見出し画像

[試み]2023年11月のRSIパワーゾーン戦略(逆張り監視リスト銘柄)の成績はどうだったのか


■本稿の意図


市場開場日は毎日更新しているRSIパワーゾーン戦略に基づいた逆張り監視リスト。実際、リスト通りに愚直に運用したらどの程度の損益になるのか、2023年11月分について吟味する試みである。


■はじめに(RSIパワーゾーン戦略について)


RSIパワーゾーン戦略の概要を改めて説明すると「日足の戦略であり、200日移動平均線と期間4の短期RSIを使用する。ある銘柄の価格が200日移動平均線を上回って推移しているとき、RSI(期間4)が30を下回ったらそれをトリガーとして買い向かい、RSI(期間4)が55以上になったら売り抜ける。」という単純な手法である。上昇トレンド中の押目を拾うためのシンプルな手法だと思って頂ければよい。ロ−レンス・A.コナ−ズの「『恐怖で買って、強欲で売る』短期売買法」に掲載されている手法だ(具体的には下図の青い↑で買って赤い↓で売ってるイメージ)。

RSIパワーゾーン戦略事例:スズキ(7269)の売買箇所

この戦略については以前詳しく記事を書いたのでそちらを参照してください。
なお、前掲のコナ−ズの著作の中では損切りのルールが明確化されておらず、200日移動平均線を価格が割り込んだらストラテジーの前提条件が崩れてしまうためそこで決済(ロスカット)することを私はルールとして追加している。

■少しエクスキューズ


「なんだ実際儲かってるかどうか把握してないの?」と云われそうなので言い訳させて頂くと、自分の場合は別途このRSIパワーゾーン戦略の検証をファンダメンタル的にこれはよいぞと思った個別銘柄を中心に行っており、バックテスト結果が良好な銘柄群というのを既にストックしているわけでして、その銘柄群が逆張り監視対象になってから売買を検討するという手順を踏んでいるので、逆張り監視対象になったから即エントリー対象になるということは基本的にないのでございます。

とはいえ、単純に逆張り監視リスト=売買対象にした場合、ポストもしている手前どうなるのかを把握しておくことは道義的責任とまではいわないが、義務感のようなものを感じるのと同時に個人的にとても興味があったので、2023年11月分について検証してみた次第である。


■注意点など


・11月分と言いながら、売買は11月中にリスト化された銘柄では収まらないので(例えば10月後半に買って、11月に入ってから利確候補となった場合や11月中に買ったけど月内には利確水準に達しなかったなど)、単純に11月中にリスト内にあり、その中で11月中に売却(利確、損切り)が行われた銘柄を考察対象としている。
・ストラテジーの特徴として利確候補→売却となっても高く買って安く売っているケースもあり、その場合は当然利益はマイナス計上となる。
・売買は各1回のみでナンピンや部分利確は行っていない。
・手数料等経費は考慮していない。
・リスト組入、利確候補、ロスカット(LC)候補の判定は終値で行うので、各々の候補となった場合その翌営業日の寄付きで売買するため、判定の日と実際の売買の日との間に1営業日ラグが生じる。
・損切りは200日単純移動平均線を割った翌営業日の寄付きとしている。


■11月分のRSIパワーゾーン戦略の結果


で、シコシコとりまとめてみたのが以下の表(3枚)である。たった一ヶ月分とはいえまとめるのに半日かかってしまった。

2023年11月のRSIパワーゾーン戦略売買一覧1
売買一覧2
売買一覧3

結論からいうと銘柄毎の細かなテクニカル的背景やファンダメンタル的要因を考えなくても、ストラテジーのトリガー(リストイン)を妄信して勝負しても勝てたということになる(良くてトントン位かなと考えていたので少し安心した。というかこの月は月間で日経平均は9%ほど上昇しており、地合いが良かったという影響も当然あるだろう)。


■表の見方と結果考察


青い背景箇所はストラテジーのルール(RSIレベル55に到達)にしたがって売却した箇所(なお利確候補と書いているが実際に利益が保証されてるわけではない点に注意)で、オレンジの背景はストラテジーの損切りルール(価格の200sma割れ)に従って売却した箇所である。

