パーフェクトオーダー銘柄の投資戦略
パーフェクトオーダー銘柄の投資戦略
■狙い
今強い、今資金が来ているパーフェクトオーダーの銘柄について、スクリーニングする方法や自分が行っている戦略について解説する。
■なぜパーフェクトオーダー銘柄なのか
今旬な銘柄は何かと捉えるのには、年初来高値とか、新高値ブレイク銘柄でもいいじゃんって思ったそこのあなた。あなたは正しいです。ただパーフェクトオーダーの銘柄ってそこまで強くないにしても長い期間順当に上げてきているのは間違いないし、そのままするすると上昇して新高値を取ったりすることもあり、その前段階で捕捉してしまえるのでそこが注目する価値があるかなと思っている。
もう一点、毎日チェックしなくても(自分は週一回程度のチェックしかしてませんが)、現在の旬な銘柄、旬なテーマが分かるので投資の目線が凝り固まらないのが良いと感じてる。
あとはまあ、あんまりこれをしこしこ調べてる人は少ないんじゃないかと思うわけで、新高値とかはTwitterに勝手に上げてくれるbotアカウントとかがあり、そちらをフォローしておけば事足りるのと、新高値で即買い→即死というのもよくあるケースで、それを避けたいのと、自分はパーフェクトオーダーを定義するの際の最短移動平均線を10期間単純移動平均線にしているので、押し目も狙いやすいと思っている。
■パーフェクトオーダーとは何か
初めてパーフェクトオーダーという言葉を聞いたという人は申し訳ないですが易しく解説しているサイトが沢山あるとおもうのでそちらを参考にしてもらいたが、「これが正式なパーフェクトオーダーです」という厳密な定義があるわけではなく、シンプルに定義すれば短期、中期、長期の移動平均線が、上から短期>中期>長期の順に並んでいる状態を示すととりあえずはしておけば良い。
そしてそのパーフェクトオーダーになった場合、「上昇エッジがある」と一般には云われている。
■本当にエッジがあるのか
では本当に「上昇エッジがある」のかを簡単な例を使って検証してみたい。
ここに3本の移動平均線がある。単純移動平均線25期間(SMA25)、単純移動平均線75期間(SMA75)、単純移動平均線200期間(SMA200)がSMA25>SMA75>SMA200の関係にあるとき、ローソク足がSMA25を下から上に抜いたら買いエントリー、SMA25を上から下に抜いたらイグジットするというルールのストラテジーをTradingviewで組んでみた。
日経平均の日足で仮に取引したとすると、取引結果は画像のように、勝率36.69%、プロフィットファクター1.395という結果になった。プロフィットファクターの意味は初見の方に説明すると負け1に対して勝ちが1.395あるという意味だ。もう少し具体的なイメージを書けば、負けのトータルが100万円となるが、勝ちのトータルは139.5万円あり、差引39.5万円の利益がでるということだ。プロフィットファクターが1以上あるストラテジーで繰り返し売買していけば大数の法則により利益が積み重なって負けることはない、と理屈上ではそう考えられている。
では比較対象として、パーフェクトオーダーという条件を外し、価格について、SMA25以外の移動平均線との位置関係は考慮せず、純粋にSMA25を下から上に抜いたら買いエントリー、SMA25を上から下に抜いたらイグジットするという超絶シンプルなルールならどうなるか。
これが意外なほど健闘して勝率34.94%、プロフィットファクター1.305という結果になった。プロフィットファクターでは0.09ポイント(約7%)負けているだけだ。しかも、パーフェクトオーダーの取引回数が325回に対して、このシンプルなストラテジーは807回と圧倒的に多いため、テスト期間内のトータルリターンは後者が2倍程度多いことになる。
