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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う524

五 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.8.15印刷M26.8.18発行)M27.1.22訂
巻之五上
5-a03


行軍歌
作曲 松本長
作歌 小出粲


進(すす)めやすゝめ一(ひ)とすぢに
猪逐(ししお)ふ獵夫山(さつをやま)を見(み)ず
魚釣(うをつ)る海士(あま)は海(うみ)を見(み)ず
すゝめやともに号令(がうれい)と

進(すす)めや共(とも)にがうれいと
鳴神(なるかみ)そばに落(おち)ぬとも
大山前(おほやままへ)にくづるとも
進(すす)めやすゝめ見(み)ず聞(き)かず

すゝめやすゝめ見(み)ず聞(き)かず
軍(いくさ)の神(かみ)はたゞひとり
號令(がうれい)ありて敵(てき)を見(み)ず
進(すす)めやすゝめ一(ひ)とすぢに


行軍歌
此曲は、主として、前に學びたる、「ハ」調の温習の爲に、挙げたるものなれば、「ハ」調、及び附點
八分符、十六分符等の事に就き、問答すべし。而して此歌は、活潑に歌はしむるを要す。

第一歌は、凡そ兵士たるもの、重ずべきものは、將官の號令にて、進退駈引すべき號令
を遵守して、全軍の提ちを制せねばならぬものなれば、進めと云ふ號令のまゝに、一途
に進め」と云へるなり。・「しゝおふさつを、山を見ず」は、支那の書に、逐,レ獸者不,レ見,二大山,一
とあるよりいでゝ、目ざすものゝ他には、眼も、心も移らずと云ふことの譬にいへる
なり。・「うをつるあまは、海をみず」は、前句に對したる譬喩なり。
第二歌も、第一歌と同じく、些か詞を換へたるまでなり。縱令ひ百千の雷が、側に墜ち、大山、
崩れて前途に横はる〓(とも)、其をば眼にみず、耳に聞かず。只管、號令を守りて、進行せよ」と
いへるなり。
第三歌も、第一、第二歌も如く、軍神ともいふべきは、將官なれば、其號令に從ひ、敵の強
弱・多少には、眼をも心をもかくるヿなく、一心不亂に、進め」と云へるなり。・「いくさ
の神は、たゞひとり」とあるは、即ち號令する人をいへるなり。

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