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鳴尾浜戦力分析(野手版)

今年のドラフト会議までもうあと1ヶ月を切りました。そして今シーズンも残り1ヶ月と少し。そろそろ来季に向けて考えていくためにも、今回は鳴尾浜の現状を見ていきましょう。
ではいきなりですが、二軍のチーム打撃成績をご覧下さい。

チーム打撃成績(9/28時点)
・打率.229(最下位)
・本塁打23(最下位タイ)
・得点数175(4位)
・出塁率.302(最下位)
・長打率.319(最下位)
・OPS.621(最下位)
・盗塁37(最下位)

……。打てません、とにかく打てません。ウエスタンリーグの球場の中では鳴尾浜球場は狭い部類に入りますが、そこを本拠地にしていてコレです。ヤバイ。なんでこんなことに……。まあ、ポジションごとに見ていくことにしましょうか。

テンプレート
名前〈スタメン出場数〉打席数 打率/出塁率/長打率//三振率 本塁打数 盗塁数 失策数

打撃成績は今季通算、失策数のみそのポジションでの数(外野手は左、中、右の合計数)

①捕手

長坂〈18〉*78打席 .194/.276/.313//.299 1本 1盗
片山〈16〉111打席 .227/.324/.258//.103 0本 0盗 2失
原口〈9〉 *91打席 .361/.418/.554//.133 2本 0盗
藤田〈8〉 *49打席 .130/.184/.174//.283 0本 0盗
岡崎〈5〉 *23打席 .111/.261/.167//.111 0本 1盗
坂本〈3〉 *12打席 .444/.545/.556//.222 0本 0盗

主にマスクを被るのは長坂か片山。今季序盤は岡崎が被る日もありましたが、徐々にそれが減ってかわりに藤田のスタメンが増えています。
一軍では「OPS5.000男」になっている長坂ですが、二軍での成績は芳しくありません。毎年ほぼ似たような成績に落ち着いています。阪神捕手唯一の左打ちで打力が持ち味の片山も、去年より選球眼の向上は見られるものの、期待されるほどの数字にはなっていません。原口坂本はさすがの成績。
攻守とも現在は課題が多いですが、素質は十分に持っている藤田の今後の成長に期待です。

②一塁手

板 山〈16〉195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗
片 山〈10〉111打席 .227/.324/.258//.103 0本 0盗 1失
荒 木〈14〉102打席 .242/.280/.263//.158 0本 7盗
原 口〈5〉 *91打席 .361/.418/.554//.133 2本 0盗 1失
藤 谷〈5〉 *85打席 .250/.329/.395//.382 3本 1盗 1失
マルテ〈3〉 *32打席 .280/.438/.400//.200 1本 0盗 1失
小野寺〈2〉 *70打席 .231/.286/.262//.246 0本 0盗
陽 川〈2〉 **6打席 .400/.500/1.000//.200 1本 0盗
遠 藤〈1〉 124打席 .182/.256/.236//.409 1本 0盗
サンズ〈1〉 **7打席 .250/.571/.250//.250 0本 0盗

基本的に外国人補強に頼っているポジションなので、本職の選手は少ないです。実際、スタメン出場数上位の板山は外野手、片山は捕手、荒木は二塁手、そこに続く原口や藤谷も一塁の選手ではありません。つまり、ユーティリティ選手や捕手に出場機会を与えるポジションという意味合いが強いということになります。
ユーティリティ選手がセンターラインにいるよりは一塁にいる方がチーム状況としては良いと思ってはいますが、一塁に守備型の選手などを置き続けても仕方ないので、打撃型の育成選手や外国人選手を獲得してもいいでしょう。

③二塁手

熊谷〈16〉126打席 .175/.236/.263//.211 0本 4盗 1失
上本〈15〉*71打席 .237/.304/.339//.136 0本 2盗 3失
遠藤〈9〉 124打席 .182/.256/.236//.409 1本 0盗 1失
板山〈6〉 195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗 2失
北條〈5〉 *98打席 .200/.330/.250//.213 1本 2盗
荒木〈5〉 102打席 .242/.280/.263//.158 0本 7盗
糸原〈2〉 **8打席 .333/.500/.333//.167 0本 0盗
植田〈1〉 **3打席 .000/.333/.000//1.000 0本 1盗