なので取引回数当たりのエッジという比較ではパーフェクトオーダーに分があるが、投資期間あたりではそうでもないという結論になるのである。そしてこれからが一番難儀な点なのだが、上記は日経平均における上記の条件設定でストラテジーを組めば結論はそうということを示しているだけであり、実際に個別銘柄毎調べていくと、同じ条件設定でも銘柄毎に優位性の有無や強弱がまったく違ってくるという複雑怪奇な様相があらわれてくるし、更にいえば、今回は適当に25期間の単純移動平均線をローソク足が跨ぐことをトリガーとターゲットにしているが、期間を幾つに設定するのが適切なのかは無論のこと、他にもトリガーとターゲットの組み合わせは無数にあり色々試してみるほかない(さらに補足すれば最適解を仮に見つけたとしてもそれは過去の値動きに対してのものでありフォワードで良い結果をもたらしてくれる保証もない)。
なのでざっくりとした結論を書くとパーフェクトオーダーのストラテジーは「全体としてはさほど優位性はないが、取引機会ごとや個別銘柄ごとには多少ある」になる。エッジは色々検証して頑張ってみつけることが必要だ(ヒント:ファンダメンタルズ)。
■実際どんなことをしているのか
では自分が実際パーフェクトオーダー銘柄をどう活用すべきと考えているのか。簡単にいえば相場の資金がどこに来ているのかとか、それがどの程度継続しているのか、一時的なものなのかを観察するのに役立つと考えている。つまり直近の相場の見取り図をざっくりと把握するのに最適なのではと考えている。テクニカル的なエッジはさほどないかもしれないが、今相場にはこんなフローが来てるのかというのをサクッと理解するのによい方法の一つだと思う。
更にファンダメンタルズと組み合わせて、EPSやROEといった数値の変化や、自分の場合長期投資が主体なので配当金利回りとの兼ね合いもみるようにしている。
また別記事で書く予定だが、別の押し目買い(逆張り用)ストラテジーの監視銘柄に入れる候補としてチェックしているのが実は個人的には調べる動機として一番大きなものだったりする(乞うご期待)。
■情報収集からエントリー、イグジットまでの流れ
せっかくなので仮にパーフェクトオーダーを取引に利用する方法を以下書いてみる。
1.パーフェクトオーダー銘柄をスクリーニングし、リスト化する。トレーディングビューでは各種移動平均線に代表されるテクニカル指標と一緒にファンダメンタルズ(EPSが黒字であるとかROEが何%以上あるかとか)も細かく設定して検索が可能だ。
2.週に一回欠かさずスクリーニングを行い縦の変化を把握する。どの銘柄がリストに入ってきたか、抜けたか、リストインをどの程度連続しているのかを把握する。リストから外れても直ぐに戻ってくような「常連」もあり、それらの銘柄を掴むだけでも意味はある。そして自分の持つなんらかの売買手法よる売買にエッジがありそうかどうかを検証しそれ以外はリストから外す。
3.仕掛けるのは少し押しをつけてから、もしくはヨコヨコを上にブレイクしてからでも遅くない。
4.ロスカットと利益確定はシナリオを作っておく。しかし正解はない。ロスカットは直近安値でもよいし、移動平均線でもよい。利確もリスクリワードでもよいし、年初来高値でもよいし、過去のPER最高値付近でもよい。
<下図はリスト化の事例>Tradingviewならスクリーニングした結果をcsvファイルで出力出来るのでそれをスプレッドシートに貼り付けて毎週チェックするようにしている。
5.実際に自分が情報収集しているときの各パラメーター設定は、①現在値(日足)>10MA>20MA>50MA>100MA>200MA、②平均出来高(10日間)100K 以上かつEPS黒字かつROE8%以上というかなり細かいものにしている。なぜかというと設定を荒くしてしまうと相場状況が好調なときに引っ掛かってくる銘柄数が多すぎて管理が大変になるからだ。
■補足その1優位性をバックにする。そのためには個別検証するべき。
エッジの所で説明したようにチャート形状がパーフェクトオーダーだからといっても必ずしも優位性が高いわけではない。自分が検証してみた感じだと全体的に少しだけ優位という程度。
