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苦しかったけれど,やっぱり好き

【理想と現実】

 私は,中学校・高校と中高一貫校で3年間勤務しましたが,その多くを中学校教員として過ごしています。教員人生の最後まで子どもたちと教室で過ごしたいと考えています。そんな私を支えてくれているのが,初任校での苦しかったけれど,充実した日々とある生徒のノートの存在です。
 初任校では,いわゆる学級崩壊寸前の状態を経験しました。誰よりも早く学校へ来て,授業の準備をし,授業の空いているときには,子どもたちの生活の記録を読み,朱書きを入れ,先輩の先生たちの取組を参考にしながら頑張っていたのですが,どうしても学級の中心となる女の子と合いませんでした。 
何が原因か分かりませんが,学級に影響力のある子でしたので,学級のムードはどんどん落ち込んでいきました。どうしたらよいか分からず,苦しい時を過ごしました。

見ようとしなければ,見えない 


【見えなくなっていたもの】

そんな時,ある生徒のノートを見て,すべきことが見えてきました。その子のノートは大変丁寧な字でまとめ られていました。そのノートには,私と子どもたちがともにつくってきた授業の板書が,丁寧に丁寧に写し取られていました。次の授業でその子の様子をよく見ていると,目立たないけれど,黒板や発言している子に目をやり,集中して取り組んでいました。これまで,こうした子に気づいていたのか,恥ずかしくもなりました。きっとこれまでの私は,こうした頑張る子たちに気づきもせず,見ようともせず,見える子しか見てこなかったのだ。
だから,子どもたちが少しずつ自分から離れていくのだと気づかされました。
何かを大きく変えたわけではありませんでしたが,その学級を持ち上がった2年目には,文化祭や運動会などの行事や毎日の授業など,充実した毎日に変わっていきました。

【これからの自分を考える】

 私の周りには,初任の先生も含めて若い先生が多くいます。学級のこと,授業のこと,そのほか様々な問題を抱え,毎日頑張っています。自分の苦しかった経験や毎日の実践の中でのちょっとした気づきを若い先生方に話していければと考えています。また,多くの先輩方から教えていただいたことや大切にしてきたことなどを伝えていければと思います。自分の学級や授業だけでなく,自分の学校にいる子どもたちのために,同僚の先生方と力を合わせ,頑張っていきたいです。

【教育は『子どもが原点』】

「やったー。」とできた喜びを全身で表現する子どもたちの喜色満面の笑顔。できたことは、「苦手だった体育の授業でできることが増えて楽しくなってきた。」「負けても怒らなかった。」等々,ごく当たり前のことかもしれませんが,当たり前のことができたことにすごく感動。その笑顔や感動は,教員ならではの醍醐味であり,何よりの私の原動力です。
 通常の学級では,学年に応じた目標が設定され,その目標に到達するために,児童の実態に応じた手立てを講じます。しかし,自分が考えた学習活動で,子どもたちが生き生きと楽しそうに取り組む姿や,地道ではありますが,着実に『できる活動』が増えていくことで喜びや自信に満ちあふれている姿を見ると,何とも言えず幸せな気持ちになり,新たなる意欲が湧いてきます。
体育祭で『ダンス』に取り組んだことがあります。全校の子どもたちに見てもらうことを発表の場とし,子どもたちが意欲的に取り組めるようにするために,やってみたい振り付けや好きな歌をいくつか組み合わせたオリジナルな曲を生徒と一緒に考えて作り,繰り返し練習をしました。時には極簡単な,たった一つの動きを皆で揃えることができず,手を変え品を変えと様々な角度からの支援を試み,悪戦苦闘したことがありました。しかし,苦労した分,うまく揃った時の喜びは最高でした。たった一つの動きで,こんなにも感動をもらえるなんて,なんと幸せなことでしょう。
このダンスを全校の子どもたちと共に創りあげたいと考え, 衣装や小道具をクラス全員で作ってもらったり,裏方で音響を担当する生徒(怪我や病気などの理由で参加できない生徒)ダンス部を中心に振り付けやフォーメーションを担当する生徒を募ったりしました。また,全員参加型の発表会にするため,一緒に歌ったり踊ったりする場を設定し, 事前に各学年に教えに行く活動もしました。『ダンス』という 活動を媒介にして,他学年の子たちや全職員とふれあう場や一人一人のよさやがんばりを発表する場ができ,相互理解を深めたり,共に活動する楽しさを味わったりすることができました。
こうした独自の活動は,『子どもが原点』から生まれた教育ならではの活動です。

【子どものできることからスタート】

この話しは、友人教員の経験談です。
通常の学級の他に知的,自閉・情緒,肢体 不自由の特別支援学級の担任,そして言語,LD・ADHD等の通級指導教室の担当をさせていただき,様々な困難さ,そしてはかりしれない可能性をもった子どもたち,そして我が子のためにと一生懸命頑張っている保護者の方たちと出会うことができました。指導の難しさ,集団社会の中で 生きていくことの厳しさに,共に悩み,苦しむことも多々 あり課題が山積の日々です。しかし,共生社会の実現に向 けて『ユニバーサルデザイン』がクローズアップされ,一 人一人の多様な教育的ニーズに対応していくことの重要性が述べられている今日,特別支援教育は正にその原点だと思います。一人一人によりそい,良さを大切にしながら, 『子どものできることからスタート』がとても大切な指導や支援であると感じました。
この話しを聞いた時、教育現場に関わらず社会でも同じことが言えると思いました。
文章を書きながら、やっぱり教員の仕事は大変なことも多いけれど、「好きだなぁ〜」と思わされる瞬間でした。もっともっと教員の働き方も改善されていき、教員が幸せなれば子供達にも幸せを届けることができる。そんな笑顔溢れる日々を目指して毎日頑張り続けていきます!

#はたらいて笑顔になれた瞬間

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