![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/140448434/rectangle_large_type_2_542c4eb376751ba3925f767c0d7f3ebd.png?width=800)
明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う535
六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六上
6-a12
四の時
作曲者 未詳
作歌 鳥山啓
![](https://assets.st-note.com/img/1714375521323-ZcEUkV5fNR.png?width=1200)
一
山風(やまかぜ)はやみ雪(ゆき)かとばかり
桜(さくら)の花(はな)のちりしく坂(さか)を
越(こ)えてし来(く)れば履(くつ)こそ薫(かを)れ
二
いろくづ遊(あそ)ぶ木影(こかげ)の池(いけ)に
白珠(しらたま)ちらし噴(ふ)きづる水(みづ)を
見(み)つゝし居(を)れば心(こころ)も涼(すず)し
三
錦(にしき)やさらす綾(あや)をやしける
真萩(まはぎ)の花(はな)のさきちる野路(のぢ)を
分(わ)けてし行(ゆ)けば袖(そで)こそにほへ
四
散(ち)りかふ花(はな)か降(ふ)り来(く)る雪(ゆき)か
はなゝす雪(ゆき)の木(こ)の下道(したみち)を
さしてし来(く)れば傘(かさ)こそ重(おも)れ
![](https://assets.st-note.com/img/1714375556582-arTvfJyjdD.png?width=1200)
四の時
此曲の調の、變「ホ」なるは、新出の調號變「イ」より、下へ四度數へて、之を發見せしむべし。
又此曲は、自ら流暢の體を具ふるものなれば、其心にて練習すべし。其歌も、優雅の情を
述ぶるに在るものなり。又、六拍子の練習をも行ふを要す。
第一歌は、晩春、櫻花の散りゆく頃に、所謂、志賀の山越えなどのやうに、山路をこえゆ
く氣色をよめり。・「山かぜはやみ」は、「山風はげしさに」と云ふ意なり。・「くつこそ
かをれ」は、ちる花をみつゝゆくゆえ、はきたるくつも薫るやうにおもふなり。
第二歌は、夏日、泉水に臨みて、游泳する魚を觀つゝ樂むさまなり。・「いろくづ」は、魚
のことなり。・「しらたまちらしふきづるみづ」は、飛泉(たき)の激(ほとばし)るを形容せるなり。
第三歌は、秋日、郊外に遊びて、秋草の中をわけゆくさまなり。・「にしきやさらすあ
やをやしける」は、「萩の花」のさきみだれて、錦繍をしきちらしたるが如しと賞美せる
なり。・「そでこそにほへ」は、萩の花の、袖にうつりて、さながら匂ふこゝちのすると
いへるなり。
第四歌は、冬日、雪ふる日に、山路などをゆくさまなり。雪のふるを、花かと疑ひ、其花の
如き雪のかゝれる木蔭をゆけば、我さしてをる傘がおもくなる。してみれば、これは、
花ではない、雪が、だん乀ふりつもるとみえる」といへる意なり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?