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普及に向けた新たな取組みが加速する米国の配送ロボット - Tortoise

 最近日本でも路上を走行するデリバリーロボットの実証実験の話題をよく耳にするようになりましたが、米国でも昨年からのパンデミックの状況において様々な取り組みが進んでいます。自動車に自律走行機能を実装したものから歩道を走行する小型の自律走行ロボットなど大小さまざまなものが使われていますが、最近は実用化を前提とした展開が進み始めています。シリコンバレーの Tortoise社はラスト・ワンマイルと呼ばれる商品を顧客に届ける技術開発を行っているスタートアップですが、彼らの配送ロボットはメキシコからの遠隔操作(リモコン) で商品の配送を行います。安全性と短期間での社会実装を実現するために、自動走行機能ありきではなく、遠隔操作によるコンタクトレス配送ソリューションを提供しています。
 流れとしてはメキシコにいるオペレーターが一台一台を遠隔操作でカートを操作し、歩道や道路わきを走行します。目的地に到着したら注文者のスマフォに通知して商品をピックアップしてもらい、受渡しが終わったらオペレーターが遠隔操作で店舗までカートを戻すといった流れ。メキシコは米国と時間帯がほぼ同じでオペレーションの管理がしやすいのに加え、人件費が安いという特徴があります。
 Tortoise社は 2019年にマウンテンビューに設立されたスタートアップで、電動スクーターやキックボードをはじめとした移動ソリューションの技術開発を行っています。乗り捨て自由の電動スクーター サービスは定期的に回収して充電やメンテナンスなどを行う必要があり、彼らは電動スクーターに遠隔操作技術を活用しています。ラスト・ワンマイルの配送サービスでも同様の遠隔操作技術を応用しているものです。移動体にカメラや自律走行用の補助輪などを取り付け、遠隔操作を可能にしています。彼らのロードマップでは将来的には自律走行機能を実装し、遠隔からモニターする運用を目指しているようです。
 米国では Amazon の「Scout」や Starship Technologies社など大手、スタートアップを含め多くの自律走行ロボットによるラスト・ワンマイル配送ソリューションが提供されていますが、ポスト・パンデミックが見えてきた米国において、陸上・空を含めラスト・ワンマイルの競争はさらに過熱しそうです。

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