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ハリ日記 7日目

 今日は最近、課金して見たドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」についてのお話。
パパゲーノ効果・ウェルテル効果という言葉を最近知った。パパゲーノさんという会社を知ったことから様々な理由で苦しんでいて、なんとか自分を保とうとしている人がいる事を知った。知らない事はたくさんある。知ることを自分の中だけで留めておくだけではなく、誰かに伝えたいと思った。
 パパゲーノとは自殺を思いとどまった人の話を聞いてその人も自殺辞める抑止効果の事をいう。これまで自死について私がそのことについて書いたり、意見を言うべきでないとずっと思っていた。実際に大切な人を失った人が私の浅い知識や見解を読んで傷ついたり、不快な思いをしてほしくない。そう思っていた。今回、このNHKが制作したドラマをみてやはり書いておきたい。と思ったことがあるので書くことにした。

 1時間ドラマくらいの長さなのだけど私にはとても考えさせられ、長く感じた。私自身、死にたくなることが全くないと言ったら嘘になる。このドラマの中のももさん(主人公)も自分の中にある死にたい、という気持ちをカッターで足を傷つけることでなんとかやり過ごしていた。ごく普通に見えているのに、自分の中にある誰にも受け止めてもらえない苦しさがドラマの中ではとてもリアルに描かれていた。
 ふとしたきっかけで仕事に行けなくなった主人公が死にたい気持ちをどう消化しているのかを聞きに放浪する物語。ドラマの中でも物事が分かりやすく解決するでもなく、説教されるでもなく、ゆるゆると7人のパパゲーノが現れてくる。母親の占いのくだりのゆるっとした掛け合いだったり、彼氏との口論、死にたくなる理由も、解決方法も人それぞれで。なんとなくどれもありそう、なんか分かる・・・そんな気持ちになった。
友人と焼肉を食べながら希死念慮について話しているやりとり。一つ、一つが妙にリアルで、少しずつ、少しずつ主人公のももさんを追い詰めていく。
 ドラマなので、なんとなくご都合主義的な所もあるように思えるかも知れない。
と見る人によって賛否分かれそう、ということは思いつつも。
それでも私はこのドラマを多くの人に見てほしいな。と思った。

死にたいと考えては行けない、そんなバカなことしないで。という言葉を彼氏や友人や、親に言われる。そうするともう主人公は口をつぐむことしかできない。
そうやって少しずつ広がっていく、自分の中での違和感や苦しさを逃すために自分の足をカッターで傷つける。という描写を見た時、今私ならどういう風に声をかけるだろうか。と思った。
生きるのがめんどくさい。答えを探すのがめんどくさい。そう思っている人にめんどくさがらずに見つけないとダメだよ!以外の言い方を話を聞いた人は探せるのだろうか。
そして、それが何の意味も持たないどころか、言わない方がいい言葉だということを知っている人はどれくらいいるのだろうか。
 死にたいという人は「生き方が分からなくなっている、生きることに希望を持てない」状態だという話を聞いた時、生きることへの希望があっても、なくても、生きることは出来るのだろうけど、「ない」にフォーカスしていると私だったら苦しくなるな。と思った。
 考えすぎないで、と言われても、考えすぎる事を止めることはできないし、同じように死にたい、という気持ちを取り除く事は誰にも出来ない。

ももさんがカバンとテントを持って色々な人の死にたい人がどうやって死なずにいられたのかを聞いていくのはポジティブな人もいればネガティブな人もいて、一人ひとりのストーリーが共感出来たり、全くできなかったり、スルスルと流れていく。
良いとか悪いではなく、嬉しくなったり、楽しくなったり、辛くなったり、暗い気持ちになるという表現はあってもそれを良い・悪いとジャッジしていないように私は感じた。そこがいいなと思った。

良い・悪いで話すとか合ってる間違っている。というジャッジは悩みを抱えている人にとってはやってはいけない事だというのを傾聴を学んでいく中で知った。
死ぬ=悪い事、弱い人が選ぶ選択
という価値観のフレームがあるとどうしても希死念慮を抱える人に対してそれ以上話させないようにし、シャットダウンしてしまう事が良く起こると思う。

傾聴を学び、今、私はようやく死にたくなる気持ちを伝えてくれる人が私を信頼してくれること、私に話す事でその気持ちが強くなり自殺に関与するのではないかという私自身(聞く側)の責任というよりも、話してくれた相手の命の強さを信じられるようになった。

普段は鍼灸師として働いているが、私は心が弱っている人が私にその人の辛さや苦しさを寄り添い、受け止められるようにずっとトレーニングしてきているのだと思う。そして、これからももっと、もっと成長していきたいと思う。
自然が私たちを受け入れてくれるように、私も、私の手を求めてくるクライアントに優しく寄り添いたい。

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