ナターリアの『ソウソウ』について

 まず初めに、今回このブログに書かれているのは、1年近く前に某所で話した内容の台本を、ほぼそのままコピーしたものです。一度お聞きいただいている方は、安心して回れ右してください。
 また、初めて見ていただける方も、このブログは写真や画像の挿入、文字の大きさの変更等の、見やすくなるための配慮などは一切行われておりませんので、大変読みづらいものとなっております。それでもよろしければ、どうぞお楽しみください。


 今回私が話させてもらうのは、シンデレラガールズより、ナターリアのソロ曲で『ソウソウ』という曲です

 この曲は去年の1月に行われたシンデレラガールズのライブ、トロピカルランド公演のDay1内で、試聴等も無かった状態からいきなり披露され、大きな話題になりました。その際、作詞、作曲をしたイノタク氏がそれに関するツイートをしたこともその話題に拍車をかけた事でしょう

 そのツイート内で、イノタク氏はこの曲の事をポルトガル語で『私たちの太陽の歌』と評し、タイトルの『ソウソウ』は、同じくポルトガル語で『私は太陽』という意味だということも明かしました
 ナターリアのことをずっと好きだと言ってくれていた方に、その気持ちのままに曲を書いていただけた、その事が本当に嬉しいです。

 ナターリアは、昔テレビでアイドルを見ました。その歌の内容はよく分からなかったけど、楽しそうに歌って踊る姿を見て楽しくなり、そんな風にしてくれたアイドルが眩しく思えた
 だから自分も、そんな風に皆を元気に出来るアイドルになるため、そして、いつか憧れたアイドルと同じステージに一緒に立つために、14歳という若さで、故郷であるブラジルから単身日本に来たのです
 性格は明るく陽気で、誰とでもすぐ仲良くなれるようなタイプ。日本語はまだ少し苦手で、他の海外出身アイドルと一緒に勉強中
 ダンスが得意で、見ているだけで元気がもらえるような、文字通り太陽のような女の子です

 さて、そんなナターリアの歌うこの曲ですが、始まりは静かなマンドリンの音色から始まり、すぐにそれはリズミカルなサンバの音色と喧騒に変わります。全体を通して明るく、聞いていれば勝手に身体が踊りだしそうなメロディで、ナターリアというアイドルが歌うのにピッタリです

 歌詞の中にはレレヤレヤというメロディを言語化したようなものもあり、ナターリアが昔に感じたように、歌だけじゃなく、音楽や踊りで気持ちを伝えようとするのを表しているのかもしれません
 ここからは、前回同様歌詞について考えていきたいと思います

 まずは1番のAメロから。Aメロ前半は『ねえキミを待ってたんだずっと 迎えにきたよ 見せたいものたくさんあるんだ』という歌詞。これは特定の誰かに宛てた歌詞というわけではなく、不特定多数のこの曲を聞いた人・・・特に、ナターリアと同じようにアイドルに興味を持った人や、何か今まで夢中になれるものがなかった人に、といった感じだと思います

 後半は『笑わないよ ワタシだってソウ ひとりだった』と続きます。彼女は先ほど説明した通り、故郷ブラジルから、単身で日本に来ました。この歌詞そのまま、彼女は一人だったわけです

 繰り返しのAメロでは『しかめっ面の北風もきっと笑う 魔法の歌うたってみよう ホラ』とあります。個人的に思う、この曲の面白い部分が最初に出てくるところです。というのも、この「しかめっ面の北風」というのが絶妙で、先ほどナターリアの事を、『太陽のような女の子』だと形容しましたが、そうだとするなら一つの物語が見えてきますよね?そう、北風と太陽という童話です。この童話は、北風と太陽が旅人の服をどちらが脱がせられるか勝負をして、結果太陽が勝つというお話ですが、そりゃあ負けちゃったらしかめっ面にもなりますよね。でも、彼女という太陽は、そんな北風すらも歌の力で笑顔にしようとします

 次に続くBメロ部分の歌詞は曲の説明の時にした『レレヤレレヤレヤ』というメロディを言語化したような歌詞です。その直前に「ホラ」という歌詞もあり、一緒に歌おう!と声をかけてくれているようにすら感じますね。誰にでも手を伸ばせる彼女の良さが出ているように思います。そしてその後は『ワタシが照らすよ!』と繋がります。やっぱり彼女は太陽ですね

 ここからはサビになります。サビの前半は『おおげさな声あげて 地球の裏側まで 好きな色を 好きな歌を 思いきり叫んでよ』という歌いだしと同じく誰かに語り掛ける歌詞です。好きなものを好きだというのは自由で、おおげさなくらいに言ったって恥ずかしくなんてないんだというメッセージで、いつでもどこでも好きなものを好きだと言ってるナターリアらしい感性を感じられる歌詞です。地球の裏側までというの、日本の裏側であるブラジルからきた彼女らしい歌詞ですね