一番問題のあるポジションの一つ。当初は遠藤が三塁、熊谷が二塁で起用されることが多かったですが、上本が降格してからは上本がメインに。荒木や板山が二塁で出てる時はわりとヤバめ。現在はコロナの影響で二塁経験者が板山しかいないため、藤谷や小野寺も二塁練習中。
大卒3年目の熊谷は二軍で今季ここまでキャリアワーストの成績に。守備走塁型の選手とはいえ、これではさすがに寂しすぎます。上本もかつての力は見られず、二軍でもなんともいえない微妙な成績。プロの壁に苦しんできたルーキーの遠藤は9月になって状態を上げてきていますが、現在は遊撃での出場がメインです。また、北條が数年ぶりに二塁で出場しました。
全体的に見て来季以降に期待できる選手が極端に少なく、一軍への戦力供給もままならない状態であるため、ドラフト等で即戦力の補強は必須です。

④三塁手

藤 谷〈16〉*85打席 .250/.329/.395//.382 3本 1盗 3失
遠 藤〈16〉124打席 .182/.256/.236//.409 1本 0盗 3失
板 山〈12〉195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗 1失
熊 谷〈7〉 126打席 .175/.236/.263//.211 0本 4盗 2失
北 條〈3〉 *98打席 .200/.330/.250//.213 1本 2盗
マルテ〈2〉 *32打席 .280/.438/.400//.200 1本 0盗
小 幡〈2〉 112打席 .277/.327/.307//.188 0本 8盗
小野寺〈1〉 *70打席 .231/.286/.262//.246 0本 0盗

藤谷が故障離脱していた今季序盤は遠藤、復帰後は藤谷がメインで、どちらでもない時に板山が起用されるというのが主な形。三塁の守備固めという一軍での起用法に合わせて、熊谷が三塁で起用されていた時期も。
三塁の期待株はやはり藤谷。パワーのある打撃に元投手らしい強肩を活かした守備を見せ、評価は徐々に向上してきています。当初は小幡が遊撃にいたため三塁で起用されていた遠藤も肩の強さを活かした守備が特徴ですが、まだプロの速い打球に戸惑うシーンも。打撃のポジションである三塁を守るには、まだまだ打撃のレベルアップも必要です。
一軍の三塁には大山というレギュラーがいますが、二軍を見ると育成の藤谷や将来的に三塁をやるか不明な遠藤、ユーティリティの板山と充実しているとは言えません次世代の大砲候補を獲得してもいい頃合いになってきました。

⑤遊撃手

小幡〈27〉112打席 .277/.327/.307//.188 0本 8盗 3失
北條〈16〉*98打席 .200/.330/.250//.213 1本 2盗 4失
遠藤〈9〉 124打席 .182/.256/.236//.409 1本 0盗 4失
熊谷〈7〉 126打席 .175/.236/.263//.211 0本 4盗

昨年からレギュラーだった小幡が打撃面でも成長を見せ、一軍に昇格。ほぼ入れ替わりで落ちてきた北條が代わってメインになり、現在は他3人の一軍昇格により遠藤がフルで務める状態に。
小幡の成長がチームにとっては嬉しい誤算ですが、二軍にとってもある意味誤算に。代わりに入った北條が思ったような成績を残せず、遠藤熊谷もあまり打てていないために、戦力的にマイナスになっています。来季が始まれば小幡はまた二軍でスタートするのか、北條が来年もメインとして遊撃を守り続けるのかなどの問題もあるため、編成としては難しいところですが、二塁とともに即戦力の補強は必須でしょう。

⑥左翼手

伊藤隼〈10〉*88打席 .203/.284/.316//.177 0本 0盗
中 谷〈9〉 *50打席 .267/.340/.537//.267 3本 0盗
高 山〈9〉 128打席 .239/.305/.359//.197 1本 0盗
俊 介〈7〉 *83打席 .308/.349/.346//.115 0本 0盗
板 山〈7〉 195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗
井 上〈6〉 209打席 .218/.287/.378//.383 6本 0盗 1失
小野寺〈3〉 *70打席 .231/.286/.262//.246 0本 0盗
江 越〈3〉 *15打席 .083/.267/.083//.250 0本 1盗
島 田〈2〉 165打席 .195/.247/.248//.221 1本 5盗
荒 木〈2〉 102打席 .242/.280/.263//.158 0本 7盗 1失
サンズ〈1〉 **7打席 .250/.571/.250//.250 0本 0盗

