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自分がしていることに迷いがない~井上尚弥

2年7ヶ月振りとなる井上尚弥vs ドネアの再戦。蓋を開けてみれば、井上選手の2R TKO。完膚なきまでの強さ。歴代日本人最強といっていい。試合後に放送席で、先日のゴロフキン戦で素晴らしいファイトを見せた村田選手と振り返り。

①自分が試合中、何を考えていたか。②相手がどうでてきたか。③それに対して自分がどう調整、変化させたか。全てをクリアに言語化できていた。強い、強すぎる。井上選手は、試合前の予想としてカウンターパンチャーであるドネア選手は、1Rはやや様子を見てきて井上選手が前に出てくる所にカウンターを合せてくる、その一択と予想。しかし1Rから想定外にドネア選手が出てくることを最初の左フックを受け、自身の戦略を切り替える。パワー、スピード、当て勘。全てが超一流の井上選手のパンチは1発の重みが違う。1R終了間際にクロスカウンターで脳幹にパンチを当て、ダウンを奪う。やや焦って2R序盤から前に出てパンチを繰り出してきたドネア選手を、冷静に左フックで仕留めた。

 メンタルのコントロールも完璧だ。自分の性格(いけると思ったら、前に出て一気に仕留めようとしてしまう)を十分把握した上で、1R終了後にセカンドには「俺はまだいかないよ」と冷静に伝えている。しかし、2Rの相手の出方を見て、冷静にパンチを合せている。

前回12Rの激戦でドネア選手の評判を上げてしまったと話す井上選手は、今回必ず早めのラウンドで仕留めるという強い決意。有言実行。自ら100点満点と称賛する内容で圧巻のパフォーマンスを披露した。

その姿、発言からは、自信が漲っており、全くブレがない。完璧な準備をしてきた、そしてそれを十分わかっている自分。自分が何をしているのか、どうしてそうしているのかについて、全く迷いがないようにみえる。素人から見ると、集中したゾーンの状態にずっと入っているように見えた。

1点の高みを見据え、地道な努力を重ねる日々。覚醒していく自分とそれを冷静に空からみている自分。途方も無い所に彼はいる。

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