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Give&Take -与える人こそ成功する時代

ギバー(Giver)とテイカー(Taker)。

与える事を好む者、得る事を好む者。

非常に興味深い考察が多く込められている一冊

本書と共に、楠健氏の解説が味わい深い。

楠氏は、日本はギバーが多い社会であるという。

"ビジネスにおいても、日本人にギバーが多いと言う事は、日本の社会と日本人が伝統的に持っている「天然資源」と言ってもよい。我々が普段意識していない日本の可能性についても光を当てている。"

同意。この日本の、日本人の強みをどうにか生かせないか。おもてなし、相手に親切にしようという、多くの日本人に備わっている心。

メルカリ等のフリマアプリを利用していて、気付かされるのは、日本人の気配りの心。見ず知らずの人に対しても、丁寧な梱包を施し、なんなら"ご購入、ありがとうございます"と、個別のメッセージまでも書いてしまう。

日本人ならではの強みを生かした事業機会、この天然資源を生かした比較優位性がある気がする。

楠木氏は自身の事をこう言う。

"時と場合によっては、ギバーになることもある。才能を感じさせる人や自分が面白いと思ったことのために、自分の利益とは関係なしにごく自然とgiverとして行動していたことに気づかされた。"

皆さんも思い当たる節があるのではないだろうか。

ギバーとして行動するには、心のゆとりが必要だ。すぐに自分の得とはならないためだ。自分のもとに利益が返ってくるには、数年の歳月がかかる場合も多い。

本書において述べられるギバーにおける記述の重要な点のひとつはこれだ。

最終的に得をするのは、テイカーではなく、パイを広げて、最大限に他の人の利益をも広げているギバーではないだろうか。

"テイカーが勝つ場合は、大抵他の誰かが負ける。ギバーが勝つと、みんな声援を送り、批難することなどない。その成功が、周囲の人々の成功を増幅させるからだ。"

"ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出す。それがテイカーやマッチャーと違っているのだ。"

ベンチャーキャピタルのデビッドホーニック氏は、こう言う。

"成功するのに、誰かを犠牲にする必要がないことを実証したいね。"

"僕は自分が住みたいと思う世界をつくっているんです。"

人の伸ばし方についての記述が続く。

"人が才能伸ばすきっかけになるのは、やる気であることがわかったのだ。"

" 誰でも一流になると考え、やる気があるかどうかに着目する。"

"一定以上の能力を持った候補者がたくさんいたら、粘り強さは、その人がどこまで可能性を発揮できるかを予測する大きな要因になる。"

本文に出てくる、米国大学の会計士の先生に関する記述。

"聴く者の心を掴みたければ、本当に彼らの関心を強く引きたければ、彼らの住んでいる世界を知らなくてはならない。どんな音楽を聴いているのか、どんな映画を観ているのか。"

"若者の関心をひく。ラップ聞いたり、自分の話を生徒に聞いてもらうための努力を惜しまない。"

ギバーが気をつけなくてはならないポイントもある。

"ギバーが燃え尽きるのは、与え過ぎた事よりも、与えた事でもたらされた影響を、前向きに認めてもらえない事が原因なのである。"

"ギバーは、与える事に時間とエネルギーを注ぎ込み過ぎるせいで燃え尽きるのではない、困っている人をうまく助けてやれない時に、燃え尽きるのである。"

"正しい事をすれば褒めたり、ポジティブに賛同したり、励ます事を常に忘れない。"

テイカーでも構わない、マッチャーでも構わない。社内のライバルならば、マッチャーとして振る舞うのは、合理的だ。

そもそも何のために生きているのだろうか。

誰かの、なにかの、役に立つ行動を行う事は、そんなに悪いものじゃないはずだ。

成功するギバーは、自分のものの見方を相手の視点に合わせる。これを最初からできる人はそういない。

天才になるのも勿論いいけど、天才を育てられる人になれなら尚いいと思わないだろうか。

自分のためにお金を使っても幸福度は変わらなかったが、他の人のために使った人は幸福度がかなり上がった、という経験を持つ人は多いのではないか。

自らの生き方、振舞い、心の持ち方を考えさせる一冊。

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