしながら着実に実行していく姿に大きな刺激をいただきました。

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