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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う〜番外38

明治二十三年(1890)明治唱歌 第五集
(自序) 凡例 目録 奥付
高知市民図書館アーカイヴより

(自序)

われ猿楽の謡をこのみて常にうたふ、
ある日も例の口ずさみゐたるに客ありて曰く、
謡うたうて何の利かあると、
それ答へずしてなほうたふ、
また曰く、
君よく学校の唱歌を作る、
などてこれをうたひ洋琴をひかずして、
古人の作をのみ楽しむぞと、
われいふ、
御身はかの衣冠唐衣の内裏雛を見ずや、
之に對すれば
いかにも高尚優美の姿にわれを忘れて、
身はそのかみの大宮人に立ちまじり、
子の日の野べに小松ひくこゝちやせまし、
謡このむはこのゆゑぞかし、
さりとて今の少年少女にかゝる装束せさせて、
世に立たしめんとするものかはある、
謡作らずして唱歌つくるは此ゆゑぞかし、
さはいへどこの唱歌を明治の歌曲とし、
千年の後その之を愛する、
わが謡におけるごとくならしめんは、
いまだしく、
われたゞ古を好みまた今を好む、
利のありなしは
人にあつて物にあらざるべしと、
客また問はずして去りぬ、
この篇ひとり序なりし見はとて、
かゝることをもしるしおくなり、

明治廾三年五月の果づかた月くもりがちなる
 窓のもとにて
  建樹

(超意訳)

自分は猿楽が好きで、常にうたっている
ある日口ずさんでると来客に質問された
謡うたって、良いことでもあるの?
聞こえてない振りをしてたら、
駄目押ししてくる
学校唱歌作ってるお方が
セルフカバー弾き語りじゃなくて
何で、古人の懐メロばっか?
謂って遣ったよ。
お内裏雛の衣冠唐衣、て、どう?
視線、奪われて、
高尚優美が押し寄せて、
その瞬間だけプチ転生して、
体験シタイゾ願望、フツフツ、
これだから、謡、環境BGMしたい
まあ、今の少年少女にあんな格好させて
野放しにするなんて、滑稽
だから、謡でなく学校唱歌を作ってる
そうは云っても唱歌を明治の歌曲として
一千年経っても口ずさむ
自分にとっての謡の様に盛上げるのは
これからに期待。
自分は、只、古も今も、好き
利の有無なんてのは、
人の都合。物は達観して別次元。
客は継ぎ穂を失って帰った
序文が無いと恰好が着かないだけの序なので、
解読した方、お疲れ様。

明治23年5月も終りの、月も雲間に居たがる
窓辺にて

凡例


西洋のを取れるには作曲者の名なく、建樹の
歌には作歌者をしるさぬ事前集の如し、

上真行、辻則承二君の勞を取られしもいつ
ものごとし、

(超意訳)


西洋の曲には作曲者名ナシ、建樹の
歌は作詞者名ナシは、いつも通り

上真行君・辻則承君
相変わらず頑張って呉れてます

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