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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う488

三 近代教科書アーカイブ 發兌 大日本圖書株式會社
(M26.8.15印刷M26.8.18発行)
巻之三下
3-b14



作曲 目賀田万世吉
作歌 西升子


うの花(はな)ただし五月雨(さみだれ)の
ふるもいとはで賤(しづ)の女(め)は
秋(あき)をたのもにおり立(た)ちて
けふも早苗(さなへ)をとりぬ なり

立寄(たちよ)り見(み)れば涼(すゞ)しさに
夏(なつ)も忘(わす)れて秋風(あきかぜ)を
松乃木陰(まつのこかげ)に岩清水(いはしみづ)
むすびてけふも暮(くれ)に けり


此曲は、前の「松下禪尼」の曲と、同性質のものなれば、殆ど前同様の問答をなし、且つ音階練
習、撥音練習も、同一にして可なり。
[注意]此曲を授くるに當り、特に注意して練習すべきは、第二段第二小節の切分
聲に在り。能く之を會得せしめんには、左の如き練習をなすを可とす。即ち先づ
2-,65,53,31, と各音、同力に歌はしめ、次に

2-,6>5,5>3,31, と強音記號を附して、歌はしめ、終に
2-,6(>55)(>33)1, と帶を施して、強く歌ひたる餘聲を延長して、切分聲を
作さしむべし。但し此練習中、終始拍節を伴はしむるは、勿論たるべし。

此歌、第一は、初夏の景を叙したるものにて、「卯の花くだし」は、五六月頃、卯の花のさく
をりに降る雨の名にて、即ち梅雨のことなり。・「秋をたのも」とは、秋のみのりを頼む」
と云ふヿと、田の面と云ふことゝ、ことば通ふゆえ、兩方にかけて云へり。・「さなへ」
は、早苗と書きて、即ち稲の苗なり。
其第二は、盛夏納涼の狀をよめるにて、「秋風を、まつの木かげ」とあるは、陰繁き松陰は、
涼しきものゆえ、夏も忘れて、秋の涼しき風をまつ意より、そのまつといふ木のかげ
にたちよりてみれば、清水も流れて居る。それを、手にむすびなどして、けふの暑をわ
すれ、つひ日をもくらしたるよ」といへるなり。

五 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.8.15印刷M26.8.18発行)M27.1.22訂
巻之五下
5-b14


うの花(はな)ただし五月雨(さみだれ)の
ふるもいとはで賤(しづ)の女(め)は
秋(あき)をたのもにおり立(た)ちて
けふも早苗(さなへ)をとりぬ なり

立寄(たちよ)り見(み)れば涼(すゞ)しさに
夏(なつ)も忘(わす)れて秋風(あきかぜ)を
松乃木陰(まつのこかげ)に岩清水(いはしみづ)
むすびてけふも暮(くれ)に けり


此曲は、前の「山家」の曲と、同性質のものなれば、殆ど前同様の問答をなし、且つ音階練習、撥
音練習も、同一にして可なり。
[注意]此曲を授くるに當り、特に注意して練習するを要するものは、第二段第二
小節の切分聲に在り。能く之を會得せしめんには、左の如き練習をなすを可と
す。即ち先づ
(略)

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