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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う526

五 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.8.15印刷M26.8.18発行)M27.1.22訂
巻之五上
5-a12


*歌詞と譜面で齟齬あり、[]内が譜面
來れや来れ
作曲 伊澤修二
作歌 外山正一


来(きた)れや来(きた)れやいざ来(きた)れ 皇國(みくに)を守(まも)れや
もろともに 寄来(よせく)る敵(てき)はおほくとも
懼(おそ)るゝなかれおそるゝな
死(し)すとも退(しりぞ)くことなかれ
皇國(みくに)のためなり君(きみ)のため

勇(いさ)めや勇(いさ)めや皆(みな)いさめ つるぎも大刀(たち)[たま]も
なんのその 皇國(みくに)をまもるつはものゝ
身(み)は銕(てつ)よりもなほ堅(かた)し
死(し)すともしりぞくこと莫(なか)れ
みくにの為(ため)なりきみのため

來れや来れ
此曲は、前曲と同調なれば、略ぼ同一の問答をなして、「二」調に關する要目を確定すべし。
而して唱法は、勇壯活潑なるを要すれ〓(とも)、第三段に至りては、誠慨の情を深くせん爲め
音調をも低くせるものなれば、決して此處にて、薄弱に歌ひ、随て感情を弱むる如き
ことなきやう注意すべし。低き音を、強く歌ふは、難きことなれば、此處、一層の練習に
よりて、其目的を達すべし。

第一、第二歌共に、國民護国の義務として、外寇などあらん時は、身命を抛ちて、國家に
報ぜねばならぬものなれば、假りに、斯有事にあたりての、勇氣を喚起するに擬したる
歌なり。

第一歌は、此國難にあたりては、老少の別なく、軍役に從事する爲に、親子兄弟、うち連
れて、來れ乀、皆な來りて、勤力同心して、此皇國を護衛せよ。縱しや、敵兵は多しとも、決
して恐るゝ事ではない。國の爲、君の爲なれば、死して魂魄となるまでも、敵にあたり
て、一歩も退くな」といへるなり。

第二歌は、第一歌の詞を換へたるまでにて、敵に向ふ時は、義は、金鋳の如く重ければ、
勇み進みて、剣戟の下る所も、砲丸の迸る所も、厭ふヿなく、勇進して、國恩、君恩に報ゆ
るは、此時なるぞ」と云へるなり。

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