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クロノトリガー考察~『みどりのゆめ』の葛藤~

クロノトリガーが好きならおそらく多くの人が覚えているであろうサブイベント『みどりのゆめ』
クロノトリガー屈指のトラウマイベントと言われるこのイベントには、実はどこにも語られないルッカの葛藤が隠されていた!?

こんにちは、初プレイから20年以上が経過して尚、クロノトリガーが大好きなシンです。
この記事は前述のとおり、サブイベント『みどりのゆめ』に隠されたルッカの知られざる葛藤について、考察を書いていきたいと思います。


『みどりのゆめ』とは?

まず、『みどりのゆめ』ですが、このイベントは最終決戦前に中世で発生するイベントで、大きく分けると【森の復興】と【ルッカの過去】2パートで構成されています。
具体的な流れは以下のように進んでいきます。

  1. 中世で砂漠を緑化したいフィオナに出会う。

  2. 砂漠化の原因となるモンスター退治を依頼される。

  3. クロノ達がモンスターを退治する。

  4. フィオナに報告するも、緑化には時間がかかり自分の力だけでは時間が足りないと言われる。

  5. ロボがフィオナの役目を引き受けて中世に残り、森の復興を行う。

  6. 緑化が完了した現代でクロノ達はロボを回収する。

  7. 再開を祝してみんなで宴をする。

  8. 復興までの長い時間の中で、ロボはゲートの出現した理由は誰かの思い出を見ているようなものではないかと語る。

  9. 宴を終えた深夜にルッカだけが、見たことのないゲートを見つける。

  10. ゲートに入ると、ルッカの母が歩けなくなる原因となった大怪我をする日に飛ばされる。

  11. ミニイベントが発生して結果に応じて、『過去改変をして母を助ける』または『史実通り母が怪我をする』ことになる。

  12. 現代にルッカが戻ってきて、ロボからアイテム『みどりのゆめ』を入手する。

このような流れのイベントです。
尚、11のミニイベントで『過去改変をして母を助ける』ことができると、ロボからアイテムを受け取る際のセリフが変化して、現代では歩いているルッカの母が見れます。

イベント内のルッカの葛藤とは?

さて最初に話した通り、クロノトリガーの中で屈指のトラウマイベントともいわれるこのイベントの中で、自分はルッカが【母を助けるべきかどうか?】で葛藤していたのではないか?と最近思いました。

『いやいやそんなわけないだろ?』
『わざわざチャンスがあって母を助けないとか人でなし』と思いましたか?
それはそうですよね。
しかし、根拠もありますので少し聞いてもらえますでしょうか?

根拠1~ルッカから見たこの日~

まず、最初に思い出していただきたいのはこのイベントで『ルッカが母を助けられなかったとき』に見ることができる、ルッカの日記です。

そこには母を助けられなかったことで【機械に詳しくなろうと決心するルッカの想い】が書かれています。

このことから分かるのは。
この時の出来事は【ルッカが機械に対して興味を持つきっかけ】の出来事でもあるということです。

もしこの出来事で母がけがをしなければ、『発明家のルッカ』は存在せず、テレポッドもゲートホルダーもロボも存在せず、今までの冒険が全てなかったことになる可能性があります。
また最悪の場合、ルッカ自身の力不足で冒険の途中で命を落としてしまい、今の自分の存在自体が消える可能性すらもあるのです。

心理描写こそありませんが、あの瞬間『母を助けるか』『自身と仲間を守るか』をルッカはあの瞬間に気が付いている可能性があるのです。

根拠2~パスコード~

次の根拠はパスコード入力です。
機械に巻き込まれた母を助けるパスワードは有名な『LALA』です。

しかし、今回根拠として挙げるのは【パスコード自体】ではなく【どうしてパスコードの入力をプレイヤーに委ねるようなゲーム進行にしたのか?】です。

クロノトリガーは過去にタイムスリップして未来を変える話です。
その趣旨にのっとるのであればこのイベントは【ルッカが機械の前に移動して、今の自分の技術で機械を止める】という会話だけのイベントとした方がよいのではないでしょうか?

