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なぜ天才は凡人に殺されるのか?天才の条件と生存戦略を考えてみた

天才を殺す凡人」という本を知っていますか?もともとブログ記事がSNS上でバズり書籍化された本なのですが、起業したり新規事業立ち上げをしている人にとって、そしてそういう人たちに振り回されることが多い人にとってかなり刺さる内容でした。

一般的に「天才」とは「生まれつき飛び抜けた能力を持った人」のことをイメージするでしょうが、少し違う切り口で「天才」がなぜ生きにくいのか、どう生きていけばいいのか、を考えてみました。

新しいものを生み出すことでしか喜びを見いだせないのが「天才」

この本の面白いところは、能力の話ではなく生き方の問題として「天才」を定義していることがとても面白く、そして興味深いと感じました。

天才として生きるのは凡人には到底理解し得ない苦しみがある。新しいことを生み出すことでしか、自分を満足させられない身体になってしまった人間。それが『天才』と呼ばれる人物なんや。
「組織や世の中には、必ず、飽きている人がいる。それは、時代や、古いやり方に『飽きている』んや。そして、新しいものを作る人にとって、『飽き』ってのはとんでもない苦痛なんや。生きている感覚がしない、死んでいると同じ。そんなレベルの苦痛や」 「飽きが苦痛?」 「んだ。特に天才にとっては、誰かが作ったレールの上で生きていく、そんなのは朝飯前すぎて面白くない。だから、天才は新しいレールを自ら敷いて、新しい価値を作りにいく。それは壮大な『飽きとの戦い』なんや

この文章を読んだとき、思わず涙が出てきました(笑)なんでだよ!と思う人がほとんどでしょうが、これはビジネスで新規事業をやっている人、起業した人、もしくはアーティストの方などは特に共感する部分があるんじゃないでしょうか。

今の世の中は、いくらでも時間をつぶすことができます。

・SNSやメッセージでのコミュニケーション
・無料で遊べるソーシャルゲーム
・お手軽にできる趣味・遊び

こういうものが悪いわけではなく、単純にこういったもので時間を消費することに耐えられない人種がいます。それが、この本で言うところの「天才」なのです。

これは完全に個人的な意見ですが、私は趣味に没頭できる人や好きなことで時間をつぶせる人がとてもうらやましいと感じることが多いです。そして、そういう人は幸せだろうなとも思います。私もそういう生き方をしたいと思うこともありますが、どうしてもできないんですよね…この点では、私も天才タイプにあてはまるなと思います。

私の場合はビジネスの世界においてですが。一度「新しいものを作り世の中を動かす」ことを知ってしまうと、それ以外の密度の薄い時間に耐えられなくなっていまいます。彼女や友達と遊ぶことも、趣味の時間を創ることも、とても楽しい半面、休憩しているような感覚で過ごしています。

それ以外のムダな飲み会や接待、あまり仲の良くない友人の結婚式など、どうしても「密度が薄い時間」だと思ってしまう自分がいます。これはもう麻薬に近いな〜とすら思うのですが、あまり理解されたことはありませんね(笑)

この孤独は、ほとんどの場合理解されません。一緒に楽しく会話をしている友人であっても、心のどこかで「この人は本当の意味で理解してくれていないな」と思うと、誰かと一緒にいるのに一気に孤独感が増します。起業家が起業家同士で交流することが多いのも、本質的なところで共感できる部分が多いからでしょう。ほとんどの場合は天才たちは孤独で、理解されません。

天才に求められる3つの条件

この本では、天才とは前述した通り「新しいことを生み出すことでしか、自分を満足させられない身体になってしまった人間。それが『天才』と呼ばれる人物」と言っています。

では、そういう天才が天才たりえるには、具体的にはどういう能力を持ってることが多いのでしょう?私の周りにいる天才タイプの人種(上場企業の社長、起業家など)に共通することとして、以下3つに集約されます。

①まだ世の中にないアイデアがありそれが超ユニーク
1番イメージしやすい天才の条件はこれでしょう。iPhoneを世に生み出したスティーブ・ジョブズ氏などがそうですね。天才は、普通の人が「ま、こんなものか」と思うようなことで満足しないものです。

私の大好きなヘンリー・フォード(フォード自動車の創業者)のこんな逸話があります。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。

当時のアメリカでの移動手段といえば馬車だった時代、ヘンリー・フォード氏は馬ではないもっと速い移動手段のアイデアを持っていました。これこそ、天才に求められる条件の1つでしょう。

