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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う527

五 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.8.15印刷M26.8.18発行)M27.1.22訂
巻之五下
5-b17


日本男子
作曲 納所辯次郎
作歌 佐々木信綱


千尋(ちひろ)の海(うみ)もうづむべし
千引(ちびき)の岩(いは)も碎(くだ)くべし
日本男子(やまとをのこ)の奮(ふる)ひ起(た)ち
為(な)すことなにか
ならざらん

あらぶる獅子(しし)は倒(たふ)すべし
怒(いか)れる鷲(わし)は挫(ひし)ぐべし
日本男子(やまとをのこ)の奮(ふる)ひ起(た)ち
為(な)すこと何(なに)か
成(な)らざらん

日本男子
此曲は、前二曲と同調なれば、殆ど同様の教授法を用ふべし。但し音符の種類は、前曲と異
なり、全曲、殆ど皆な附點八分符と、十六分符とを以て構成せるものなれば、最も活潑に唄ふ
べし。其歌旨は、次に解釋せる如くなれば、發相上にも、勇猛の氣を發出せしめんこと
を要す。

此歌、第一は、日本男子が、一たび奮發せば、何事か成らざらん。縱令ひ千尋の深き海も、埋めん
と思はゞ埋むべし。千引の岩といひて、千人かゝりて、漸く動かすほどの大磐石も、碎か
んとおもはゞ、碎き得べし。況んや世の中の事業をや」との意なり。

其第二は、日本男兒が、悉皆、奮發せば、獅子の如く獰惡なる外寇ありて、我國に敵する
ことありとも、或は撃ち、或は擒にせん。鷲の如く貪戻なる強敵ありて、其欲を縱まにせ
んとすることありとも、或は碎き、或は挫ぎてくれんものぞ。何事か、爲し得可らざる
ことのあるべき」と云へるなり。

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