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【本紹介】妄想する頭 思考する手 - 想像するアイデアの作り方 (暦本純一)

今や誰もが使っている、スマホ画面を2本の指でつまんだり、開いたりすることで画像を縮小拡大させる、スマートスキンと呼ばれる技術を発明したのが、著者の暦本純一さん(Twitterはこちら)。その他にも100以上の特許を持つ著者が、妄想の大切さ、思考のヒントを紹介してくれるのが、本書だ。


本書からの学びは以下。

p.57 良い"クレーム"(自分の考え/主張を表したもの)とは、一行で言い切れて、仮説として成立するもの。

映画 "七人の侍"のクレームは、

「百姓が侍を7人雇い、襲ってくる山賊と戦い勝利する」

映画 "生きる"のクレームは、

「あと65日で死ぬ男」


p.68 発明は必要の母でもある。

p.71 自分の妄想から生まれた面白いアイディアは、最初の用途にこだわりすぎずに、より大きな必要の可能性を検討してみることも大事だろう。(エジソンの蓄音機の発明は、レコードと言う想定外の必要を生んだ)

p.72(クレームを) 1行ですっきりと描き切れないのは、素材としてあまり良くない可能性がある。たくさんの言葉を費やして説明しなければわからないクレームは、いろいろな手間ひまをかけて作った複雑なソースでごまかさないと美味しくならない食材みたいなものだ。

(p.73)素材の良し悪しを知るには、実験や試作など本格的な研究作業に入る前に、論文のあらすじを書いてみると良い。

・議題は何か。それは誰にとって必要なものか。
・その課題はなぜ難しいのか、あるいはなぜ面白いか。
・その課題はどう解決するのか(1行クレームに該当する場合が多い)
・その手法で解決できることを通生するか
・その解決手法のもたらす効果、さらなる発展の可能性

・オズの魔法使い(Wisdom of Oz)的思考法🧙‍♂️
1.時短でやってみて効果を測定する(例:音声入力。人力で聞いた音声を入力してみて、UXの確認をしてみる)
2.最短パスで一度決着をつける(出来上がりのイメージ)

p.84
アイディアの源である妄想は、自分のやりたい事だ。他人の目を意識した面白さを追求するのではなく、自分の問題から始めるのがいいと思う。妄想としてお勧めしたいのが、自分の好きなものだ。他人が考えない自分らしいアイディアの源泉にするなら、好きなものが3つぐらいあると良い。既知×既知の掛け算で組み合わせのバリエーションが増大する。妄想の幅が広がる。

p.91
アイディアには、孤独なプロセスが不可欠。新しいアイディアには、何らかの世の中のバランスを崩すようなところに価値がある。みんながこういうものだと思っていた常識が、あるアイディアの出現によって突如としてひっくり返る。それがイノベーティブなアイディアだ。アイディアの責任を負うのはそれを思いついた個人であるべきだ。集団で考えると責任が分散してしまうので、真剣に考えることができない。

p.101
既知 x 誰かの既知 でも良い

p.109 失敗は、自分が取り組んでいる課題の構造を明らかにするプロセス。自分が何をすべきなのか明確になり、自分自身のアイディアに対する理解が進む。

p.117 思いついたら手を動かすというのは、それほどまでに重要(例:GANの発案者)

p.120 中国の言葉「眼高手低」の解釈。
新しいアイディアを生む才能より、手を動かし続ける才能の方が、競争に勝つには重要。

p.124
自分のやりたい事は、自分の手が動くこと。やりたいことが見つからないと言う人は、今の自分が何に手を動かしているかを、考えてみると良いかもしれない。

世界人類の役に立ちたいですなどと大言壮語するより、まずは自分の手元を見る。人間、やりたい事は既にやっているものだ。

眼高は手低の前にあるとは限らない。手低が眼高を呼ぶこともある。眼高手低と言う言葉は、その両者を行き来することの大切さを伝えているのかもしれない。

p.160
そもそもの目的を忘れない。

p.192
妄想は、現時点の最先端から始まるわけではない。むしろ、現実の世界に対して違和感を抱くことから始まる。歌舞伎座でイメージした世界こそが、私にとってはこうあるべき自然の世界なように。

p.206
最初に馬鹿げたように見えないアイデアには見込みがない。(アインシュタイン)
If at first the idea isn't absurd, then there is no hope for it.

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