 後半は『太陽は鳴らすから 12時の鐘の音を』と続きます。太陽が出るのはお昼で、てっぺんに着いたときに12時だと分かります。そして先ほどの通りナターリアが太陽なのだとすれば、てっぺんに来たら12時だと分かるような・・・転じて、たくさんの人にとって当たり前だと言われるようなアイドルになるという意味に取れます。アイドルとしてこれからもっと頑張っていくという彼女の気持ちを歌にしたように思えます

 そして最後に『キミがどこの誰だってさ かまわないぜ 踊ろう ネッ!』と繋がります。1番の間ずっと出てきていた誰かに向けての言葉ですね。彼女自身が日本でアイドルになるために、日本から一番遠いブラジルから来たわけですから、どこの誰だってかまわないというのはその通りなのでしょう。そして歌おうではなく踊ろうなのもポイントで、言葉が通じなくても、ダンスは共通の言語だという彼女の考え方を表したのだと考えられます。

 続いて2番です。2番のAメロは『メロディはふっと宙に舞って 飛んでいくよ 空も海も国境線だって』と始まります。ストレートに考えるなら、音楽に国境は無いという、ナターリアの経験則からも来るものですが、実はこの歌詞の部分にこの曲唯一のものがあります。それがメロディという部分。なんとこの曲『レレヤレヤ』という例の部分と、歌いだしと2番の終わりにある言葉、そしてこのメロディという単語以外、全て日本語なんです。これには凄く大きな意味があって、言葉は伝わらなかったのにキラキラに魅了されたナターリアが、その言葉を覚え、今度はその言葉でキラキラを伝えようとしているんですね。メロディというのも凄く分かりやすい言葉で、それこそ国境も無いほどに伝わる言葉なので、ダブルミーニングになっているのかとも思えます

 Aメロ後半は『咲かせるんだ 空に花を キミに笑顔 そして愛を』という歌詞です。ここも言葉遊びのような感覚で、咲かせるという一つの行動に対し、花、笑顔、愛という3つの答えを出しています。花は当然の事ながら、笑顔は『花が咲いたような笑顔』等と形容されることもありますね。そして最後に愛ですが、よく言われる言葉で『恋の花が咲く』等と言われますが、私の中の一つの考えとして、恋とは一方的に想う事で、愛はその想いが互いに通じ合うことだと考えています。ではこの歌詞で愛という言葉が使われているのはなぜかと考えれば、彼女はいつでも誰にでも、愛になるために気持ちを送っているからなんじゃないかなと思います。誰とでも変わらず接するというナターリアの良さが存分に出ている歌詞だと言えます

 Bメロ部分は1番と同じく『レレヤレヤ』の繰り返しですが、1番との違いはそれを2回繰り返すことと、その間に『声に出してうたってみて』と入ることです。このタイミングでの声に出してうたってみてというのも丁度よく、1番で一度、2番でもう一度聞けば、この簡単なリズムは口ずさめてしまうんです。それをメロディは国境を超えると歌った後に皆に歌ってもらおうとするのは、今この曲を聞いている全員の心を一つに出来るんですね。楽しい気持ち、嬉しい気持ち、幸せな気持ちで一つになれるなら、これ以上は無いんだと思わせるような、ナターリアの底抜けの前向きさがあるからこその持っていき方ですね。そして最後は1番と同じく『ワタシが照らすよ!』と歌って、サビ無しで2番は終わります。

 にぎやかな間奏が明けてからの落ちサビは『太陽は夢を見る 真夜中の物語』という静かなトーンから始まります。『太陽は夢を見る』という歌詞。太陽が夢を見るとすれば、姿が見えない時。つまりは夜のことです。真夜中の物語というのもそのまま夢という意味に思えます。では今太陽が見えないとして、太陽はなくなったのでしょうか?そんなことはありません。太陽は変わらずあり続けます。そう、ちょうど反対側に。太陽がナターリアだとすれば、彼女の夢はアイドルになることです。となれば、この歌詞はまだナターリアが日本に行ってアイドルになることを夢を見ていたころという意味になります。

 次の歌詞は『うたえるかな 笑えるかな 怖いけど それでも』とあります。これはアイドルになるために単身で日本に来たナターリアの心情を吐露した部分です。そう、彼女も怖かったんです。当たり前です。大事で大好きな夢のために、親元を離れ、国すら離れ、言葉が通じるかも分からない場所へ、たった一人で向かう。それも、成功するかも分からないのに。怖くないわけがないんです。『それでも』なんです。それでも彼女には叶えたい気持ちが、伝えたい想いが、目指したい場所があったんです

 次の大サビは『おおげさな声あげて 地球の裏側まで 好きな色を 好きな歌を 思いきり叫ぶよ』という歌詞がきます。1番とほぼ同じだけど大きく違って、最後が『叫ぶよ』となっているので、この歌詞はナターリア自身の意思表明です。地球の裏側にいた自分にキラキラを届けてくれたかつてのアイドルみたいに、自分の大好きの気持ちが、自分の大好きな人たちに届くように、おもいきり叫ぶんだというとても強い意思を持った歌詞なんです

