見出し画像

交感神経優位が引き起こす体調不良、血流障害、低体温

1.顆粒球増加による、活性酸素の暴走

自律神経は、状況や外的環境の変化に応じて交感神経が優位になったり、副交感神経が優位になったりと揺れ動いています。この揺れがあるおかげで、私たちの体調も良好に保たれています。揺れが極端に少なくなり、自律神経の働きがどちらか一方に偏ったとき、病気は発症します。交感神経、副交感神経どちらに偏りすぎても病気になりますが、病気全体の約8割は、交感神経緊張状態が持続したとき発症しています。

交感神経を過度に緊張させる最大原因はストレスです。心身に負担をかけると、体はこれに負けまいとして交感神経を緊張させ、心と体にかつをいれます。その際にアドレナリンがどっと放出されるために、こうした変調が起こるようになるのです。

①ストレスを感じる→②交感神経緊張状態→③白血球中の顆粒球の数が急増化→④活性酸素が過剰になり、周辺組織を広範に破壊する(例:胃潰瘍・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎等)

活性酸素は、通常量であれば、細胞に活気を耐えて活動的な体調を作る働きをする。


【例①実験】マウスに金網をかけて動けないようにした。自由を奪われたマウスは強いストレスを感じ、交感神経緊張状態になる。顆粒球の変動を調べると、大腿骨の中に15x10 *6 という大量の顆粒球が認められた。

骨髄には顆粒球の予備が蓄えられている。急性ストレスを与えられたマウスの体内では、骨髄から予備軍が一気に抹消に流れ、血流が多い肝臓から胃の粘膜に辿り着き、胃粘膜を攻撃。この時、胃粘膜だけがダメージを受けるのでなく、他の粘膜でも組織破壊が起こっている。これらの急激な反応はわずか1日で完結する。

【例②】激しい夫婦喧嘩をした翌日に胃がしくしく痛み、突発性難聴になった。急性ストレスによる顆粒球過多で、胃と内耳の双方の粘膜が攻撃された結果

2.血流障害の怖さ

交感神経の緊張が慢性化すると、アドレナリンの作用で血管が常に絞られた状態になり、全身で血流障害が起こります。血液は、組織に酸素と栄養を供給し、二酸化炭素と老廃物を血流に乗せて排出しています。組織に血液が行き渡らなくなれば、生命活動に必要な物資も調達されず、代謝機能(体内での物質処理)が低下して、内蔵の働きも悪くなります。たとえば、胃や腸の血液循環量が減少すれば、消化吸収もスムーズにいかなくなります。

また、本来排泄されるべきものがたまることで、体内環境も悪化していきます。痛み物質が停滞すれば痛みやこり、しびれなどが現れ、筋肉疲労が起こりやすくなり、有害物質や発がん物質が蓄積すれば、発がんを促すことにもなるのです。

朝、起きたら、手足・指先までのストレッチをして、血流の流れを末端神経まで行き渡らせる。この時間を毎日15分取るだけで、1日の体調が大きく異なることを感じた人は、とても多いと思います。私の兄弟は、農業を営んでいますが、毎朝起きたら、この手足指先までのストレッチを、念入りにやっています。毎日のリズムをつくり、身体に習慣を植え付ける意味でも効果的だと思います。

3.血液障害が引き起こす、低体温

血流が悪くなると体内の代謝が低下する影響で、熱の産生量そのものが減少して36度以下の低体温になります。

体温は1日のうちである程度変動しており、朝がもっとも低く、その後は次第に上昇して夕方にもっとも高くなり、夜間にかけて下がっていきます。昼間は活動にともなって熱が産生され体温が高くなりますが、かりに活発に動いてなかったとしても一定の高さは維持されています。

低体温が続くと、細胞の活動が低下するだけでなく、体の防御システムも打撃を受けます。リンパ球は体温が高いほど活性化し、数も多いことがわかっています。リンパ球の攻撃力が最大になるのは、体温が38-39度台、インフルエンザで40度近い高熱が出るのは、リンパ球を活性化させるために体が体温を上昇させているからです。慢性的な低体温は、リンパ球の働きが悪くなり、免疫力を低下させる原因となります。

以上、全て引用は、自律神経免疫療法入門 福田稔・安保徹より

出典資料:自律神経免疫療法入門 福田稔・安保徹著

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?