すべての取引を最小単元で売買したと仮定して、総利益が+757,160円。総損失が-582,900円。トータルの収支は+174,260円。勝率は56.7%。プロフィットファクターが1.299。これが良い数値と言い切るには正直微妙な値だが・・・。またこれは11月という「期間」で切り取った範囲の中であることに留意しないといけない。

それともうひとつ触れておくべき重要な注意点がある。最少単元(各ポジション100株)の取引だと仮定しても、指数が大きく下落するなど地合いが悪いときは、本リストに組み入れるべき(ルールに従うなら買わねばならない)銘柄数も増えるため、それに見合った資金を用意できないと実際のこのシミュレーションを再現することは出来ないことだ。

ちなみに11月の最大組入銘柄数は11月1日で、この日に持っているはずのポジションは計56銘柄という大所帯になる(↓下の画像参照)。このポジションを立てようとすると現物で約1,600万円、全て信用でまかなうとしても約500万円程度の資金は必要であり、ある程度資金に余裕がないとこのルール通り買うことが出来ない(まあ実際現実的でもないですよねえ)。

さらに極端な例を出せば、2023年の1月5日には103銘柄ものリストが形成されており、資金はもっと必要なときがあったりするのだった。


11月1日のリスト1
11月1日のリストその2

なので今回の検証はあくまでも机上の空論に近いことに留意頂ければと思う。

■改善プランを少々


折角なので少しだけ改善プランのアイデアを記す。
・本家「『恐怖で買って、強欲で売る』短期売買法」にもあるように、RSIレベルが更に下げた場合に追加ポジションを持つ(ナンピンを行う)。同書籍の中ではRSIレベル25を下回った場合に同量ポジションを買増しする方法とRSIレベル20を下回った場合2倍買増しするアイデアが載っている(後者の方がバックテストの成績は良い)。またこの手法は、ルール上のロスカットになる確率は低い。例えば今回のケースでは全取引回数98回のうち9回だけだ。なので利確水準になる前にいかに多く安く仕込むかも肝要である。
・今回勝ちトレードの平均保有期間は約12日、負けトレードの平均保有期間は約17日である。保有期間が長いトレードほど負けが多い傾向があきらかなので、ある程度保有してターゲット水準(RSIレベル55)に到達しなかったらポジションを切る、あるいはロスカットレベルを建値に移動させる。
・リスト化された銘柄の中からファンダメンタル要因、テクニカル要因を勘案してより手堅そうなものだけに投資対象を絞り込む(売上高成長が継続している銘柄に絞る、ROEの水準による足切り、前回安値を下回っていない等々)。
・お気づきの方もいらっしゃると思うがリスト数が大きく上下する(極端な場合1ヶ月の間に1桁から3桁くらいの間を動く場合もある)ため最低単元で投資してたら、地合いが良くリスト数が少ないときに投資資金が遊んでしまうので資金効率がやたら悪くなってしまう。従って実際にはリスト数に応じてロット数を変えるべきだ。(←別の手法を採ればよいともいえますが・・・笑)
・いっそのこと逆張り監視リストのリスト数をメタデータとして利用する。これはどういうことか。少し古いデータで申し訳ないが、リスト数の極小期と極大期は相場の天底とほぼ一致する(下図参照)。例えば下記の例であれば2022年相場は概ねリスト数が80前後に到達したら相場の底付近と判断でき、そのときだけリスト中のファンダの良さそうな銘柄を買う。もしくはリストは無視して(笑)指数連動型ETFなんかを買うのが有効だったりする。

2022年3月〜2023年3月までの日経平均天底と逆張り監視リスト数の推移

■実際どうしてるのかについて


上でも触れたが、私はこの戦略と相性の良い銘柄群をリスト化しており、それらが逆張り監視対象となってから初めて購入するかどうか判断を行うようにしている。更にその時々の相場のテーマや個別株毎のファンダメンタルや配当利回り、決算時期、権利落ち日等も勘案して手出しするようにしており、テクニカルオンリーの売買は行っていない。まあその辺りについてはこれが正解というものはない。いや正確に言えば突き詰められる部分は大いにあると思うし、現在進行形で研究(試行錯誤)中であるというのが正直なところ。もし確信に基づいたセオリーのようなものが固まれば、将来発表出来る日が来るかも知れないとは思っているので、そこは長い目で見守って頂ければ幸いである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?