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見せ岩崎の意図

8/21のヤクルト戦、8回表2アウトランナーなしで7回途中からリリーフ登板し見事火消しに成功した岩崎がそのまま打席へ。そしてこのまま8回裏に続投すると思われたが、相手打者が変わったところで矢野監督は投手をガンケルにスイッチ。一見何もなしにただ岩崎を打席に送ったように見えるこの采配の意味とは?

前提

1.ヤクルトの打順の巡り

8回裏のヤクルトは6番山崎、7番田代、8番西田と続く打順で、山崎と田代は左の巧打者である。特に先頭の山崎は今季安定して成績を残している曲者だ。この2人に対して左の岩崎をぶつけようとしたため、岩崎を打席に送り続投させようとした。

2.ガンケルの左右別成績

ガンケルは右の変則投手であり、対右に対しては食い込むツーシームや外のストレート、逃げるスライダー等を駆使して被打率.200と強さを発揮している。一方で左打者には有効な攻め方が対右打者よりは少ないため、被打率が試合前までで.344と高い確率で打たれている。ガンケルは信頼されている投手なので左右を必ずしも気にする投手とまではいかないが、もし使うのであればできれば右打者が多いところで使いたい投手なのである。

3.追加点が取れていた

ヤクルトにじわじわと追い上げられていた阪神だったが、8回表の攻撃でボーアの今日2本目となるホームランが飛び出し、待望の追加点を挙げた。そしてその後は2アウトランナーなしとなり、そこで投手に打順が回った。ここで代打を出して攻撃してもいいが、別にここでアウトになっても次はこの日3安打の近本から始まる上位打線の巡りだった。この点を鑑みて、矢野監督は2アウトランナーなしから得点するというかなり低い可能性よりも、岩崎を続投させて対左にぶつけることを選択したといえる。

”策士”矢野監督

上記の3点を総合して、矢野監督は代打を出して8回先頭からガンケルを投入するのではなく、左に岩崎をぶつけることを選択した。しかし、岩崎が来るのであれば高津監督がまだベンチに残っている山田や中村、廣岡といった右打者を代打に使ってくることも当然考えられる。もし、こういった右打者を使ってくれば矢野監督は岩崎から右打者に強いガンケルにスイッチすればいいのである。使ってこないのならばそのまま左が並ぶ限り岩崎を続投させれば良い。つまり、矢野監督は2アウトランナーなしからの攻撃を放棄する代わりに、ヤクルトが代打を出そうとそのまま来ようと、得意な方で対応できる選択肢を持ったということだ。
もちろん、これが必ずハマるとは限らないが、あくまで継投は確率論的な面もある。より抑える確率が高い選択を阪神側が主導権を持って行えるようにするための作戦だったのではないだろうか。

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