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阪神戦力分析

先日、他球団ファンでポジションごとに貢献度の一覧を作っている方を見かけた。それを見て「これを阪神でも作ってみたら面白いんじゃないか」と思ったのがきっかけで、こちらの表を作成。

まずはこの表の説明から。この表からわかることは、阪神における各ポジションの強みと弱み、そしてポジションごとの各選手の貢献度である。数値は各ポジションの平均と比べてどれだけ得失点に貢献したかを表している。例えば、マルテはファーストで平均よりも12.3点多くの得点を生み出し、-3.4点失点を少なくした(=3.4点多くの失点を生み出した)ということになる。
また注意しておきたい点としては、出場機会に差があるため、少ない機会で高い数値を出したからといって必ずしも他の選手より優れているとは限らないということだ。極端な例だが、1打数1安打で打率10割の選手が100打数30安打で打率3割の選手よりも必ず優れているとは言えないということでもわかるだろう。今回はその点もわかりやすくするため、イニング数も表記してある。

阪神の強み

阪神で最も強みとなっているポジションはセンターである。打率3割、2桁本塁打、2桁盗塁、GG賞の近本がほぼ1人で守っており、攻撃面においても守備面においても多大な貢献をしていることが窺える。また、ファーストも強みとなっている。これはマルテがほぼ離脱することなく出場し成績を残したことが大きい。来季もマルテの残留は決まっており、離脱さえなければこの強みが崩れることは考えにくい。
サードも強みではあるが、貢献の内訳は打撃ではなく守備が大きくなっている。サードの打撃といえば比較対象にヤクルト・村上や巨人・岡本などがおり、今季はやや苦しんだ感のある大山は打撃で大きなアドバンテージを取ることはできなかった。守備ではほぼ誰が守ってもプラスを弾いており、「サードを守れる選手の多さ」はリーグでも随一である。

阪神の弱み

阪神の弱みとして最も目につくのは、両翼の貢献度の低さだ。DHのないセリーグではレフトに守備の不得意な選手を置くことが多いため、レフトの守備貢献度がマイナスであることは仕方ないのだが、両翼に高い攻撃力を持った選手がほとんどいなかったことがわかる。唯一攻撃貢献が高かったサンズでも平均プラス5点程度であり、2年連続の終盤の不振や年齢などの問題もあって今季限りでの退団が決定。ライトの佐藤輝も後半は大不振に陥り、広島・鈴木やDeNA・オースティン、ヤクルト・サンタナら強力なライバルがひしめくこともあって打撃貢献は平均以下に。終盤は多くの選手を両翼で起用したが、ほぼ誰も攻撃においてプラスを生み出せなかった。これが優勝を逃した大きな要因だろう。
打撃貢献が欲しいポジションでプラスを作ることができなかった影響は、他のポジションにも波及している。最も顕著なのがセカンドだ。セカンドでは全体の約7割を糸原が守っており、実質的なレギュラーとなっているのだが、守備での貢献度は大きくマイナスとなっている。特に併殺奪取能力が低く、これに関する指標DPRで大きなマイナスを弾いており、それが守備貢献度の低さにかなり影響している。しかし、打撃面ではライバルにヤクルト・山田やDeNA・牧、広島・菊池らがいる中、糸原はマイナスを作っていない。阪神では昨年も糸原以外のセカンド全員が打撃貢献でマイナスの値を出しており、今季も新加入の山本と僅か7打席の植田のみがマイナスを出していない状況だ。セリーグであるため打線に投手が入り、本来打撃貢献を求めたい両翼でもあまりプラスを作れておらず、なおかつより守備重視のキャッチャーやショートの打撃貢献も高くないため、セカンドでも打撃貢献が下がるとなるとかなり厳しくなってしまうといった状況だ。

来季に向けて

2桁のマイナスを弾き出したポジションが3つもありながらも優勝したヤクルトにゲーム差なしだったのが今季の阪神。つまり、これらのマイナスを少しでも改善できれば、悲願は達成できるはずだ。
改善しやすいポジションからいくと、やはり両翼になる。両翼の攻撃力をいかに高く保つかがポイントとなるだろう。そのための対策としては、①安定した攻撃力を計算できる選手を配置する、②新外国人を補強する、③現有戦力の底上げを行うの3つが考えられる。①は既に実行されており、2年連続20本塁打の大山がレフトにも参戦。また、原口も外野に挑戦している。②は今後実行されるとみられ、サンズを上回る選手の獲得に期待がかかる。最も期待したいのは③で、特に佐藤輝の成長には大きな期待がかかる。今季は打撃貢献がマイナスとなった佐藤輝だが、それでも1年目から24本塁打をマーク。強力な同ポジションのライバルである広島・鈴木はMLB移籍が確実であり、相対的にも攻撃力は増している。その中でも佐藤が打撃貢献で2桁を超えるプラスを弾くようであれば、阪神はかなり良い位置につけるだろう。もちろん、今季終盤に出場機会を得たロハスや小野寺、島田らの成長にも期待だ。両翼で攻撃力を生み出せる選手が数多く現れれば、今季は総合でマイナスとなった代打もプラスへと転換できるだろう。
また、守りのポジションであるキャッチャーやショートが打撃でも貢献できれば、これは大きなプラスになる。特に悔しさを胸に残留を宣言した梅野や来季2年目となる中野がもっとバットでも結果を残せば、チームにとってこれほど大きなことはない。負担の大きなポジションだが、来季は今季以上の活躍を期待したいところだ。

最後に

今回は他の方から発想を得て、他の方がまとめた資料を用いての分析であったため、自分一人では決してなし得ないものでした。新たな発想を与えてくださったり、このようなわかりやすい資料を作ってくださったりしている方々には、この場を借りて感謝したいと思います。また、最後まで本noteを読んでくださった皆様にも感謝しています。ありがとうございました。

参考資料
・https://bo-no05.hatenadiary.org/entry/2021/08/21/000000
・https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2904.html

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