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"半月板損傷"に根拠を持って挑む!~鑑別テストと筋膜アプローチ~

▼note執筆者

清水 崇弘@筋膜調整×理学療法士

◆青山筋膜整体 理学BODY 名古屋店店長
◆筋膜マニピュレーション®︎国際コース Level Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ 修了

✅本note のコンテンツ内容

・症例紹介【半月板損傷】
・感度 / 特異度 から考える "根拠を持った" 半月板損傷に対する徒手検査
・機能解剖から考える具体的な筋膜アプローチ方法【動画付き】

✅本noteを読むとこうなる

・半月板損傷に対して徒手検査から治療戦略が立てられるようになる
・膝関節屈曲制限に対する筋膜アプローチを行えるようになる

✅本noteは若手セラピスト向け


下記のような方にはオススメできません。

× オススメできない人
・半月板損傷に対して臨床で整形外科的テストを完璧に使えている方
・筋膜へのアプローチで結果を出せている方
・筋膜に否定的な方

本noteは、
『学校で筋膜の触り方とか教わってないし』
『半月板の徒手検査はできたら良いけど信頼性とかやり方が曖昧』
って若手セラピスト向けの内容です。

○ こんな悩みを持っている
・徒手検査ができないから半月板損傷に対して治療戦略が立てられない
・どうアプローチしたらいいかわからない

上記の悩みを解決するnoteを書きました。


※半月板の正式名称は「半月」と世界的に言われておりますが、
本記事内では日本で一般的に使用されている「半月板」という用語を用いて執筆しております。


✅症例紹介【半月板損傷】


今回は読者のみなさんがイメージしやすいように、
実際に私が対応したクライアントを例に出して、
半月板損傷に対する徒手検査とその結果に伴う治療戦略筋膜アプローチをご紹介していきます。

【症例】

診断名:左膝内側半月板損傷(水平断裂)

主訴:正座で痛い

▼実際の動画


さて、この動画を見て

どういう評価をして、どうアプローチしていきますか?


✅痛みの原因の鑑別

まずは、痛みの原因の鑑別です。

正座の痛みがホントに半月板損傷によるものなのか?
▶︎半月板がホントに損傷しているのか?
今、半月板はどういう状態なのか?
▶︎膝関節に炎症をきたしているのか?

もし、半月板が損傷していて炎症を起こしているような状態であれば
急性期対応が必要で無理な深屈曲は避けるべき。

逆に、半月板損傷の可能性が低いならば痛みの原因は他にあるかもしれない。

私は、これを明確にするためにまず鑑別テストを行いました。

ここで選択したテストは、

・wipe test (ワイプテスト)
・Apley compression test(アプレイコンプレッションテスト)
・McMurry test(マックマレーテスト)

です。

1つずつ解説していきますね。

☑️ wipe test (ワイプテスト)

目的:膝関節内に、水腫や血腫などの貯留液があるかを調べる

方法:
①膝関節を伸展位にし、手背で膝蓋骨内側下方を圧迫
②そこから膝蓋骨内側を上方に向かってこすり上げる
③膝蓋骨外側を、手掌部で上方から下方に向かって擦るように手を移動させる

陽性判定:膝蓋骨内側が、浸出液によって膨隆する

信頼性:感度、特異度を検証した報告は散見されない

▼膝神の吉澤先生のツイートがわかりやすいのでお借りしました^ ^

※別名:ストロークテスト

☑️Apley compression test(アプレイコンプレッションテスト)

目的:半月板損傷があるかを調べる

方法:
①患者を腹臥位にする
②膝関節を90°屈曲位とする
③大腿後面を固定し、足部を把持する
④下腿に軸圧をかけながら、下腿を内外旋させる

陽性判定:膝関節部に痛みが誘発される
※下腿内旋で陽性 → 外側半月板
※下腿外旋で陽性 → 内側半月板

信頼性:
Kurosaka Mら [1] 
感度 13% 特異度 90% 陽性尤度比 1.3 陰性尤度比 1.0
Fowler PJ ら [2] 
感度 16% 特異度 80% 陽性尤度比 0.8 陰性尤度比 1.1

▶︎特異度はやや高いが、感度は低いため、
陽性であれば損傷の可能性が高いが、陰性であっても損傷を否定できない。

引用文献
[1]Kurosaka M, et al.:Efficacy of the axially loaded pivot shift test
for the diagnosis of a meniscal tear. Int Orthop, 23 (5) :271-
274,1999
[2]Fowler PJ, et al.:The predictive value of five clinical signs in
the evaluation of meniscal pathology. Arthroscopy, 5 (3):184-
186,1989


