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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う530

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六上
6-a05


習へや
作曲 モツス氏
作歌 鳥山啓


習(なら)へやならせや銃丸(たま)うつ技(わざ)
ならせや習(なら)へや大刀(たち)とる道(みち)
文讀(ふみよ)みふみかく其間(そのひま)にも
たま撃(う)ち大刀執(たちと)り
身(み)を練(ね)るべし

磨(みが)けやみがけや剱(つるぎ)の大刀(たち)
心(こころ)なゆるしそ猛夫(たけを)の徒(とも)
あだ波(なみ)さわがぬ御代(みよ)なりとも
おもはぬ暴風(あらし)の
たちもやせん

習へや
此曲は、前曲と同調にして、其轉調の法も、全く同一なれば、前同様の教授法により、既
に學得せし要目を確定すべし。但し其拍子は、弱起拍子なれば、此點に注意するを要す。」

此歌の旨意は、文武兩道を獎勵して、人心を鼓舞作興するに在り。其第一は、學問する
者も、空きある時は、射撃・撃劍等を鍛錬して、國家に事あらん時の用に立たねばならぬ
ぞ」といへるなり。・「たまうつわざ」は、銃弾(たま)打つ術(わざ)にて、所謂射撃のこと。・「たちと
るみち」は、太刀取る道にて、撃劍のことなり。

其第二は、劍戟を磨礪するが如く、人々精神(たましひ)を琢き、一旦外寇などのあらん時には、國
家の用に立たねばならぬと心掛よ。不時の變は、何時(いつ)おこるかも知れぬ」と云へるな
り。・「たけをのとも」は、建男の徒ともかきて、武き男子のヿなり。・「あだなみさわ
がぬみよ」は、太平無事の御代を、浪たゝぬ海上の穏なるに譬へたり。・「おもはぬあ
らし」は、前句に、太平を、平穏なる海上に譬へたる故、海上の風波は、豫め測り難きものな
れば、其如く、内國こそ平穏なれ、外寇は、海上の風波の如く、決して無いとはいへず、い
つ起るかも知れぬ」といへるなり。

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