 そして私が一番好きな歌詞が来ます。それは『太陽は描くのさ 12時の物語』という歌詞。1番、そして先ほどの落ちサビ部分でも似たような歌詞がありました。ではこれは何を意味しているのでしょうか?1番で太陽がてっぺんに来ると12時を告げているのだという意味が歌われていました。ではこれはお昼のこと?勿論それもあると思います。ですが、12時は1日に2度訪れます。では夜の12時だと考えた時、それを題材にした物語が思い浮かんできませんか?そう、『シンデレラ』の物語です。つまりこの歌詞は『ナターリアの描いていくシンデレラストーリー』という歌詞になるんです。このシンデレラストーリーというのも、作品のタイトルでもあるシンデレラガールズという意味でもあり、アイドルに憧れを描いた一人の少女が、たくさんの努力と大きな勇気を持って成功を遂げた、物語の手法としてのシンデレラストーリーでもあります

 そんな素敵な歌詞に続くのは『カエルだって アメンボだって 手をつないで』という歌詞です。この唐突に出てきたカエルとアメンボという生き物。これらには共通点があって、ある歌の中に一緒に出てきます。何か分かるでしょうか?きっと皆さん知っているはずです。「ぼくらはみんな 生きている」という歌詞から始まる歌を聞いたことがありませんか?あの曲の中に、カエルもアメンボも出てきます。では、その歌のタイトルをご存じでしょうか?その歌のタイトルは『手のひらを太陽に』です。この昔からある皆生きていて皆友達だという人間賛歌のような歌に通じる部分が、この曲の中に織り込まれているんです。

 さて、ここで少しその曲についてもう少しだけ小話をします。皆さんは今の曲を思い出した時、その声は男性と女性、どちらで聞こえましたか?多くの人は、コーラス隊のような綺麗な男性の声で思い出したかと思います。実はそれは、男声コーラスグループの『ポニージャックス』という方々がカバーをされたもので、原曲とは違うものなんです。そして女性の声で聞こえたという方も、女性の声ではあるけど同じリズム感で聞こえたかと思います。そちらはごく一般的なNHKのような番組で流れるものですね。では、原曲はどう違うのか?という疑問ですが、原曲を歌われているのは宮城まり子さんという方。そして、その原曲版ですが、なんと「バイヨン」というブラジル音楽風のアレンジが入っていたんです。この音楽が子供向けとしてはあっていなかったため、アレンジが加えられ今皆さんが思っているようなものへと変わっていきました。ブラジル出身のナターリアの歌うソウソウの歌詞の中に、ルーツにブラジル音楽が関わっている曲に関する歌詞が出てきていたわけですね。

 話をそのまま歌詞の話に戻して、最後の手前の歌詞は1番のサビと同じく『キミがどこの誰だってさ かまわないぜ 踊ろう ネ!』と繋がります。ですが歌詞そのものは1番と同じでも、ナターリアの心情なんかが分かった最後にもう一度聞けば、この歌詞がどれほど大きな意味になるか分かるでしょうか。本当に、どこの誰だっていいんです。踊って、楽しい気持ちになれば前を向ける、もっと頑張れる、そんな彼女からのエールのように思えます。

 そして最後はもう一度『踊ろう ネ』と繰り返し、静かなメロディと一緒に『タッタラタッター』とそのメロディを口ずさみ、曲が終わってから『いえ~~~い!スーシー!』と言いながら走り去っていくようにフェードアウトしていきます。本当に最後の最後まで彼女の好きの詰まった曲になっています

 この世界には、目には見えない力というものが存在していると言われています。例えば歌の力、例えばダンスの力、例えば音楽の力。目には見えないけど、人の心を変えるようなそんな力です。皆さんはどんな力を信じていますか?私は、言葉の力というものを信じています。言葉が通じれば、それを誠心誠意、心から伝えようとすれば、きっと伝わる。今こうして皆さんに話している話だって、きっと伝わるんだと、そう信じています。では、ナターリアは?彼女が信じている力はなんでしょうか?歌の力、ダンスの力、音楽の力。きっとそれらも信じているでしょう。でも、きっと彼女が何より信じているのは、それらすべてを内包した力・・・アイドルの力です。

 アイドルの歌う姿、踊る姿、活躍する姿は、たくさんの人の心をひきつけ、時に前へと向かせます。そんな力を、ナターリアは信じています。だから、私もそれを信じます。そしてそれをもっとたくさんの人に信じてもらうために、これからも私の信じる言葉の力で、彼女の、そしてアイドルの魅力を語り続けます。

 言葉の通じない部分は、きっとナターリアが伝えてくれるでしょう。だって、彼女の始まりがそうだったんですから。以上です。お読みいただきましてありがとうございました


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