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明治の唱歌を合唱ソフトに唄って貰う534

六 広島大学教科書ライブラリー 發兌 大日本圖書株式會社
(M.26.9.14印刷M26.9.17発行)
巻之六上
6-a11
岩清水
作曲 メーン氏
作歌 晃山樵夫

馬(うま)より下(お)りて兜(かぶと)をとり
遥(はるか)にをがむ都(みやこ)のかた 弓(ゆみ)
もて岩(いは)を衝(つ)き破(やぶ)るや
忽清水(たちまちしみづ)はしりわきぬ
たけし乀武将(ぶしやう)のまごゝろ
天(てん)より賜(た)びし清(きよ)き
しみづ

岩清水此曲も、前曲と同調にして、同人の作に係り、自ら高尚の氣韻を備へたるものなり。歌
も、古史中の一奇蹟に關するものなれば、これ亦、發相上に注意して演奏すべし。

昔、源頼義といふ將軍が、奥羽の賊を討ちしとき、炎天に山路にかゝりて、士卒みな渇
に苦しみけるが、將軍は、士卒を憐みて、竊に神に祈りて、磐石を弭(ゆはず)にてつかれけるに、
不思議にも、清泉が湧き出でゝ、士卒、皆な之に喉をうるほして、勢ひ百倍し、賊をうちて、大
勝を得られしかば、其清水を、弭(ゆはず)の石清水(いはしみづ)といへりとぞ。此歌は、其ものがたりに依り
て、作れるものなり。

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