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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う537

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六下
6-b15


尚武
作曲者 未詳
作歌 谷勤


雄〻(をを)しや丈夫吾大君(ますらをわがおほきみ)の
勅(みこと)のまに乀山越(やまこ)え野(の)ゆき
わが門過(かどすぐ)れど内(うち)にも入(い)らず
顧(かへり)みせざらん妻(つま)をも子(こ)をも

敵(かたき)に向(むか)ひて後(うしろ)は見(み)せず
進(すす)みて入(い)るべし水(みづ)にも 火(ひ)にも
皇國(みくに)の為(ため)には身(み)をさへ わすれ
剱(つるぎ)の光(ひかり)を世(よ)にこそ てらせ

尚武
此曲は、上篇「日本三景」の例と同じく、「ト」調より、「二」調に轉じ、又、「ト」調に復するものなり。
其曲質は、勇壯なる中、自ら深き感情を寓するものなれば、其心して演奏するやう注意
すべし。

此歌、第一、第二とも、君の爲め國の爲め、身を忘れて、力を盡すべきことを獎勵せるものに
て、「我門すぐれとうちにもいらず」は、支那の古へ、夏の禹が、水を治めしとき、舜の詔を惺(かしこ)
みて、職務に勉勵し、外に在ること十三年、其間、我家の門前を過ぐることあれども、決
して家に入らざりしといへる故事の如く、王命を奉けては、海なれ、山なれ、命の如く
惺みて、縱令ひ家門を過ぐとも、入ることなく、妻子をも顧みず、國家に盡すが、臣民たる者
の本分であるぞ」と戒めたるなり。・「つるぎの光を」云々は、劍光のするどきが如く、
敵に向ふときは、水火をもかへりみず、國家の爲めに、身を致して、吾身の榮譽をも、世に
遺さねばならぬぞ」と、勵ましたるなり。

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