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【SLAM DUNK】「本当に奇跡的な作品」~祝・2023年興収No.1!

先週23日に一日限りの再上映会が行われましたが、本日(30日)は日本映画製作者連盟(映連)が『2024年 新年記者発表』を行い、なんと『THE FIRST SLAM DUNK』が158.7億円を記録し、洋画・邦画を合わせてNo.1になったという嬉しいニュースが入ってきました!あちこちのネット記事を見ていく中で、オリコンニュースに東映社長のコメントが詳細に掲載されていて、とても素晴らしい内容だったので、ぜひここでシェアしてみたいと思います。

少しずつ要約してご紹介したいと思います。

日本映画製作者連盟(映連)は1月30日、都内で『2024年 新年記者発表』を行い、2023年(令和5年)の全国映画概況を報告した。邦画・洋画を合わせて、No.1の興行収入をあげたのは、井上雄彦氏の映画『THE FIRST SLAM DUNK』(22年12月公開)で、158.7億円を記録した。出席した東映の代表取締役社長・吉村文雄氏はヒットした要因について「本当に奇跡的な作品」「分析しろと言われても非常に難しい」としながらも、見解を述べた。

2024-01-30 20:53ORICON NEWSより

私たちは映画が超大ヒットしたことをすでに知っているので、内容の素晴らしさや映像の美しさ、その他いろいろ含めて「良さ」を知っているわけですが、公開前はどうだったでしょうか?もちろん原作ファンだったので、公開したら1回は観に行こうとは思っていましたが、あれだけ狂ったように(!)リピートするとは自分自身も信じられませんでした。原作終了から30年経った今、甦ったわけですが、資金を出す会社側も「大ばくち」だったに違いありません、きっと。

吉村氏は「井上先生のところに、映画化の話を持ち込んだのは12~13年前。東映アニメーションの松井(松井俊之プロデューサー)が企画を立ち上げ、何度も何度もNGをいただきながら、やっと製作、公開にこぎつけた作品。ですが、公開前は非常に不安な状況でした」と、長く険しかった道のりを振り返った。念願の映画製作が決まったものの、社内には「国民的人気のある漫画ですが、連載もテレビアニメも終了して30年ほど経っていたこともあって、今、この時期にどうなんだろうという意見もあった」という。

同上

この話題はすでに有名な伝説と化している感のあるエピソードですね、プロデューサーの松井俊之さんが何度も何度も井上監督のもとに通い、企画をプレゼンするのですが、そのたびに監督からはNGとなり、「次を最後にしましょう」と監督に言われたその最後のプレゼンでようやくOKが出たという。しかし、その次の難関は実際に資金を出す会社への説得工作。吉村社長の仰る気持ちも分かります。「なんで30年も前の作品を今頃映画化するんだ?」という素朴な疑問。しかも公開前の宣伝を一切しないという、前代未聞の大勝負に打って出ることになるわけで。

不安要素はほかにもあった。「なかなか思うように宣伝もできないところもありましたし、ボイスキャストもテレビアニメ版から一新されたり、主題歌がアニメシリーズのものじゃなかったり、公開前はどちらかというとネガティブな盛り上がり方をしていたので、それも不安要素でした」。同作は情報を小出しにしており、テレビアニメ版からキャスト一新することを公開1ヶ月前の11月4日に発表。あらすじが公式より未発表のままという異例の公開初日を迎え、プロモーション展開に一部で不満の声が出ていたのも事実だ。

同上

幸い、私はテレビアニメ版をあまり観ていなかったので、それほど「声優交代問題」については気にならなかったのですが、テレビアニメ版の熱心なファンの方にしてみたら、肩透かしというか、なんだか裏切られた感を持ったことは否めないでしょう。事実、この発表によるネガティブキャンペーン的なものがあったことも事実でしたしね。ストーリーに関してはぼんやりと「山王戦だろうな」という期待はあったので、そのあたりを予想しながら劇場に向かったのですが・・・恐らく多くの方がそうであったように、初っ端の沖縄で度肝を抜いたという・・・感じでしたね。