☑️McMurry test(マックマレーテスト)

目的:半月板損傷があるかを調べる

方法:
①患者を背臥位にする
②膝関節を最大屈曲位とする
③片方の手を関節裂隙に当て、もう片方で踵を把持する
④下腿を内旋または外旋させながら、膝関節を伸展させていく

陽性判定:膝関節部に痛みが誘発される。または、関節裂隙でクリックが触知される。
※下腿内旋で陽性 → 外側半月板
※下腿外旋で陽性 → 内側半月板

信頼性:
Kurosaka Mら [1] 
感度 37% 特異度 77% 陽性尤度比 1.6 陰性尤度比 0.8
Evans PJ ら [3] 
感度 16% 特異度 95% 陽性尤度比 3.2 陰性尤度比 0.9

▶︎特異度はやや高いが、感度は低いため、
陽性であれば損傷の可能性が高いが、陰性であっても損傷を否定できない。

引用文献
[1]Kurosaka M, et al.:Efficacy of the axially loaded pivot shift test
for the diagnosis of a meniscal tear. Int Orthop, 23 (5) :271-
274,1999
[3]Evans PJ, et al.:Prospective evaluation of the McMurray test
Am J Sports Med, 21 (4):604-608,1993


✅結果

「半月板損傷による炎症があれば、浸出液が貯留するだろう」

「半月板損傷が明らかであれば徒手検査が陽性になるだろう」

と考えて、この3つのテストを今回のクライアントに実施したところ、
全て陰性でした。


この結果を解釈すると、

半月板損傷の可能性は否定できないが、
明らかに損傷している所見は得られなかった。

となります。


そこで私は、

半月板損傷による症状である可能性も頭に入れつつも
機能的な問題による症状の可能性も十分に考えられると判断して、
筋膜の観点から評価・アプローチを行いました。


※整形外科では内側半月板の水平断裂を指摘されていますが、先入観を持たないようにするため、自分なりの所見を1からとるようにしています。
決して医師の診断を否定しているわけではありません。


✅半月板と屈曲制限の関係

まず、機能的な問題により生じている屈曲制限にアプローチするためには
膝関節屈曲時に半月板がどう動くべきかを把握しておく必要があります。
その知識がないと、何が異常かわからないですもんね。

結論から言いますと、

note内


します。

そのメカニズムとしては大腿骨顆部のロールバックをベースに

①半膜様筋の収縮による内側半月板の後方誘導
②内側側副靭帯斜走線維の緩みにより形成されるスペースへの後方移動 [4]

引用文献
[4]整形外科リハビリテーション学会 , 改訂第2版 関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション - 下肢 ,P153 ,2014 ,株式会社メジカルビュー社

が考えられます。

今回の症例は正座という他動屈曲による痛みを訴えているため、半膜様筋の筋収縮はほとんど関与しません。

つまり、今回の正座の痛みは②が正常に行われていないため、
内側半月板の後方移動が阻害されて、
屈曲に伴う半月板に対する圧縮ストレスが増大し、
インピンジメントによる痛みが生じているのでは?と考えられます。


では、そこにどうアプローチをしてくかというステップに進むわけですが
次は、内側側副靭帯斜走線維の緩みが出ていない因子を考察する必要があります。

ここで考えるべきなのは、

内側側副靭帯斜走線維に連結している組織の伸長性が低下することにより、その影響を受けているのかもしれないということ。

では内側側副靭帯斜走線維に連結している組織は何か?

内側側副靭帯斜走線維に連結している組織
・後方関節包
・半膜様筋
・内側膝蓋大腿靭帯
・内側広筋
・鵞足

などが挙げられます。

先述した通り、半膜様筋やそれが付着する後方関節包は自動屈曲時に大きく影響すると予測できます。

また、内側膝蓋大腿靭帯も筋線維ではないため、損傷したエピソードがない限りそれ自体が硬くなることは考えにくいと思います。

つまり、ここで着目すべきなのは

・内側広筋
・鵞足

この2つの組織の伸張性です。

「いや、ここまではわかるけど、この組織の伸張性なんてどうやって評価していいかわからないし、アプローチもストレッチくらいしかできないよ!」

って思う方も多いんじゃないでしょうか?

大丈夫です!

ここからは、私の得意な筋膜の観点から、
これらの組織に対する評価とアプローチをお伝えしていきます!

▼実際の動画【筋膜にアプローチした結果】


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