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井上広大の現在地

阪神の次代の大砲と期待されるドラフト2位ルーキー・井上広大の現在をウエスタンリーグでの成績、内容から分析する。

・井上の起用法

井上は「将来の4番」として期待されており、高卒1年目の現在から英才教育として二軍では出場した全試合で4番に座っている。一軍の控えメンバーが調整として二軍戦に出場するいわゆる「親子ゲーム」の時でも4番には井上を据え続けている。
守備位置は主に本職であるライトに着くことが多いが、8月に入ってからは公式戦でもレフトでの出場が見られる。これは平田二軍監督の「野手は複数ポジション守れるようにしておく」という方針の影響を受けていると思われる。

・打撃成績

井上は現在(8/9時点)、ウエスタンリーグにおいて本塁打と打点の二冠である。しかも阪神は消化試合数の一番多いオリックスとは7試合の差があるにも関わらず二冠なのだ。4番に据え続けられるのは二軍といえどもプレッシャーがあると思うが、それに結果でしっかりと応えている。また、打率は.216と低いものの長打率は.420と高い数値になっている。長打率-打率で表されるIsoは.204で、これは一軍で言うところのボーアと近い数値である。つまり、パワーが抜群であることは数値でも証明されていることになる。
ちなみに、ウエスタンリーグにおいて高卒新人の2桁本塁打は過去に達成例がないとされている。井上は約23〜24打席に1本のペースで本塁打を放っているため、このままのペースでいければリーグ初の高卒新人による2桁本塁打達成は夢ではない。
一方で課題となるのは三振数の多さである。どれくらい三振しているかというと、これまで出場した23試合のうち三振しなかった試合が1試合しかないくらいにしている。ウエスタンリーグは投手のレベルが高いとはいえ、これはかなり多い。三振率は打率や安打数などと違って一軍と二軍との数値の相関が高いとされ、要するに二軍で三振が多い打者が一軍で活躍するのはかなり難しいということになるため、今後は三振をどれだけ減らしていけるかが課題となるだろう。ただ、当てに行って三振を減らしても、それは井上広大という選手の魅力を打ち消すことになってしまう。今のスタイルを崩さず、その中でコンタクト力をいかに高められるか、ボール球を見逃せるかがポイントだ。

・打撃内容

井上の打撃内容における特徴はフライの多さとゴロの少なさである。ここまでフライアウト(ライナー含む)の割合は打席全体のうちほぼ3割を占めているのに対し、ゴロアウトはわずか1割である。具体的に言うと、95打席に立ってゴロアウトはわずか10である。また、フライのうち外野まで飛ばした割合も高い。こういった内容から見ても、井上は長距離砲の素質たっぷりな選手なのだ。
打球方向を見てみると、井上は広角に打てる選手であることがわかる。初本塁打がライトへのものだったことからも見てわかる通りだが、どの方向にでも打球を飛ばすことができるのも井上の魅力だ。

おまけ

井上のここまでの本塁打の相手投手は山口(広)、村西(オ)、田中法(広)、大竹(ソ)である。1号が右方向で他3本は左方向。また、安打19本のうち10本が長打である。

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