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「天気の子」を観た(ネタバレ感想)

「天気の子」を観た。良かった。

ネタバレ込感想や思ったことを書きたいので、衝動的に書き記す事にする。内容はまとめていないので垂れ流し。

■「東京の猥雑さ」は隠さない

主人公は所謂家出少年として上京する訳で、冒頭彼が立ち向かうのは所謂「東京砂漠」だ。ネットカフェでどん兵衛、少年に対し「お兄さん良い子いるよ」と呼びかけてくる客引き、汚いコンクリートと雨、雨、雨……そして「バーニラ、バニラ高収入♪」……え、それ出す?マンマ出すの? ほんでもって、怪しげなお兄さんに怪しげな店に引っ張られてるヒロインを助けてみたら「お金が必要だから……」あ、そこも有耶無耶に悪い人に絡まれてたとかじゃなく直接的な話なんだ?

こういうのをアニメでどストレートに描くのって個人的には軽い抵抗があったのだが、よく考えると自分が地方住み偶に東京行くだけ民なのでそう感じるだけで、確かに街としての東京では当たり前な存在なのかもなぁ、なんて思った。自分は文教地区でぬくぬく育ってきたので風俗の広告ですらギョッとするようなボンボンだったが、東京の地下鉄や山手線で通学する学生はあんなの只の日常なのかもしれない。そう考えると陽菜の行動も、そんなもんなのかもしれない。

■アニメだから表現できる「雨」

雨樋、アスファルトを叩く雨、窓際で跳ねる雨、じっと見ていると確かに雨粒は生き物が跳ねるように見えたことが子供の頃は有ったな……と、そういう感覚を徹底的に引き出すような雨の描き方がされている。これは本当に、アニメにしか、新海誠にしか、出来ない表現だなと唸らされた。雨だけでなく、人の体に流れる汗や涙のディティールも、現実の感覚をアニメの表現で漸近できるギリギリまで描いている。書いていて思い出したが、帆高や陽菜の目に溜まり溢れるような涙は雨のごとく、須賀の知らず流れるような涙はあっさりと描かれていたし、きっとここも拘りがあった(二回目観てぇ)

■「僕たちは世界のあり方を決定的に変えてしまった」「僕たちの世界は最初から狂っている」「東京なんて元々海だったのよ」(セリフ間違ってるかも)

これが一番書きたかったけど、以下、完全に筆者のオレオレ解釈なのでそういうもんと思って読んでください。


鑑賞直後は気付かなかったが、もっかい予告を観て改めて思う。この作品は俗に言うセカイ系が「世界を変える」事に対して、2019年現在感覚での回答をやってしまってるんだ。

予告を見るとわかるのだが、この物語は帆高と陽菜が世界のあり方を「決定的に変えてしまう」物語だ。

だが、ラストではその「決定的に変わった世界」で、普通に人々は生きている。ネタバレになるが、「次は〜新橋〜」だなんて、みな地下鉄の代わりにお船に乗って、レインコートをかぶって、降り止まない雨に平然と順応している。世界は変わってしまったが、人々は平然と生きているし、陽菜は人柱の役割なんか放棄して(そもそも天気はまさに「天の気分」なのだから「人柱」なんて概念も人が作った勝手なモノだったってことだろう)バッチリJKになっている。やったぜ。JKになった陽菜が顔を赤らめながら大学生独り暮らしの帆高の部屋にお邪魔する薄い本はよ。はよ!

いや違う。そうじゃないんだ。鑑賞し終わって少し経ってから気づいた。このラストは、「私が死なないと…世界が終わってしまうの…」とか宣って死んでいった数多の世界系ヒロインに対する強烈なアンチテーゼなんだ。瀧のばーちゃんはラストで自宅が沈んだ海を見てなんて言った?「江戸は元々海だったのよ」お寺の変なじいさんも「異常気象なんて高々この200年の事を言っとるのだろう、この絵は400年前に書かれたものじゃ」なんて言ってなかったか???

そう。こいつは数多のセカイ系に対する、2019年現在の回答だ。決定的に世界を変えても、そんなの関係なく人は生きていくし、主人公もヒロインも生きていく。

何個か今作の紹介記事を見て、「あまり見ないラスト」と書かれていたが、その意味は個人的には上記の解釈で腑に落ちた。

以上。二回目観たらもう少し丁寧な感想をまた書こう。(画像は勢いで買ったサントラ、いい)


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