②ユニークなアイデアを現実のものにする経験・知識

次にこれです。特にビジネスの世界でアイデア自体に価値がないと言われる理由でもあります。アイデア自体はどんな人でもある程度持っていることが多いのですが、では実際にそれをビジネスとして、サービスとして成立させるためにはどうすればいいか?を考えられる実力を持っている人はかなり珍しいでしょう。

特にビジネスの世界で新規事業を創る人などは、アイデアだけではまず成功できません。なぜなら、アイデア自体は他の起業家も同じように持っているからです。それだけでは、天才たらしめる条件としては不足なのです。

例えば、先日上場したSlackというチャットサービスがあります。このサービスのコンセプトはいたってシンプルで「ビジネス向けチャットサービス」なのです。同じコンセプトを持っているサービスは日本だけでなく世界中で山のようにありますが、Slackほど大きな成功をおさめたサービスは他にありません。

これが要するに、Slackを作った起業家(スチュワート・バターフィールド氏)の実力です。ただのコンセプトにすぎなかったアイデアを、世界中の企業が使うサービスに昇華させるだけの腕力。これが天才を天才たらしめる大きな条件です。


③何があっても突き進む「覚悟」
これが最も天才が憧れる理由であり、かつ天才が苦しむ理由でもあります。まだ世の中にないものを実現しようとすると、ものすごい苦しみの連続です。でも、それを乗り越えなければ道半ばどこかで絶望し死にたくなるでしょう。「天才を殺す凡人」の中にもこう書いてあります。

多くの天才は、理解されないがゆえに死を選ぶ。

予想外のトラブル、第三者からの妨害などビジネス上のストレスだけでなく、家族や友人からの批判・冷笑なども大きなストレスになります。

そもそも、天才のすることは基本的に理解不能です。天才同士ですら理解不能ですし、凡才相手であればなおさらです。理解されず、批判され、苦しむことがとても多くあります。

心が折れても、うまくいかなくても、妨害されても、絶対に成し遂げる。この気持ちが、意外と天才には最も大事な素養です。そうでなければ、ゴッホのように途中で自殺してしまうでしょうしね…天才薄命とはよく言ったものです。


天才が理解され愛されるための2つの処方箋

では、そんな天才タイプの人間が世の多くの人に愛されるには何をするべきか?どうすれば愛されるのでしょうか?

①ユニークなアイデアを現実のものにした時

天才タイプの人は、成し遂げる途中では周りに理解されません。それが孤独との闘いでもあります。しかし、1回アイデアを現実のものにした時、周りは手のひらを返して批判をやめ称賛するようになります。

天才は、そういう意味では職人に近いのでしょうね。具体的な成果物でしか愛されない、評価されない。過程にいる段階では、天才はただの奇人としか見られません。

③天才の思想を翻訳してくれる「超共感者」がいる時

天才タイプと自覚がある人は、いわゆる自分のやりたいことを好意的にサポートしてくれる「超共感者」と一緒に働くと良いでしょう。なかなか出会えないですが、こういうタイプの人がいるかどうかでビジネスでの成功率は大きく変わると強く思います。

Apple創業者スティーブ・ジョブズにスティーブ・ウォズニアックがいたように、Microsoft創業者ビル・ゲイツにポール・アレンがいたように。偉大な企業というのは、No.2の存在が大きく影響しているケースも多くあります。組織はNo.2が決める、という格言もありますが。これは本当に正しいと思います。天才一人では、強い組織は生まれないものですからね。なぜなら組織とは、凡才と秀才で構成されるものですから!

なかなか最適な超共感者には出会えないと思いますが、私も頑張って探していこうと思います。

(個人的な感想)凡人でも「環境」次第で天才になれる

ここまで天才について書いてきましたが、実際のところ天才にもいろいろなタイプがあると思います。そして、もともと凡人であった私のような人間でも、経験によって天才タイプになることもあります(これは本当に!)。

私自身、昔はリスクを取ることが嫌いでしたし、安全圏でいたいと思うごく普通の凡人タイプの人間でした。しかし、新規事業立ち上げや起業を繰り返しているうちに、天才タイプのマインドを持つようになっていきました(正確に言えば、そう変化しないと頭がイカれてしまいます!)。

自分が凡人だと嘆く人も、秀才で天才が嫌いな人もいると思います。でも、人と人の間に違いを生むものは、経験と環境です。そして特に、環境は人間に強い影響をおよぼします。環境とは具体的に言うと、

・どういう職場で働くか
・誰と一緒に過ごすか
・どういう経験を積むか

これの繰り返しで、人は中長期でかなり影響されます。私自身、周りが天才タイプの人間ばっかりだったので、必然的に天才タイプのマインドがインストールされたような気がします(元からそういう気質があったのかもしれませんが!)

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