見出し画像

明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う531

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六上
6-a07


礒山もと
作曲者 未詳
作歌 竹屋雅子


礒山(いそやま)もとのあさぼらけ 朝日(あさひ)のかげは
見(み)え初(そ)めて 唐櫓漕(からろこ)ぎつれ船人(ふなびと)の
沖邊(おきべ)をさしていそぐなり
おきべをさして急(いそ)ぐなり

いそ山(やま)もとの夕(ゆふ)まぐれ ゆふ日(ひ)の影(かげ)を
のどかにも 片帆(かたほ)にうけてふな人(びと)の
岸邊(きしべ)をさして歸(かへ)るなり
きしべをさして帰(かへ)るなり



礒山元
・此曲は、何の調なりや。
・前曲と同じく「へ」調なり。
・調號の變を取りさらば、何の調となるべきぞ。
・「ハ」調となるべし。
「ハ」は「へ」に對して、第何音なるか。又、何の和絃に當るか。
・第五音にして、屬和絃に當れり。
・此曲の、第二段に現はれたる記號は、何か。
・知らず。(又は、本位記號なり。)
・これは、本位記號にして、之を、或音の前に置くときは、其嬰、又は、變の効力を消滅し、本位に復せしむるものなり。是に依て見る〓(とき)は、第二段は、何調と同じきや。
・「ハ」調と同じ。
・然り。實に彼一段は、「ハ」調を用ひたるなり。然らば、此曲には、幾個の調を用ひたるか。其名稱、關係等を述べよ。
,此曲には、「へ」調と、「ハ」調とを用日ひ、即ち「へ」調は、主調にして、「ハ」調は、其屬和絃の調なり。

[注意]此曲の拍子も、六拍子なれば、よく注意して、拍子練習を行ふべし。又、此曲は、
少壯者の漕艇歌にも適用すべきものなれば、其漕櫓の調子にも合ふやう、注意
するを要す。

第一、第二歌共に、海邊に漁舟の出入の狀のおもしろきをよめるなり。第一は、朝夙
く、舟人どもが、其日の獲物をせんとて、漕ぎつれて出づる氣色なり。・「からろ」は、唐
櫓にて、今の櫓とかはることなし。始め唐(から)風に眞似て、今のやうに作りし時の當時より、
「からろ」と呼びならはせり。

第二歌は、漁舟には、多く獲物ありて、夕和(ゆふなぎ)にこぎかへる氣色なり。・「かたほ」は、片帆
にて、側面に風を受けて、帆の、片方に傾けるをいへり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?