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美観地区より美しいモノ

7月11日、久しぶりに倉敷の地にタイガースがやってきた。長らく毎年1度阪神がホームゲームを開いてきた倉敷だが、コロナの影響もあり、4年ぶりの開催であった。

倉敷と一口に言っても、見所は沢山ある。港や新幹線の駅がある玉島地区、ジーンズで有名な児島地区、コンビナートが連なる水島地区、そして観光名所として知られる美観地区がある倉敷地区。そんな名所や美しい景色が多い倉敷市だが、今日に限っては、阪神のエース・青柳晃洋が展開した投球が最も美しかったのではないだろうか。

倉敷美観地区(筆者撮影)

今季は開幕投手を務めながらも防御率5点台と振るわず、長らく二軍で汗を流してきた青柳。そんなエースの再起の地は、彼らしく雨の影響でずれ込み、倉敷となった。倉敷、岡山県といえば、雨天の少なさから“晴れの国“と呼ばれる場所。“雨柳さん“の異名を持つ青柳とどちらが勝つのかと一部ファンが楽しみにしていたかもしれないが、この日は“晴れの国“が完勝。熱気のこもったスタジアムでマウンドに上がった青柳は、序盤から素晴らしい投球を繰り広げた。

「倉敷らーめん 升家」のラーメン(筆者撮影)

青柳の持ち味は、低めに多様な球種を集めてゴロを打たせること。今日はその持ち味を発揮し、初回から2つのゴロアウトを奪った。そして、その勢いのまま、打者9人から7つのゴロアウトを取り1巡目を封じた。すると、打線が奮起し8番木浪が5打点を挙げるなど、久しぶりに打線が繋がる。援護をもらった青柳は、ピンチを招く場面こそありながらも、ゴロを積み重ねてリードを守る。“らしさ“が光ったのは6回の投球だ。直前のインターバルで綺麗な花火が打ち上がったが、それに負けない美しさを見せる4-6-3の併殺でピンチの芽を摘んだ。最終的に青柳は7イニングを投じて21アウトのうち16個をゴロアウトで奪った。鮮やかな土のグラウンドを幾度となく白球が転がり、それを内野陣が流れるような動きで処理する。その光景は、様々な観光資源を誇る倉敷の中でも、最も美しかった。そして、2ヶ月ぶりの勝利を掴んだエースの晴れやかな顔もまた、美しかった。

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