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2020阪神フェニックスリーグまとめ

11月8日に宮崎県で開幕し、29日に幕を閉じた2020年のフェニックスリーグ(名称が長いため、以下「本リーグ」とします)。例年であれば韓国からも数球団が参戦してくる本リーグですが、今季はNPB球団のみで行われました。基本的にウエスタンリーグ、イースタンリーグ同士では当たらないようになっており、ウエスタンリーグに所属する阪神は普段は対戦しないイースタンリーグの球団と全18試合を戦いました。
本リーグを戦う上で、事前に平田勝男二軍監督と各選手らで面談が行われており、どのような選手を目指すか、何を課題として取り組むかなどについてチーム内での共有する場が設けられていました。今回はその点についても、記事等でわかる限り触れながら、各選手の成績や現状をまとめていきたいと思います。

投手編

各選手の成績は以下の通り。

ドラ1ルーキーの西純矢は、今季二軍で5.40に終わってしまった奪三振率の改善を目標に本リーグに臨み、防御率こそ4.88ながらイニングを上回る数の三振を奪うなど、奪三振率9.38と目標をクリアしました。また、シーズン中は100球到達を目処に起用されてきましたが、その壁を超えて120球程度投げる試合もありました。変化球は既にハイレベルなので、ストレートの球速や球威を伸ばすことができれば一軍でも活躍する投手になるでしょう。
ドラ3ルーキー及川雅貴課題はテンポの悪さとスタミナ面。好投した試合はストライク先行でテンポよく投げることができていましたが、今年一年を通じてカウントを悪くして打たれるテンポの悪い投球を克服とはならず。球数を要して試合中盤までに捕まり降板するケースもまだまだ目立ちます。オフに向けてはスタミナ強化という課題が残りました。
今季二軍では成績を残せず、リリーフとしての登板も多かった小野泰己先発での登板を志願。大炎上する試合もありましたが、最後は2試合連続自責点0と好投し平田二軍監督を唸らせました。被打率も低く二軍の打者を押し込む投球ができており、最後に得た良い感覚を忘れず来季に入れるかがポイントです。
同じく先発を志願した馬場皐輔は上手くいかず。今季一軍では中継ぎとして結果を残しましたが、先発再転向には課題を残しています。守備にも綻びを見せ、監督に叱責される場面も。気を引き締め直して来季に臨みたいところです。
今季途中に先発に転向し、適性を示している齋藤友貴哉は本リーグでも圧倒的な成績を残しました。防御率は低く被打率も低い、走者は許さず三振は奪えると完璧です。荒れ球の傾向があり封印していた右打者のインコースへの投球を本リーグでは解禁し、その中でも安定して投げられることを示しました。来季は27歳、ブレイクが求められます。
一方で苦しんだのが望月惇志。今季最終盤から本リーグにかけて変化球の精度を課題としていますが、なかなか改善の兆しが見えず。意識するあまりか一度乱れると立て直しが利かない場面も。それでも球の威力は健在で、ゾーンに投げ込めれば押し込めます。オフは投げ込みをするなどして自信を持って変化球を投げ込めるようにしたいところ。
守屋功輝小川一平は格の違いを見せつけました。2人とも本リーグで失点なし、奪三振もイニング数を上回るなど圧倒しました。来季一軍での活躍を期待しましょう。
川原陸は2年連続ケガでフルにシーズンを戦えず。その悔しさを本リーグにぶつけ、後輩の西純や及川に負けない成績を残しました。テンポのよさは監督にも評価されています。
石井将希は本リーグで新たな挑戦。対左を苦手にしていることや変則左腕がチームにいなかったことを受け、サイドスローに転向。制球力など課題はまだまだありますが、対左に対してスライダーが上手く使えるようになり、奪三振率が大きく向上するなど、一定の成果も見えました。
育成選手の牧丈一郎はアピールに成功。ワンポイントやスクランブル登板、イニング跨ぎなどマルチに活躍し、安定した成績を挙げました。支配下復帰に向けて順調に階段を登っています。

野手編

各選手の成績は以下の通り。

本リーグで全試合4番を務めたドラ2ルーキー井上広大は今季終盤から打つべき球、そうでない球の取捨選択ができるようになり、それを初対戦ばかりの本リーグでも継続することができました。打率は.250程度にとどまりながらも本塁打、四球はチームトップ。三振が多いなど監督に「遊ばれとる」と脆さを指摘される場面がありながらも、一振りで仕留めたり、粘りながら食らいつく打席も多く見られました。
同じくルーキーの遠藤成は今季二軍で打率.157と苦しみましたが、初対戦ばかりの本リーグでは打率.279と対応。打点は13とチームトップの活躍を見せました。守備走塁では監督に苦言を呈される場面がありつつも、最後まで積極的な姿勢を貫いた点は高く評価されています。
育成ドラ1ルーキー小野寺暖は終始好調をキープ。惜しくも打率3割には届かなかったものの、フル帯同組ではOPSチームトップと大きくアピールしました。広角に長打が打てる点は監督も高く評価しており、また守備でも外野に加え一塁と三塁も守るなど様々なポジションをこなす点も強みです。
北條史也髙山俊坂本誠志郎の一軍実績組はしっかりと格の違いを見せました。特に北條と髙山の三振の少なさはさすが一軍クラスと言ったところです。坂本も一振りで仕留めきる力を見せました。来季は必ずや一軍戦力となることが求められます。
一方で植田海熊谷敬宥ら今季一軍を多く経験した選手が今ひとつだったことは問題点です。ライバルも増えており、本職の二遊間だけでなく三塁や外野といったところにも挑戦しています。一軍生き残りのために更なるレベルアップが必要です。
今季頭角を現したのが2年目の小幡竜平。昨年の本リーグでは打率1割台とレベル差を見せつけられましたが、一軍経験を経て一回り成長した姿で帰ってきました。守備では細かいミスがまだまだ目立ち監督に指摘される場面も。新たな視点から見つめ直すという意味も込めて一塁守備も経験しました。安定感を身につけたいところです。
本リーグで主戦捕手を務めたのは長坂拳弥。若手投手が多い中、各投手の良さをしっかり引き出すリードは監督からも高評価。しっかりとワンバウンド捕球する姿も目立ちました。打撃では長打力アップを課題としており、序盤は打率も3割を大きく上回り長打もコンスタントに打つなど課題克服に向けて順調な姿を見せていました。しかし後半になると当たりがピタッと止まってしまい、三振も大きく増えてしまいました。守備はもちろん、打撃力の向上も強力一軍捕手陣に割って入るためには欠かせません。

まとめ

今季ウエスタンリーグでは最下位に終わるなど課題が多く目立った阪神。しかし、フェニックスリーグではその課題を一人一人が明らかにし、それを克服するためにはどうすれば良いか考えながらプレーすることで実りある3週間になったのではないかと思います。また、この3週間で新たな課題も一人一人が見つけたことでしょう。これらをオフに克服することができれば、来季は一軍での活躍も見えてきます。このフェニックスリーグを戦い抜いた選手たちの中から一人でも多く一軍で活躍する選手が出てくることを願って応援したいと思います。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!

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