ブラウザベースのソフトウェア開発環境 - replit
パンデミックの影響で離れたプロジェクト メンバーとソフトウェア開発を進める難しい状況が続いていますが、クラウドベースのソフトウェア開発環境も進化しています。サンフランシスコに本社を構える Neoreason社が提供するクラウド型 IDEサービス「Replit」は、ブラウザさえあればどこでも、誰とでもコーディングが可能な環境を提供します。
インタラクティブなプログラミング環境は “Repls”と呼ばれ、他のユーザーとプロジェクトを共有するなどの機能が提供されます。複数のユーザーと同じ画面内で同時に一緒にコーディングすることができるのは新鮮な体験です。使い方としてはクラウド上にプロジェクトのワークスペースを作成し、コンテナを使って実行環境を管理します。コード開発のほとんどの作業をブラウザでできる点は便利で、コードのテンプレートも豊富、また必要なライブラリを探すのも Repl.itで行いインストールしてくれます。コミュニティ機能は Redditを意識しているように感じますが、Redditに慣れていなくても使いやすい印象です。Google Cloud Platfrom上で運用されており、各種 Googleのサービスとの相性がいいのも魅力の一つですが、Googleを意識する必要なく利用することもできるのも大きな特徴です。個人的には Repl.itのユーザーインターフェイスが気に入っており、一連の作業がスムーズに連動していて、コマンドを探したりして考えが中断されることが少ないように思います。
Repl.itは無料プランと有料の “Hacker”プランが提供されてお、”Hacker”プランではより厳密にコードの管理を行うなど多くの Githubとの連携機能も利用することができるようです。
興味深いのは Repl.itがサポートしているプログラミング言語の種類の豊富さで、ポピュラーな Python、C、Java、Ruby、Goはもちろん LuaやAPL、Forthまでサポートされていて、ざっと数えても 50以上あります。実用的でないプログラミング言語を使う必要性はないのでサポートしている言語の多さはあまり意味がないとは思いますが、異なるプログラミング体系を取り込めるアーキテクチャを持っているという点はすばらしいと思います。CEOのムハマド・マサド氏は 2009年頃にすべてのプログラミング言語を JavaScriptで書くという思いに駆り立てられ、ブラウザ内でエミュレーションされるのではなく実際に実行される環境にこだわった結果コンテナの活用にたどり着いたようです。
2020年末時点で登録ユーザー数は 300万人を超え、毎週利用しているアクティブ ユーザーも 20万人を超えているそうです。サービス名の “REPL (Read-Evaluate-Print Loop)” はシンプルなプログラミング環境を意味する用語で、Replitは簡単にアプリや Webサイトの開発を行える環境を意図しています。
Co-Founderであり CEOのアムハド・マサド氏は Yahoo!や Codecademy、Facebookでのソフトウェア開発経験を持ち、2016年に CTOのファリス・マサド氏及びグラフィックデザイナーのハヤ・オデ氏と共に Neoreason Inc.を設立しています。
アマゾン AWSもブラウザベースの IDE環境 Cloud9を提供していますが、Replit はユーザーインターフェイスもシンプルで自由度も高く、自分でも今後活用したいと思えるサービスです。