ここも問題のあるポジションの一つ。右翼に井上が入ってきてほぼ固定された結果、左翼でいろんな選手が起用される形に。一番多い伊藤隼も9月になってからはスタメンで左翼に入ったことはありません。一軍を窺う中谷や高山、ベテランの俊介などがメインです。
現状は基本的に外野手登録で二軍にいる選手に平等に出場機会を与えるためのポジションになっているため、これといった次世代の選手は存在しません。その割には二軍で好成績を残しているといえる選手もほとんどいません。一軍の左翼はベテランの福留、外国人のサンズで近年やってきており、二軍の起用法を見る限りは今後もこういった補強選手で埋めることになる可能性が高いです。

⑦中堅手

島 田〈32〉165打席 .195/.247/.248//.221 1本 5盗
高 山〈10〉128打席 .239/.305/.359//.197 1本 0盗
小野寺〈7〉 *70打席 .231/.286/.262//.246 0本 0盗
俊 介〈4〉 *83打席 .308/.349/.346//.115 0本 0盗
板 山〈4〉 195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗
中 谷〈1〉 *50打席 .267/.340/.537//.267 3本 0盗
荒 木〈1〉 102打席 .242/.280/.263//.158 0本 7盗 1失

島田が主に守る中堅のポジション。島田が昇格時は高山などが守っていました。9月になってからは小野寺の出場も増えています。
島田は熊谷と同じく大卒3年目ですが、成績面でも同じくキャリアワーストの打率1割台。守備走塁のいい選手とは言えども、かなり厳しい成績となっています。一方で、故障明けは出場機会を増やしてきている小野寺に当たりが出始めています。まだ本来の持ち味である長打力はあまり発揮できていませんが、積極的なスイングと追い込まれても粘りのある打撃ができています。中堅守備も無難にはこなせているので、今後も出場機会を重ねていくと思われます。

⑧右翼手

井 上〈42〉209打席 .218/.287/.378//.383 6本 0盗 1失
高 山〈8〉 128打席 .239/.305/.359//.197 1本 0盗
島 田〈3〉 165打席 .195/.247/.248//.221 1本 5盗
板 山〈1〉 195打席 .237/.299/.328//.164 2本 0盗
小野寺〈1〉 *70打席 .231/.286/.262//.246 0本 0盗
中 谷〈1〉 *50打席 .267/.340/.537//.267 3本 0盗
俊 介〈1〉 *83打席 .308/.349/.346//.115 0本 0盗
伊藤隼〈1〉 *88打席 .203/.284/.316//.177 0本 0盗
江 越〈1〉 *15打席 .083/.267/.083//.250 0本 1盗

二軍で一番まともなポジションといえる右翼。ほとんどの試合で4番ライト井上。井上が休みの日や左翼に入る日だけ他の選手が起用される形。
井上は打席数、本塁打、打点でいずれもチームトップ。起用された試合は全て4番に入るなど英才教育が施されています。8月には不調に陥りましたが、9月になると成績は回復、四球が増えて三振もやや減少するなど内容も向上しています。来年開幕からいきなり一軍…とはならないはずなので、まだしばらく二軍の右翼は井上になるでしょう。できれば競争相手が欲しいところです。

まとめ

各ポジションごとに起用と成績を見ましたが、ほとんどのポジションが問題点なのが実情です。そのせいで最初にあげたような壊滅的なチーム打撃成績になっているのですが、これを改善するのにはまだまだ時間がかかります。去年高卒選手を一気に獲得してもまだこんな状態なのです。
これを解決する策としては、即戦力や次世代のレギュラー候補とは別にして、ポジションを問わず打撃の良い選手を下位指名や育成指名で獲得するのも手だと思います。これによって、打撃好調で一軍昇格を果たす選手が少ないという問題点も解消できる可能性もあります。さらに上手く行けば、現在DeNAで4番を張る佐野のような選手が出てくるかもしれません。とにかくせめて二軍レベルではもっと打てる選手を増やさないことには始まりません。
今季残り、そして来年と楽しむために、若手選手にはもっともっと頑張ってもらいたいところです。

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