それであれば正に物語の内容そのものですし、前述した【ルッカが機械に興味を持つ】ことの回収になります。

わざわざプレイヤーに解答を委ねたのは制作側に別の意図があったと考えられないでしょうか?
そしてその別の意図こそルッカの葛藤の表現ではないでしょうか?

あの場面であえて助けないことも選択できるようにすることで、『助けない理由は何か?』とプレイヤーに疑問を提示している気がしませんか?

根拠3~未来の復讐~

上の2つの根拠を見ても、なぜかピンとこない方もいるでしょう。
恐らくその理由は、クロノトリガーの中で過去を変えたことで未来で悪い変化が起きることは基本的にないからだと思います。

プレイヤーをはじめ、操作するキャラ達もそのことに触れる人はいません。
しかし、続編のクロノクロスで『ルッカだけは過去を変えることで未来に悪影響が出ることを考えている』ことが分かる描写があります。

『過去を変えたことで本来訪れるはずの未来が復讐に来る。』
クロノクロスでは時間の改変はそんな風に表現されています。

そして、ルッカだけは時間改変の怖さを理解しているのです。
そしてそれはこのイベント時にも気が付いているのではないでしょうか?

ルッカの葛藤のまとめ

まとめます。
ルッカの葛藤の正体は『母を助けるべきかどうか』
そう考えた根拠は
・ルッカ自身にとって大きな影響を与える事件だったから
・ゲームの演出的に少し違和感があるため
・続編でのルッカの言動から時間改変の怖さを知っているため
以上3つです。

もちろんこの考察は個人的な考えです。
製作者の方の意図と全く違う可能性もあります。
ただ、見方によってはこういった解釈もできるという話ですので、一応付け加えさせていただきます。

ただ、いまだに考察できるこのクロノトリガーはやはり最高のゲームですね。

ロボの思いと正史

ここからは余談ですが、ルッカが葛藤していた場合【助ける場合と助けない場合】クロノトリガー的にはどれが一番正史と言えるか最後に少し考察します。

これを考察するにはこのイベントのもう一人の主役【ロボ】の想いを考える必要があります。
というのも、先に話した通り現代に戻るとロボのセリフが『母を助けたかどうかで少し変わる』からです。

ちなみに具体的に話すと、ルッカが母を助けられた場合は特にセリフなしです。
助けられなかった(助けなかった)場合『私の足を使ってくれ』という旨のセリフが追加されます。

もしロボがこのルッカの葛藤を知っていたかどうかで、このセリフは受け取り方がかなり違った印象になります。
そのため【助けた場合と、助けなかった場合】【ロボがルッカの葛藤に気が付いている場合と、気が付いていない場合】のお互いの心情を考えて最も彼ららしい心情をここでは正史にしようと思います。

〇ロボがルッカの葛藤に気が付いていおらず母を助けた
ロボの心情 ⇒ 戻りたい過去を変えられてよかった
ルッカの心情⇒ 未来が変わらず安堵

〇ロボがルッカの葛藤に気が付いておらず母を助けられなった
ロボの心情 ⇒ また同じ現場を見たルッカへの励まし
ルッカの心情⇒ 母への謝罪と、今を生きることへの新たな決意

〇ロボがルッカの葛藤に気が付いていて母を助けた
ロボの心情 ⇒ 少し複雑だが、母を助けたルッカへのねぎらい
ルッカの心情⇒ 仲間への申し訳ない気持ち

〇ロボがルッカの葛藤に気が付いていて母を助けられなかった
ロボの心情 ⇒ 自分たちの未来を考えてくれたルッカへの感謝
ルッカの心情⇒ 母への謝罪と、仲間への感謝、新たな決意

ルッカやロボの性格を考えると【ロボはルッカの葛藤に気が付いていていて、ルッカは母を助けない選択をする】というのが一番クロノトリガーの正史だと自分は思っています。

あなたはこの『みどりのゆめ』どれがクロノトリガーの正史だと思いますか?
読んでいただきありがとうございました。

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