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2. ストレスとやる気

(『メンタルタフネス』(ジムレーヤー)参照)

人間はやる気を起こし、情熱的になり、精神的に活気づくのが自然の姿であり、健康のサイン。この性質を欠く事は、肉体的または感情的に、あるいはその両方で何かおかしいということ。

従来、人間の怠惰な姿勢や取り組みときの姿勢の悪さが問題だと言われてきたが、実は何か他のものに起因することをはっきり実感した。つまり疲労、ネガティブな感情、やる気のなさ、移り気は、肉体的な痛み以上に精神性格上の欠陥や個人の弱さを反映したものではないと理解するに至った。

疲労、集中力不足、楽しめないという問題は、単に一生懸命やろうと解決されるものではない。

やる気がなくなるのは、往々にして体がオーバートレーニングのダメージから身を守る方法であることが明らかになっている。やる気が起きなければ、肉体的にも感情的にもやらすぎる事はなさそうだ。ストレスと回復のバランスが取れている時のみ、心と体は安心して、もっと激しく働くことができる。すると熱心さが戻ってくる。

タフネストレーニングは、むしろストレスの量とそれに対応した回復の量が不可欠な要素。
つまりストレスが問題ではなく、回復が不十分なことが問題である。

いかに回復のプロセスを育むか?

まずは、呼吸から(p.115参照)。人は、1日24時間で約25,000回呼吸をする。呼吸こそバランスがとれたストレスと回復の力を持っている。息を吸うのがストレスで息を吐くのが回復である。酸素を吸い込むとエネルギーが取り込まれ、二酸化炭素を吐き出すと回復がもたらされる。 1日90,000回近い心拍は同じくストレスと回復の良い例だ。脳電図で見ることが可能な、脳で行動する何千何百と言うストレスと回復のサイクルもまた、生命の基本的なリズムに他ならない。



ロッシ、90分ストレス.15分回復。回復を持たないと、体の中の順応能力が低下する。

①どの形の回復が最も重要かを分析する

②回復達成のための必要な要素として、回復がどのように関係しているかを理解すること。

楽しさがなくなったら要注意だ。痛みを覚えるのにそう時間はかからない。


適度なストレスは適度な回復によってバランスが取れるが、大きなストレスはそれに見合う大きな回復でバランスが取らなければならない。

一流のテニスプレイヤー。プレイ時間は試合時間のうちわずか15%。得点が入ってから次のプレーに入るまでの25秒間に何をしているか、が違いを生む。訓練によって身に付いた回復期間。歩き方が違う、頭や肩の位置が違う、呼吸の仕方も違うし、ラケットの持ち方まで違う。思考や感情のコントロールの仕方も異なる。彼らはポイント間の動作や感情の持ち方とその後のプレイにつよいつながりがあることに直感的に気づいていた。私はトップクラスの選手たちのポイント間における一連の思考と行動に、顕著な類似性があるのを発見した。同じ動き、同じ仕草、同じ癖、同じ習慣的行為が繰り返し現れていたのだ。

刺激をコントロールし、気を散らさないためにラケットのガットを見て目を休め、呼吸の深さとリズムを整え、25秒間に行動と思考コントロールする。これによって彼らはその前のポイントのストレスに対処できるようになる。

外見上は、まるで彼らが全員同じように訓練され、同じシステムに従っているように見えたのである。

テニスと同じように人生でも重要視されず、さらに言えば恥ずべき行為とまで見られていた仕事をしない時間が、実はストレスと回復のバランスを取るために極めて重要な役割を担っている。テニスに見られる訓練された回復のコンセプトは、同じように人生にも当てはまる。正確で力強くより良い回復は、エネルギー消費能力を増大することになる。

人生における成果は、ストレスの山と回復の谷と言うサイクルを作る能力に左右される。スポーツと同じように、人生における目標の実現と達成は、大きなエネルギー消費とそれに続くそれに匹敵する回復のwave、そして再び力強いエネルギー消費と言うように、このサイクルを継続的に繰り返す能力を身に付けることと直結している。



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