逆にパーフェクトオーダー時の売買成績が劣後するケースも時々あり、これは長期移動平均線が価格の上にあり、本来なら入るべき初動のブレイクアウト等の動きに乗り遅れていることも関係あるんじゃないかと考えられる。
とにかくテクニカル上の各パラメーター設定よりも個別の銘柄による個性の差が顕著なのだ。パーフェクトオーダーの取引と相性が良い銘柄とそうじゃない銘柄との差が結構激しい。同一セクターの似たような銘柄でも顕著に差が出る。そのあたりはしっかり検証する必要があるが、切りがないのでパーフェクトオーダーが相性が良い銘柄群というリストをストックしておき、逆にそうじゃない銘柄は手出し不要とするのが実用上の知恵だろう。(この相性の良し悪し問題というのは別にパーフェクトオーダーの戦略だけに留まらず色々な手法に必ず立ち現れてくるので、こいつの正体が分かる日は多分来ないんだろうなあ)
■補足その2マルチタイムフレーム
マルチタイムフレーム分析と組み合わせる。パーフェクトオーダーは当然ながら日足だけではなく全ての時間足で存在する。例えば週足もパーフェクトオーダーで日足もパーフェクトオーダーである、あるいはこれからそうなりそうといった銘柄の場合、強さを二重に補強しており、優位性が上がると考えることができる(ただし上記のパーフェクトオーダーのエッジを検証したケースでも分かるようにこれも劇的ではなく多少はという程度だが、多少でもエッジが存在することはトレードする際の心理的抵抗(不安)を下げるというメリットはある)。
■補足その3オシレーターとの兼ね合い
テクニカル系のトレードをしてる人は、移動平均線以外にもRSIとかストキャスティクス等のオシレーターを使用しているケースは多いと思うが、パーフェクトオーダーのときは一般的に云われるオシレーターの買い基準、売り基準は信用できない。オシレーターは上方の「買われすぎゾーン」にしばし貼り付いてしまうからだ。ではMACDはどうかといえばこれも価格がダラダラと緩やかに上昇している場合はMACDが下降してシグナルラインがMACDを上回ることも多く、信頼性に欠ける。オシレーターをもしエントリーの判断に使うのであれば、売られすぎラインの嵩上げを行うべきだろう。例えばRSIであれば売られすぎゾーンの30未満での反発まで待たず、50付近で上に反転したら買いエントリーするとか(オシレーターの設定期間を思い切り短くするというワザもありますが)。
個人的にはパーフェクトオーダー中はオシレーターに頼るのはやめて、チャートに自分でひいたトレンドラインや水平線の上方ブレイクをトリガーにすることをおすすめしたい。
■参考資料:東京市場出来高上位銘柄でのパーフェクトオーダーストラテジーとシンプルSMA交差ストラテジーとの成績比較表
上の表は東京市場の出来高上位銘柄についてパーフェクトオーダーストラテジーとシンプルSMA交差ストラテジーとの成績を比較した結果である(各パラメーターの設定は記事内の日経平均と同じ)。
このように平均してみるとパーフェクトオーダーストラテジーには少しの優位性しかないのがわかると思う。ただ銘柄によってはPFがかなり向上する場合もあるといった悩ましさも同時に発生する。
■参考資料:個別銘柄の具体例その1(パーフェクトオーダーが優位)
日本製鉄(日足)
(2022年3月24日調べ)
パーフェクトオーダーストラテジー
勝率34.15% プロフィットファクター2.437
SMA25クロスオーバーストラテジー
勝率32.94% プロフィットファクター1.443
■参考資料:個別銘柄の具体例その2(パーフェクトオーダーが劣後)
レーザーテック(日足)
(2022年3月24日調べ)
パーフェクトオーダーストラテジー
勝率26.98% プロフィットファクター1.307
SMA25クロスオーバーストラテジー
勝率28.91% プロフィットファクター1.844
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