緊急避妊薬について考える

先日、アフターピル(緊急避妊薬)の処方箋なし販売への推進運動について批判的なツイートをした。
案の定、推進派らしき人々からキツい批判を受けている。
ただ、その批判は、この問題を先導している組織集団が提唱している流れにそったものばかりである。

①海外では処方箋がなくて買えるし問題は起きていない
②堕胎するための薬ではなく受精(妊娠)させないための薬である
③不幸な妊娠を減らすことができる
④常習性やモラルハザードなど起きるわけがない
⑤医者が儲けるためのものでだから医師(の組織団体)は反対している
と大きく分けるとこのような話だ。

まず、誤解があるといけないので言わせて貰えば、私は反対ではなくどちらでも良い。自分の住む世界とは違うところの話だと思っている。
なので別に認められたら認められたで問題はない。

私がなぜ批判的なことを言うのかについて思いを伝えておきたい。
一つには規制を緩和することへの躊躇があることだ。
比較対象に適当かどうかはわからないが聞いてもらいたい。

今の日本、ペットボトルを使われていない人だろう。
日常生活の中に当たり前に存在している。
そして現代日本においては便利さこの上ない反面、環境に負荷をかける厄介者になりつつもある。いやメリットデメリットと比較せず環境についてだけ考えれば厄介者でしかない。

このペットボトル。技術として特許を得てからもまだ半世紀を経ていない新しい製品なのだ。
そして日本に登場したのは77年に醤油の容器として製品化された。サイズは500mlだった。
これは、それまで一升瓶が主な購入方法だったことから、軽いのに破れないという便利さから瞬く間に市場を席巻していった。

ここで気付くのは飲用ボトルは認められていなかったということだ。
これには食品衛生法において容器として認められなかったという法の壁があったためで、海外では清涼飲料水がメインであったことから考えると特殊な事情であった。

82年になって法改正がなされ飲用にも認められることになったのだが、この際に一つの議論が起きた。
「ゴミ(廃プラ)が増えて環境悪化に繋がる」「清涼飲料水が飲まれるようになり健康に影響がでる」
などリスクが問題になったのだ。
そのころはまだまだ高度成長の余韻の残るころで、廃棄物の問題など社会的にはさほどの問題意識がもたれていなかったし、健康問題も同様に意識は低かった。

それですら有識者からこのような反対論が出たことにより、500mlの小型サイズは認めないという業界による自主規制をもって認められるようになった。
これこそあっという間に全量ペット化され時代的変革が起きた。
その後、85年には酒類が認められ、96年に容量の自主規制が撤廃されるという流れとなっている。

92年の自主規制撤廃においては、すでにゴミ問題が話題になるが人間の欲は抑制的には働かず「リサイクルをキチンとすれば良い」「ポイ捨てなど起きない」などの声に押し切られたなし崩し的なものであって、根本的な対策が間に合わぬままの見切り発車であったとも言える。

実際、業界によるリサイクル組織は93年にできたものの、抑え切れるわけもなく環境負荷は大きくなり、公害として捉える意識の醸成により95年に容器包装リサイクル法による法規制が入った。
それとて業界よりのものであったために有効性が低く今に至っている。
もちろん、どこまでが低いのかとか効果がないなどは人それぞれなので現状でも十分と言う人もいるだろうが。

82年の食品衛生法の法改正時、私は賛成をした。
便利であるし、そんなにゴミが増えるわけもなく問題になるようなこともないリスクよりベネフィットという思いで安易に賛成した。
それをずっと後悔している。
今、当時言われていたことがわずか40年で現実どころかそれ以上に悪化して起きている。
そして環境対策として多額の費用と労力をかけ、健康問題も年少生活習慣病まで蔓延している。

もちろん、推進派からすればペットボトルのことと一緒にするなという声もあろう。
ただ、こんな失敗をしたくないのだ。
だから何事に対しても私は基本的に否定的な立場に必ず立つ。
納得させてもらえるのなら賛成することだろうが、今回この問題では、推進派の言っている程度のことでは納得できない。
少なくとも「海外では」というのは聞く耳は持たない。海外で常識なら日本でやらねばならないなんてことはない。海外で問題が起きなくとも日本で起きるかもしれない。

疑問点として
①緊急避妊薬を使えるか否かをどう判断するのか。アレルギーなど体質や既往症により使えない人へのフォローをドラッグストアで行えるのか。
②使用後、避妊ができているのか、心身に問題は起きていないのかなど医師の診察を受け確認をすべきと思うがそこまでどうやって誘導するのか。
③常習性、中毒性、用法用量を守らぬ服用などをどのように回避するのか。
④横流し問題はどのように対処するのか。
⑤強制性交と同意性交を同列にして良いのか。強制性交事犯が影に隠れることはないのか。
がとても心配である。
他にもあるが、これに対する推進派の回答が弱すぎると私は思う。

もちろん、推進派にとっては多くのメリットがあるのだろう。
ただ、それが本当にメリットなのかどうかということも考えていかねばならないのではないだろうか。

ありがとうございます。どうぞご贔屓に。