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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う518

四 近代教科書アーカイブ 發兌 大日本圖書株式會社
(M26.8.15印刷M26.8.18発行)
巻之四下
4-b20


朋友
作曲 ヒムメル氏
作歌 谷勤


學(まなび)の窻(まど)にはこゝろを研(みが)き教(をしへ)の庭(には)には力(ちから)をあはせ
しめ結(ゆ)ふ友垣撓(ともがきたゆ)まずくちず花(はな)さく春(はる)をや
今(いま)より待(ま)たんはな咲(さ)くはるをやいまより
またん

月(つき)にも花(はな)にも袂(たもと)をつらね野遊(のあそ)び山狩(やまが)りくつふみならし
たがひにしたしみ隔(へだ)てもおかず穂(ほ)に出(づ)る秋(あき)をや
またるゝ尾(を)ばなほに出(づ)るあきをやまたるる
尾(を)ばな

姿(すがた)は變(かは)れどこゝろはおなじ学(まな)びはたがへど目的(めあて)は一(ひと)つ
朝夕友(あさゆふとも)どちいつしみ勤(つと)めかつらのえだをも
たをれやたをれ桂(かつら)の枝(えだ)をも手折(たを)れや
たをれ

朋友
此曲も、二個の調より成り、其主調は、「イ」の長調にして、附屬調は、其屬和絃調たる「ホ」の
長調なり。其轉調は、第三段に在り。乃ち一嬰を加へて嬰「ニ」を現出し、四嬰の調たる「ホ」の
長調に轉じ、末音は、其主音たる「ホ」に止めたり。之より推して、該段の首音は、其第五音
なるを知るべし。
[注意]此曲は、三拍子なれば、其練習を爲すを要す。又、第五段に、八分符三個を連結
し、(3)と記せる所あり。是れ此三個を、同種音符二個と、同一の割合に演すべきこと
を示すものにして、此類の拍子を、變拍子と稱し、容易に習得す可らざるものな
れば、是れ亦、特に練習の功を積まんことを要す。

此歌、第一は、學友、互に切磋して、相輔け、助けられて、勉強の功を積み、互に信義を、固く
守り、竟に立身の日を期するを、「花さく春をまつ」樂みに比したるなり。・「しめゆ
ふともがき」は、友垣と云ふに因みて、「しめゆふ」といひて、朋友の契を示したるなり。
其第二は、學友は、四季折々の時に觸れ、月花にも、共に遊び、山野をも、共に跋渉して、互
に親交を結び、竟に出世の日を期するを、「ほに出る秋をや云々」と云へるなり。
第三は、容貌、異なれど、心は同じく、學ぶ學科は異なれど、其目的は一なり。朝夕、相磨礪
して、名譽を得るの日を期するを、「桂の枝をも手折れや云々」と云へるなり。

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六下
6-b19


學(まなび)の窻(まど)にはこゝろを研(みが)き教(をしへ)の庭(には)には力(ちから)をあはせ
しめ結(ゆ)ふ友垣撓(ともがきたゆ)まずくちず花(はな)さく春(はる)をや
今(いま)より待(ま)たんはな咲(さ)くはるをやいまより
またん

月(つき)にも花(はな)にも袂(たもと)をつらね野遊(のあそ)び山狩(やまが)りくつふみならし
たがひにしたしみ隔(へだ)てもおかず穂(ほ)に出(づ)る秋(あき)をや
またるゝ尾(を)ばなほに出(づ)るあきをやまたるる
尾(を)ばな

姿(すがた)は變(かは)れどこゝろはおなじ学(まな)びはたがへど目的(めあて)は一(ひと)つ
朝夕友(あさゆふとも)どちいつしみ勤(つと)めかつらのえだをも
たをれやたをれ桂(かつら)の枝(えだ)をも手折(たを)れや
たをれ

[教授法、及び解釋 仝上]

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