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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う〜番外1

明治十四年(1881)小学唱歌集 初編
緒言 音階練習 (目次なし) 奥付

国立国会図書館アーカイヴより

緒言

凡そ教育の要は徳育智育體育の三
者に在り而して小学に在りては最
も宜く徳性を滋養するを以て要と
すへし今夫れ音楽の物たる性情に
本つき人心を正し風化を助くるの
妙用あり故に古より明君賢相特に
之を振興し之を家国に播さんと欲
せし者和漢欧米の史冊歴々徴すへ
し曩に我政府の始て学制を領つに
方りてや已に唱歌を普通学科中に

掲けて一般必須の科たるを示し其
教則綱領を定むるに至ては亦之を
小学各等科に加へて其必す学はさ
る可らさるを示せり然して之を学
校に実施するに及んては必す歌曲
其当を得声音其正を得て能く教育
の真理に悖らさるを要すれは此れ
其事たる固より容易に挙行すへき
に非す我省此に見る所あり客年特
に音楽取調掛を設け充るに本邦の
学士音楽家等を以てし且つ遠く米

国有名の音楽教師を聘し百方討究
論悉し本邦固有の音律に基つき彼
長を取り我短を補ひ以て我学校に
適用すへき者を撰定せしむ爾後諸
員の協力に頼り稍やく数曲を得之
を東京師範学校及東京女子師範学
校生徒并両校附属小学生徒に施し
て其適否を試み更に取捨選択し得
る所に随て之を録し遂に歌曲数十
の多きに至れり爰に之を剞刷に付
し名けて小学唱歌集と云是れ固よ

り草創に属するを以て或は未た完
全ならさる者あらんと雖も庶畿く
は亦我教育進歩の一助に資するに
足らんと云爾

明治十四年十一月
音楽取調掛長
伊澤修二 謹識

(超意訳)

はじめに

教育で育てる対象は、
精神と頭脳と肉体の三つ。
小学生の頃は
こころ根を育てるのが大切。
音楽には
心を癒す効果がある。
だから、
昔から
音楽を広めようという努力が
各国の歴史に残っている。
この度、
政府が学校制度を創るに当たっては
歌の時間という教科を設けて
全員が受ける授業だと示し
その教える基準の定め方は
各学年で教えるようになっている
必ず受ける様になっている
だから、
授業を行うために
妥当な歌曲と正しい音を用意するには、
教育の根本を理解が必要なので
その難しさから簡単に出来る事でない。
文部省は先見の明があって
去年のうちに音楽取調掛を造る際に
日本の学士や音楽家等を起用し
それ以外にも、
遠くアメリカから
有名な音楽教師を招いて
わいわいガヤガヤ打ち合わせを重ねて
日本の従来の音楽を基本に
向こうの良い所を採用して更に補って
学校用の基本案を作ってきた
関係者の働きのお蔭で
ようやく、
曲数も溜まったので
これを
(筑波大[教育大]とお茶の水女子大)の生徒
並びに両方の附属小学校生徒に
試して貰い
更に吟味、
絞込んで
良い物は記録して
その数は数十曲にもなったので
ここで印刷することにした。
小学唱歌集という名前にした。
一から創った物だから
まだ、玉石混交かも知れないけど
こいねがわくは
教育の進歩の役に立てば。
と私は云いたい。

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