その不安や不満をかき消す原動力となったのは、ほかならぬ原作者の井上氏だった。今回の映画は監督・脚本を井上氏が担当し、「井上先生の今回の映像化にかける情熱がスタッフに伝わったことが、一番の成功の要因だと思う」。

同上

ここなんです!今回、この記事をテーマに自分でも伝えたかったのは、まさにこの「情熱」についてなんです。井上先生がインタビュー等で語って下さっていますが、とにかくファンの思いに応えたい、すでにスラムダンクを知っている方々にも新鮮な気持ちでもう一度味わって欲しいという気持ちで「THE FIRST」というタイトルをつけた、と語っていらしたことが印象的ですが、そうした井上先生の強い「思い」・「情熱」が製作チームスタッフ全員に伝播し、それこそ「奇跡の作品」ができあがったのではないでしょうか。

こういうことって滅多にないことではありますが、こうした芸術作品のみならず、実際のスポーツや、学校、職場・・・とチームプレーで活動している際には、一度や二度、本気で情熱を燃やした際には体験していることがあるのではないでしょうか?全員の思いが一つになり、持っている力以上のものを出し切る・・・なんて話はきっと誰しも経験があるはず。きっと今回の「THE FIRST SLAM DUNK」のプロジェクトにおいても、まずはプロデューサーの松井さんの情熱が、井上先生に伝わり、そこから「本当に良いものを作ろう」という先生の情熱がスタッフ、チーム全体に伝わり、それが「形」になったのではないでしょうかね。

原作者や制作スタッフの情熱が、作品の出来の良さにつながり、SNSや口コミで広がり、爆発的なヒットを呼ぶことになる。「ご覧いただいた方ならわかると思いますが、従来のアニメーションとは違って、いわゆるコミックスの絵が動き出すようなその滑らかな動きと、キャラクターたちの息遣いまで再現した音。あたかも試合を見てるような臨場感が凝縮されていた。本当に奇跡的な作品だと思います。そして、本当に救われたのが、公開してからのSNS。こちらが何か仕掛けたということではなく、本当にご覧いただいた方がものすごく熱いメッセージを発信してくれて、それがヒットにつながったのではないかと思っています」

同上

私も周囲の人たちにどれだけ語ったことか(笑)。もちろん私自身も相当なリピーターでしたが、とにかく内容が素晴らしすぎて、スラムダンクを知っている人でも知らない人でも「いいからとにかく観てみて!」ともう勝手応援団として日夜宣伝活動にいそしんでいましたね。ま、周囲は呆れていましたが・・・(笑)。

吉村氏は「通常、映画を公開する時には、いろいろ考えて宣伝しますが、そういうことを超えた自発的な何かが生まれたということだったんだと思います。なので分析しろと言われても非常に難しいのですが、作品の持ってる力をお客様一人ひとりが受け止めてくださって、それを伝えていただいたことがこの結果につながったのかなと思います」としめくくっていた。

同上

本来は「番宣」という形で、映画公開前までにありとあらゆる宣伝活動をし、公開を迎えるというのがセオリーなのですが、この作品に関してはそうした活動を一切せずに公開を迎えるという「超異例」の手法を採用。その後、宮崎駿監督作品も同様の手法を活用して話題となりましたが、あちらは「宮崎ブランド」というものがすでにある中でのものなのに対し、こちらは原作は世界的大ヒット作品ではあるものの、映画としては「未知数」なわけで、本当に資金提供をした東映サイドは胃がキリキリしたことと思います。

しかし、そんな大勝負に見事大勝利し、蓋を開けてみたら超特大ヒット!しかもなんと年間興収No.1という大記録をマーク。どこまでも「奇跡の作品」だなぁと惚れ惚れしてしまいます。映画を「商売」としている映画会社としては、もちろんどんな作品もこうした「思い」が実って成功すれば良いのですうが、そうはならずに残念な結果に終わる作品も多い中、なぜこの「THE FIRST SLAM DUNK」が大成功を収めたのか。吉村社長が仰るように「分析は難しい」わけですが、兎にも角にも「奇跡の作品」だったということだけはきっと誰もが納得するのではないでしょうか。

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