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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う514

四 近代教科書アーカイブ 發兌 大日本圖書株式會社
(M26.8.15印刷M26.8.18発行)
巻之四下
4-b16


*歌詞と譜面で齟齬あり、[]内が譜面
哀悼
作曲者 未詳
作歌 山田美妙


かたみの諱(いみな)なみだの種(たね)と
知(し)りつゝもなほよぶ
學乃道(まなびのみち)の親(おや)と[も]たのむ
君(きみ)にいまわかれて

忘(わす)れぬ情(なさけ)とられしこの手(て)
見(み)るにつけまた泣(な)く
手(て)を取(と)り持(も)ちて教(をしへ)をたれし
君(きみ)にいま別(わか)れて

なまじひ殘(のこ)るかたみの文(ふみ)を
見(み)るにつけ又(また)なく
打連(うちつ)れだちて讀(よみ)ぬる友(とも)の
きみに今(いま)わかれて

哀悼
教師、本曲を、一二回、樂器にて奏し、生徒をして、審聽せしめ、而る後、問ひて曰く、
・此曲の調號と、前曲の調號との異同如何。
・二者、同一なり。
・今、此奏曲を聞きたる感情と、前曲を聞きし時の感情との異同如何。
・二者、大に異なれり。
・果して然らん。然らば、よく注意して、此曲の何調たるを語れ。
・「ホ」の短調なるべし。
・然り。よく判定せり。併なから何に依りて、斯くは判せしぞ。
・首音の(3.)なると、尾音の(6.)なると、第二段に、嬰「ニ」即ち「ツー」の現はれたるによりて、判定せり。然れ〓(とも)、第一段、第三段に、嬰「イ」の現はれ居るは、何故なるか了解せず。
・其 嬰「イ」は、装飾の爲め置きたる臨時音にして、主要のものに非ず。之に反して、嬰「ニ」は、此短調の導音となるものにして、甚だ大切なり。
[注意]此曲、及び以下短調の曲を授くるには、必ず短音階(旋律的)の練習を行ふべし。(巻ノ
四上篇第二曲「雪」ノ條參照)又、此曲は、六拍子なれば、拍子の練習をも爲すべし。

第一、第二歌は、長者を哀悼する歌なり。「かたみのいみな」は、謚號のことなり。
第三歌は、學友などを哀悼する歌なり。「なまじひ」は、生強(なまじひ)の意といへり。字には、懃の字
をかけり。「せめて」と云ふの意なり。三歌共に既徃を追想して、哀悼するにて、其意明
なり。

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六下
6-b23


かたみの諱(いみな)なみだの種(たね)と
知(し)りつゝもなほよぶ
學乃道(まなびのみち)の親(おや)と[も]たのむ
君(きみ)にいまわかれて

忘(わす)れぬ情(なさけ)とられしこの手(て)
見(み)るにつけまた泣(な)く
手(て)を取(と)り持(も)ちて教(をしへ)をたれし
君(きみ)にいま別(わか)れて

なまじひ殘(のこ)るかたみの文(ふみ)を
見(み)るにつけ又(また)なく
打連(うちつ)れだちて讀(よみ)ぬる友(とも)の
きみに今(いま)わかれて

哀悼
教師、先づ生徒に「春の惠」の曲を復習せしめ、次に本曲を、一二回、樂器にて奏し、こ
れを審聽せしめ、而る後、問ひて曰く、
(略)
[注意]此曲、及び以下短調の曲を授くるには、必ず短音階(旋律的)の練習を行ふべし。(巻ノ
六上篇第二曲「雪」ノ條參照)又、此曲は、六拍子なれば、拍子の練習をも爲すべし。
(略)

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